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馬と武具

 俺が2頭の馬を連れて戻ると劉備殿が張飛殿と関羽殿と共に迎えてくれた。

 劉備「丁、おかえり。首尾はどうだった?ってその馬はどうしたんだい」

 義賢「兄上、皮も骨も買い取ってもらい、その帰りに馬30頭の契約をした時に、この馬を2頭タダでもらったのです。なんか兄弟みたいで離すのは良くない気がして、乗る人に凶をもたらす馬らしいんですがもらってきてしまいました」

 張飛殿と関羽殿は拒絶の意を表したが劉備殿は笑っていた。

 張飛「凶馬だと。そんなもん近づけんじゃねぇよ」

 関羽「うむ。某も遠慮しようぞ」

 劉備「ハッハッハ。凶馬か。良い。乗る人に凶をもたらすのなら乗りこなせればそれは強運の持ち主ってことだな。丁、こっちの白い方貰うぞ。名はそうだな的盧てきろなんてどうだ?」

 的盧「ヒヒーン」

 劉備「ヨシヨシ。良い子だ的盧。これからよろしくな」

 的盧「ヒンヒン」

 的盧は返事をしたあと劉備殿に擦り寄っていた。まるで主君を得たという感じに見える。

 義賢「張飛殿も関羽殿もいらないのであればこの黒い方は僕がもらいますね。名前はそうだな黝廉ゆうれんなんてどうかな?」

 黝廉「ヒヒーン」

 義賢「ヨシヨシ。可愛いなぁ。これからよろしく」

 黝廉「ヒンヒン」

 黝廉も的盧同様に返事をしたあと俺に擦り寄ってきた。とても可愛い。身体を撫でてやる。喜んでくれているみたいで俺も嬉しい。なんといってもこの黒の馬体、カッコいい。でも牝馬だから美しいのが適切かな。女王の風格があるというか競馬に出ててもなんの違和感もない力強さを感じる。こんな馬に乗ってみたいと思ってたから凶馬の兄弟だったとしても別になんの問題もない。

 劉備「丁、良い馬をありがとう」

 義賢「兄上、俺が勝手に一目惚れで連れてきた馬を気に入っていただけて嬉しいです」

 張飛「大兄者、マジでこの馬に乗るつもりかよ。やめとけって」

 関羽「某も翼徳に同意する。兄者の御身に何かあれば」

 劉備「ハハハ。翼徳も雲長も心配しすぎだ。的盧は将来、必ず助けてくれる。そんな気がするのだ」

 張飛「わかったわかった。大兄者は言い出したら聞かねぇからな。兄者、俺たちできにかけてやるとしようや」

 関羽「うむ。翼徳と共に気にかけるとしようぞ」

 劉備「世話をかけるな翼徳、雲長」

 張飛「おぅよ」

 関羽「うむ」

 義賢「えっ俺のことは気にかけてくれないんすか?」

 張飛「テメェは女にも図々しいからな。大兄者の弟ってだけだな」

 関羽「うむ。認めて欲しあのであれば戦場にて武働をあげるのがよかろう」

 義賢「そんなぁ」

 劉備「丁、頑張るのだぞ。ハッハッハ」

 その日から3ヶ月、狩りに護衛任務に明け暮れ。皮は防具屋さんに渡して防具に、骨は拉麺屋さんに渡して資金にした。

 舞「武器できた。取りに来い」

 相変わらずぶっきらぼうだがすすだらけにして、手には豆があり潰れていた。火傷の跡も増えていて、頑張ってくれたのがよくわかる。

 劉備「うむ。今からゆくとしよう。翼徳、雲長、丁、行くぞ」

 張飛「おぅ」

 関羽「うむ」

 義賢「はい」

 武器屋に着く。

 舞「やっときた。じゃあ、まず玄徳にぃちゃんの武器から雌雄一対の剣っていう通称夫婦剣。双股剣を型取りに打ってみた。離れると鳴いてるみたいで面白い剣」

 劉備「うむ。良い剣だ。感謝する舞殿」

 舞「玄徳にぃちゃん、死ぬなよ」

 劉備「あぁ」

 舞「良し。次は関羽殿の武器。冷艶鋸れいえんきょっていう青龍偃月刀。苦労した型取りした偃月刀をさらに進化させるのに。でも自信作」

 関羽「うむ。この手に馴染む感じ、誠に見事な出来よ。感謝する舞殿」

 舞「気に入ってくれて良かった。玄徳にぃちゃんと馬鹿のこと頼む」

 関羽「うむ。心得申した」

 舞「次は、張飛殿の武器。これはかなり大変だった。もうどうしたら良いかわかんなくなるぐらいアイデア出し切って捻り出した。丈八蛇矛じょうはちだぼう。矛の型取りから進化させた。先端は蛇のようにクネクネさせてみた。結構お気に入り」

 張飛「おっ。なんだよこの手に馴染む感じは、俺だけの武器って感じだぜ」

 舞「御要望通りになるように頑張った。もっと褒めてくれても良い」

 張飛「ありがとな舞殿。こりゃあ良い。実に良い。負ける気がしねぇぜ」

 舞「その武器で玄徳にぃちゃんと馬鹿のこと守ってくれると安心」

 張飛「おぅよ」

 舞「最後に義賢の武器。弓と剣の一体とかほんと馬鹿なの注文してきた。でもなんとかできた。要はマルチウェポン方式にした。変形する武器なんて作れるわけないと思ったけど意外とできた。流石私天才だった。弓射剣きゅうしゃけんっていう。普段は弓として使用して近づかれたら弓を横にすることで弓に隠れてた刃が出てきて剣になる。すぐ切り替えできるから馬鹿でも安心して使いこなせるはず。無理なら義賢に扱える武器なんてこの世に存在しない。最強の馬鹿ってこと」

 義賢「辛辣だな。おい。でもこれなら俺でも扱いこなせる気がするぜ。ありがとな舞」

 舞「これで無理なら多分どうにもできない。天才の私にもお手上げ。まぁ死なない程度に頑張れ」

 義賢「あぁ」

 舞「じゃあ、玄徳にぃちゃんと少し話があるから他のみんなは先帰れ」

 張飛「俺は残るぜ」

 関羽「某も兄者を置いて行くなど」

 劉備「雲長、翼徳、案ずるな。代金の話をするだけだから先に帰っていてくれ。丁、連れて行け」

 義賢「かしこまりました兄上。さぁ行きますよ関羽殿、張飛殿」

 丁が雲長と翼徳を連れて行って暫くすると舞殿が話しかけてきた。

 舞「玄徳にぃちゃん、多分義賢は一度死んでると思う」

 舞殿の爆弾発言にさほど驚いていない自分がいた。薄々勘づいていたから。

 劉備「やはりそうか。今のアイツはなんなんだろうな?」

 舞「玄徳にぃちゃんのことを慕っているのはわかる。だから悪い人ではない。だからこれからも玄徳にぃちゃんには実の弟と思って接してあげてほしい」

 劉備「舞殿は、丁のことが心配なのだな。うむ。舞殿の進言。身命を賭してお受けすると誓おう。アイツは大事な弟だ」

 舞「良かった。少し安心。後はアイツが戦場ですぐ死にそうな気がする」

 劉備「気をつけておくとしよう」

 舞「よろしく」

 劉備「では行くとする。世話になった」

 舞「こちらこそ」

 玄徳にぃちゃんの背中を見送る舞。戦乱がこの村に迫っているのを感じながら。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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