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劉義賢の負傷

 曹植たちを無事に解放して、鄴を奇襲攻略のための橋頭堡にすることを決めた劉義賢であったが眼前に広がる兵に開いた口が塞がらなかった。


 桓騎「ハァ〜めんどくせぇなぁ。まぁ、殺すのは確定してるけど一応な。一応、言うぞ。陛下の治める鄴に不法侵入した奴らに次ぐ、速やかに投降し、その命を差し出せば、痛みもなく殺してやる」


 趙高「私のことを覚えておいでですか?趙高ですよ〜。私は帰ってきましたよ〜。劉義賢、今度こそその首を頂きますよ〜」


 劉義賢に投降を呼びかけるのは、甘陵の関所で出会った呂威璜とこの鄴で倒したはずの趙高と名乗る別の人物。


 曹仁「趙高だと!?貴様は、劉虎龍殿に殺されたはず。どうして生きている!」


 趙高「アハっ。1発で身を守る盾を飛ばされて、置物になってた人じゃないですか〜。雑魚に用はありませんよ〜」


 曹仁「なっ!?某が弱いだと?ふざけよって、その首、叩き斬ってくれるわ!」


 今にも怒りで飛び出していきそうな曹仁を止める劉義賢。


 義賢「待たれよ曹仁殿。あの者の言葉遣い、まるっきり趙高そのもの。挑発に乗って迂闊に打って出るのは、危険だ」


 曹仁「あり得ん。趙高と名乗る男は、ここで討ち取ったはず」


 義賢「最悪の可能性が当たったのかと」


 まずいなぁ。

 俺が思い描く最悪の可能性が当たるなんてな。

 最悪の可能性ってのはだ。

 身体に霊を降ろしてる状態なわけだからあのようにスペアがあればいくらでも戦場に帰ってくることができるってことだよ。

 やっぱり本体を仕留めるしかねぇよな。

 にしても奥に引きこもってるとかいう始皇帝を引き摺り出すのは、至難の業だよな。

 どうしろってんだよ。

 こっちは、先ほどの戦いから傷が癒えてない。

 寇封に曹純は怪我の状態が酷い。

 前線には出せないな。

 いや、向こうの兵が10万でこちらの兵はたった5千の時点で、打って出るなんて不可能に近いか。

 にしても動きが速すぎるだろ。

 それもあの降霊とかで、情報まで持ち出せるのかよ。

 こんなもん、チートじゃねぇか!

 どうしろってんだよほんとに!

 考えろ。

 何か。

 何か方法が。


 桓騎「おーい、俺は一応礼儀として降伏勧告はしたからなぁ。こっからは容赦しねぇから覚悟しろよ」


 何が礼儀として一応降伏勧告しただよ。

 殺すのが確定してるのは、降伏勧告とは言わないんだよ馬鹿か?

 お前は馬鹿なのか?

 って、おいおいおい。

 嘘だろ。

 いきなり投石かよ!


 義賢「岩が飛んでくるぞ!身をかがめて何かに掴まれ!」


 ドカーン。

 ドカーン。

 バキッ。

 ポキッ。

 グラグラ〜。

 と城壁に幾度も当たる投石の破壊力。


 曹仁「クソッ。奴らめ一体どれだけの攻城兵器を用意してきたというのだ」


 満寵「橋頭堡を築こうとしたまでは良いですが何の準備も整わないまま反転攻撃を受けた以上、ここは逃げるのが上策かと」


 いや、そんなこと百も承知だよ!

 あれだけ完膚なきまでに叩いといたし俺たちの姿を見たやつも1人残らず始末しておいたし、安心だよね〜って、のんびりしてた時間を返せ!

 特にお前らの主君の御子息と嫁だぞ。

 はい、あーん。

 おいちいよ〜華美〜。

 リア充どもが爆発してしまえ!

 俺は最悪のシナリオってのもきちんと説明したよな?

 なのに、大丈夫、大丈夫って。

 ふざけんじゃねぇよ!

 その結果がこれだからな!

 羊祜君とかガチで引いてたぞ。

 いやぁ、でも本当に羊祜君は聡明だなぁ。

 俺の話を聞いて、それなら逃げ道を確保しながら橋頭堡を作りましょうって。

 良い子過ぎて、涙出てきたよ60を超えるお爺ちゃんにはね。

 で、そこでもこのバカップルが足を引っ張って、逃げるのが遅れて、こうなってるんだけどな。

 ハァ。

 マジで無いわ!

 兎に角、馬の機動力を活かせば包囲される前に逃げるのだけはいけると思うんだけどな。


 満寵「劉義賢殿?劉義賢殿?」


 義賢「す、すまない少し考え事をしていた」


 平常心。

 平常心だ。

 最近、緩いバカップルたちに心を乱されることが多くなってる。

 何処かで引き締めないとコイツらマジで死ぬぞ。


 義賢「馬の準備はできているか?」


 羊祜「はい!」


 劉虎龍「殿は、俺がやりますよ」


 虎龍の口調もガチモードに変わってる。

 普段は、文官のように物腰柔らかに接するのに、緊迫感を物語ってるよな。


 曹植「見てみて〜お外だよ華美ちゃん」


 崔華美「ふわ〜。そんな前に出たら危ないですよ曹植ちゃん」


 いや、コイツら馬鹿なのか!

 少しは緊張感を持ってくれよ!

 俺たち、投石攻撃受けてるんだよ!

 とっとと飛び降りて、馬に乗ってくれよ!

 何で、反対方向を覗くんだよ!


 趙高「顔を出したお馬鹿さんがいますよ〜。特製の矢を喰らってもらいましょうかねぇ」


 まずい、あーもう。

 ここで曹操殿の御子息が死ぬようなことになったら責任を追及されるよな。

 クソッ。

 関興に張苞、お前たちまで何して?


 関興「何してるんだ!早くこっちに!」


 張苞「おいおい、嘘だろ。とっとと馬に乗れってんだよ!」


 引き戻そうとしてくれてるのか流石だ。

 一瞬、お前らも馬鹿になったのかと思ったのは内緒だ。


 義賢「曹植様、ここは危険ですからさぁ、こちらへ。ぐっ」


 イッテェ。

 何だこれ。

 意識が朦朧としてきた。

 あっ、これダメだ。


 趙高「お馬鹿さんを庇ってくれたお陰で、獲物の方を先に仕留めれましたねぇ。桓騎、これで貴方は降格確定ですよ〜」


 桓騎「なっ!負けたらだろうが。負けてねぇだろ」


 趙高「私に負けてますよ〜。その身体とスワッピングですね〜」


 桓騎「馬鹿、お前、それは互いの夫婦を交換して、チョメチョメするやつだろうが。この場合は、入れ替わりだろうが!」


 趙高「細かいことは良いんですよ〜」


 クソッ。

 アイツら良い気になりやがって、俺が元気になったら絶対に吠え面かかせて、やるからな。

 あー。

 マジ、もうダメだわ。

 ごめん、兄上。

 俺の人生、ここまでだわ。

 後頼んだわ。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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