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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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張飛の隣に綺麗な人が居る

 義賢が城についたのは昼を過ぎた頃であった。野盗の討伐を終えた面々が報告をする中、張飛の隣に綺麗でお淑やかな人が張飛の服の袖を掴んでいた。

 劉備「翼徳、その女性は?」

 張飛「よくぞ聞いてくれたぜ大兄者。まぁちっとばなし長くなるけど聞いてくれ」

 張飛が経緯を語り出す。それはこんな感じだ。張飛は野盗がいるところに着いたのだが誰もいなかった。誰かが倒しちまったのかと思って帰ろうとしたところ女性の悲鳴が聞こえ現場に駆けつけると野盗の群れが女性を取り囲んでいたそうだ。

 張飛「賊ども。よってたかって、その女性に何しようってんだ。この俺がゆるさねぇぞ。相手してやる」

 野盗「なんだなんだ。猪のような見た目のやつが。吠えるんじゃねぇよ。俺たちはよ。この娘にいいことしてもらうんだからよぉ」

 ???「助けてください」

 今にも泣き出しそうな顔で張飛を見つめる。

 張飛「へぇーだったら俺も混ぜてくれや」

 ???」えっそんな。うっうっ」

 野盗「なんだ。同業者かよ。良いぜ。こっちに来な」

 このままじゃ助けられないと考えた張飛は相手の懐に入って、女性を助けようと考えたのだ。それは上策だったようで、すっかり同業者だと油断した野盗どもは張飛たちを招き入れてしまったのである。

 張飛「今だ、全員討ち取れ」

 龔都「野盗風情が調子になるんじゃねぇでやす」

 何儀「俺たちの見た目も野盗に似てたから上手く行きましたな」

 劉辟「さぁーて、暴れるとしますか」

 何曼「この刹天夜叉を討ち取れるものならかかってきやがれ」

 黄邵「久々の実戦。腕がなりますな」

 野盗「お前ら謀ったな。もう良い女も殺しちまえ」

 張飛「もうおせぇっての。俺たちは劉備軍だ」

 野盗「あの劉備軍だと。あわわわわ。わかったわかった降伏するから。許してくれ」

 張飛「全員縄に繋いだな」

 龔都「ヘイ張飛の旦那」

 張飛「無事でよかったぜ。御嬢さん、お名前は?」

 ???「(えっこの人たち劉備軍なの?大変、花摘みに来たのに野盗に襲われ、その次は劉備軍だなんて、叔父様に怒られてしまいますわ)」

 張飛「おーい。大丈夫かぁ」

 ???「ひゃい。その名前は(夏侯なんて出したら勘繰られちゃいますわよね)月姫ゲッキっと言います。危ないところを助けていただき感謝いたします」

 張飛「月姫か。良い名前じゃねぇか。気にすんな。女を襲ってる野盗を倒しただけだからよ。それより、家は何処だ。送ってってやるよ」

 月姫「あの、その。大丈夫です。ここから近いので、1人で帰れますわ」

 張飛「さっきの野盗の残党が潜んでるかも知れねぇからな。女の子を1人だけで返すわけにはいかねぇよ。お前ら先帰っててくれ、俺はこの娘送り届けてから帰るからよ」

 龔都「ヘイ、わかりやした」

 龔都たちが縄に縛りつけた野盗を連れて、小沛城へと戻っていく。

 張飛「ホラよ。人払いもできたし。俺1人だけなら問題ねぇだろ。へへ」

 月姫「(私のためにここまで。私も腹を括ってお連れするとしましょう。叔父様に叱られちゃいますわね)わかりましたわ」

 月姫に案内されたところは曹操軍の御膝元であった。

 月姫「着きましたわ。ここが私の家です」

 張飛「おいおい待て待て、ここって」

 向こうから2人の男がやってきた。2人が顔を見合わすと臨戦態勢になる。

 夏侯淵「テメェは劉備軍の張飛。なんだってテメェがこんなところに」

 張飛「そういうテメェは曹操軍の夏侯淵じゃねぇか。ここお前の家かよ。そうかよ。俺を騙しやがったんだな」

 夏侯月姫「お待ちください叔父様。この方は野盗に襲われていた私を助けてくださったのです。今日はお客様としてお呼びしましたの。物騒なものは出さないでくださいまし」

 夏侯淵「おぅ。すまねぇって。そうじゃねぇだろ。月姫、わかってんのか。コイツは敵なの。敵の将軍なの」

 ???「まぁまぁ父さん。月姫が連れてきたお客さんだよ。それに今は戦場じゃないでしょ。武器は出さないでもらえると嬉しいかなお互いに」

 夏侯淵「覇、お前な」

 夏侯月姫「まぁ流石、夏侯覇カコウハ兄様ですわ」

 夏侯淵「月姫まで、まぁ良いや。姪を助けてくれてありがとよ。まぁ、酒は出せねぇが茶でも飲んでいけや」

 張飛「俺も物騒なもん出して悪かった。ここは戦場じゃねぇもんな。お言葉に甘えるとするぜ」

 夏侯淵の隣に夏侯覇、その向かいに夏侯月姫、その隣に張飛が座る。

 夏侯淵「まるでお見合いみてぇだな」

 夏侯覇「父さん、それは怒られるよって。あれっ」

 夏侯月姫の顔がみるみると赤く染まっていた。張飛も満更でもないって感じでデレデレしていた。

 夏侯淵「いや、あげねぇよ。ってか無理だろ劉備軍に殿の縁者である俺らの姪っ子が嫁ぐとか」

 夏侯覇「まぁ、何か得でもない限り曹操様は認めないんじゃないかな」

 張飛「お前んとこの曹操ってのは損得で動くのか?」

 夏侯淵「うちの殿を呼び捨てにすんじゃねぇよ。ってかよ。俺的にはお前んとこの大将も相当損得で動いてる気がしてるぜ。今回も陶謙の救援でまんまと小沛城の城主になり豫州刺史だもんな」

 張飛「大兄者は損得なんかじゃうごかねぇ。今回の困ってる民を見過ごせなかっただけだ」

 夏侯淵「まぁ確かにな。あんときの殿はまともじゃなかった。正直劉備軍が来てくれて助かったと思ってる。まるで徐州にいるすべてが憎いみたいな感じだった。まぁ俺は惇にぃと共に別んところにいたから従軍してた奴から聞いただけだけどよ。まぁ何はともあれ、姪っ子を助けてくれてありがとな」

 張飛「あぁ。じゃあこれで帰らせてもらうぜ。無事に月姫を送り届けられたしよ」

 夏侯月姫「お待ちください。私の気持ちは蔑ろですか?私、決めました。曹操様に恨まれたとしても張飛様に付いていきます」

 夏侯淵「おいおい、待て待て」

 夏侯覇「月姫は決めたら頑固だからね。こりゃあ諦めるしかないよ」

 そして、張飛が野盗から救出して預かってるという体で曹操と話してみるってことで、小沛城へと帰ってきたそうだ。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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