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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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元気なうちに遺言を書いておく陶謙

 陶謙は劉備が小沛に入ることを了承してもらった後、自身が死んだ後の徐州のことを考え、今まで疎ましく思って遠ざけたかつての家臣である王朗オウロウ趙昱チョウイク呉範ゴハン張昭チョウショウ張紘チョウコウも呼び、遺言の作成に取り組んだ。この他に呼ばれたのは臧覇と糜竺と陳珪と息子2人であった。

 陶謙「王朗・趙昱・呉範・張昭・張紘、酷いことをして、遠くへと追いやったお前たちもきてくれて感謝する。今日来てもらったのは、徐州の今後についてじゃ」

 糜竺「陶謙殿、どういうことですか?劉備殿に来てもらい曹操軍も和平を結び帰りました。この上なにを?」

 陶謙「糜竺よ。ワシは徐州を劉備殿に治めてもらおうと考えておる」

 糜竺「!?何を弱気になっておられるのですか。まだ元気なうちにそのような」

 陶謙「だからじゃ。陶商はどう思う?」

 陶商「父上の意見に賛成します。私や応では徐州は治められないでしょう。溜め込んだ資材を使い商人にでもなります」

 陶応「兄上!」

 陶商「応も勿論手伝ってくれるよな」

 陶応「兄上の頼みなら」

 臧覇「俺は独立させてもらうことにするぜ」

 陶商「臧覇、それはならん」

 臧覇「若様?」

 陶商「お前の武勇は徐州を守るために必要不可欠なものだ。それゆえ父上もお前を呼んだのだろう。せめて一度劉備殿を見極めてから決めても遅くないと思う」

 臧覇「うむ。考えさせてもらうとしよう」

 陶謙「全部商に言われてしもうたな。王朗・趙昱・呉範・張昭・張紘には、劉備殿の器を図ってもらいたいのじゃ」

 王朗「陶謙殿、ワシは今、劉繇リュウヨウ殿にお仕えし、荊州から流れてきた孫堅と争っております。此度も陶謙殿に援軍を願うついでに参城した次第。器を図っている余裕などとても」

 趙昱「陶謙殿、私も王朗殿と全く同じ状況です」

 陶謙「ふむぅ。孫堅の勢いは凄まじそうだな」

 呉範「間も無く、揚州は孫堅殿の手に落ちるでしょう。劉備殿の器は大器です。荊州・益州・南蛮を抑え、いずれ曹操殿と天下を争う事になりましょう。陶謙殿、劉備殿に徐州を託すのは賛成にございます」

 陶謙「呉範の星読みか。外れたことは無かったな。ありがとう。決心がより一層固まった」

 張昭「陶謙殿、我らは趙昱殿に仕えている身。それに陶謙殿の元にいた笮融に攻められているのですぞ」

 張紘「袁術が孫堅を支援しているのです」

 陳珪「張紘殿、それはあり得ませぬ。孫堅は袁術を嫌っております。恐らく袁術も独自に揚州で勢力を広げようと画策して笮融を動かしているのでしょう。呉範殿のいうとおりになると考えるなら孫堅に合流し、袁術に抗うのが良いかと存じます」

 呉範「私もそう考えます。ですが私は劉備とやらが気になりました。一度お会いしてみるとしましょう」

 趙昱「確かに袁術の手先となっている笮融を孫堅に抑え込んでもらう方が今後の揚州を考える上で重要か。我らは孫堅殿に降る。張昭よ。使者を任せるぞ」

 張昭「かしこまりました」

 陶謙「ワシはお前たちの才をうまく使いこなせず疎ましく思い遠ざけた愚か者だ。お前たちがそう決めたのなら何もいうまい」

 王朗「殿、わかりました。ワシも劉備とやらに一度お会いしましょう」

 趙昱「陶謙様、劉備殿に徐州を譲る遺言の件我らは承認いたします」

 陶謙「感謝する。これで思い残すことが一つ減った」

 糜竺「では遺言を一応書き留めておきましょう」

 陶謙「うむ。糜竺よ。徐州で1番裕福であるお前の力が必ずや劉備殿に必要な時が来よう。くれぐれも頼んだぞ」

 糜竺「了解いたしました。陶謙殿がそこまで推す御方がどのようなお方か一度お会いしてみるとしましょう」

 臧覇「俺も若に言われたからじゃねぇが。あってみてやる」

 陶謙「糜竺・臧覇、感謝するぞ」

 陶謙の遺言の作成が済むと糜竺は臧覇・陳珪・王朗・呉範を伴い劉備の元に訪れる。そこにはすっかり劉備軍に馴染んでいた麋芳がいた。

 張飛「おいおい、麋芳飲んでるか?」

 麋芳「まだまだ行けますよ。グビグビ」

 張飛「良い飲みっぷりじゃねぇか。気に入ったぜ。グビグビ」

 関羽「翼徳、飲みすぎるでないぞ。麋芳も翼徳を乗せるでない」

 麋芳「楽しい時は楽しむのさ」

 張飛「良いこと言うじゃねぇか。兄者は硬いんだよ」

 関羽「言わせておけば、某にも酒だ」

 張飛「そうこねぇとな兄者」

 呉範「ハッハッハ。こりゃあ実に面白い」

 張郃「誰だ?我らは楽しい宴の最中である」

 張飛「張郃、やめとけって。この身なり、陶謙殿の役人って感じだろ。1人は賊にしか見えねぇけどよ」

 臧覇「俺を賊呼ばわりとは良い度胸だな。表に出ろ」

 張飛「へへへ。余興不足だったところだ。相手になってやるぜ」

 張飛と臧覇による腕相撲が繰り広げられていた。

 張飛「中々、やるじゃねぇか。大兄者には全然かなわねぇけどよっと」

 臧覇「グハッなんて馬鹿力だ。ハッハッハ。これが劉備軍のもてなし方か。面白い」

 義賢「申し訳ございませぬ。久々の安住の地で皆はしゃいでいるみたいで。糜竺殿・陳珪殿・臧覇殿・王朗殿・呉範殿ですね。陶謙殿より聞いておりました。今回案内を担当させて頂く劉義賢と申します。兄上のところに案内させていただきます」

 糜竺「馬鹿な弟が御迷惑をおかけして申し訳ない」

 麋芳「兄貴じゃねぇか。なんだなんだ陶謙の使いか。相変わらずコキ使われやがってよ。みっともねぇぜ」

 糜竺「お前に言われたくないわ。この馬鹿めが」

 麋芳「なんも聞こえねぇなぁ。グビグビ。プハー」

 陳珪「糜竺よ。今は劉備殿の元に向かうのを優先するとしようぞ」

 糜竺「すまぬ。陳珪殿。つい馬鹿な弟を前にしてな」

 義賢「ではこちらから中へどうぞ」

 劉備という器を図る糜竺・陳珪・臧覇・王朗・呉範であった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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