表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/821

冀州を巡る争い

 時は少し遡り、袁紹が冀州をいかにして手に入れようか思案していた頃のこと。元韓馥配下の審配が策を提案したのだ。

 袁紹「ふむぅ。冀州は公孫瓚の手に落ちている。だが肥沃なあの土地はなんとしても欲しい。いかにするべきか」

 審配「殿、お悩みのようですな」

 袁紹「審配か。どうした何か用か?」

 審配「殿、韓馥は小心者で公孫瓚は人を信じられない。簡単なことです。韓馥に公孫瓚が韓馥を殺そうとしていると噂を流すのです。殿は韓馥が欲しいわけではなく土地が欲しいだけで御座いましょう。そうすれば公孫瓚は内乱に突入します。労せずして幽州まで手に入れられる可能性も」

 袁紹「クックック。沮授と田豊を手に入れられなかったことは残念だったがお前を手に入れられたこと嬉しく思うぞ。すぐにそうせよ」

 審配「御意に」

 審配が立ち去って暫くすると趙雲が洛陽から戻ってきた。

 趙雲「袁紹様、ただいま戻りました」

 袁紹「趙雲か。良いところに戻ってきた。此度も戦働きに期待している。公孫瓚の首を取る」

 趙雲「何故、董卓は死に平穏となったのにまた戦乱に民を巻き込むおつもりか」

 袁紹「民草など死んでもまた増やせば良いだけだ。その民草を増やすための土壌が少なければこれからは生き残ってはゆけぬ。そのための犠牲だと思えば安いものだろう」

 趙雲「(劉備殿なら民にこのような仕打ちはしない。民が死ぬことをなんとも思わない。土地だけを求める戰などに何の意味があろう。仕えるべき主を見誤ったようだ)私は袁紹様の配下ではない。貴方との縁はこれまで。さらば」

 趙雲は白龍に乗ると袁紹軍の陣地を飛び出した。

 袁紹「なんだと!?文醜・顔良、趙雲が逃げた。奴を追え」

 文醜・顔良「了解だ」

 逃げる趙雲を追う文醜・顔良。これを助けたのは鷹狩りに来ていた公孫瓚であった。

 公孫瓚「あの若武者は、確か虎牢関の際、呂布と渡り合ってあったやつか?(ん?追われているのか?あれは袁紹軍の猛将、文醜と顔良ではないか。とても逃げ切れぬな。少し手を貸してやるとしよう。それにしても袁紹のやつあの若武者を手放すなど勿体無いことを使い潰せば良いものを)」

 公孫瓚は文醜と顔良の元に馬だけを走らせ馬の立てる砂埃で目の前の視野を一旦奪うとその隙に趙雲を呼んだ。

 公孫瓚「今のうちにこっちに」

 趙雲「すみません、助かりました。貴方は確か公孫瓚殿でしたね」

 公孫瓚「うむ。虎牢関の戦いでの其方の武勇目を見張るものであった。どうして袁紹軍に追われていた?」

 趙雲「あっ公孫瓚殿にお伝えしようと参ったのです。袁紹は民草の犠牲を顧みず冀州を手に入れることにしたようです。民無くして国は成り立ちません。反対したのですが聞き入れられず逃げ出した次第」

 公孫瓚「よく知らせてくれた。(民草などどうなっても良いが冀州を失うわけにはいかぬ。だが韓馥であれば守り通してくれるであろう)行く当てが無いのであればうちに来られよ」

 趙雲「わかりました」

 公孫瓚「これから頼むぞ(劉備と合わせるわけにはいかぬ。暫くは何処か別のところに居てもらうことにしよう。この若武者の武勇、袁紹との戦で使い潰させてもらうとしようぞ)」

 趙雲「はっ(公孫瓚の元には劉備殿が居たはず。こんなに早く再開できる機会に恵まれるとは)」

 その頃韓馥の治める冀州では、公孫瓚が韓馥を殺しにくるという噂で溢れていた。小心者の韓馥はこの噂を信じてしまい冀州城に閉じ籠もってしまった。

 劉子恵「殿、公孫瓚様は、虎牢関の際も殿を助けてくださいました。見捨てるとは思えません。これは明らかに誰かの策謀です」

 韓馥「煩い。煩い。煩い。あの時もお前の言を信じて日和見を決めたら公孫瓚に襲われたのだ。そうだ、俺は何を迷っていたんだ。殺しにくるってならこちらも殺しに行けば良いだけじゃないか」

 沮宗「殿、そのようなことをしてはダメです。ご再考を」

 韓馥「煩い。煩い。煩い。ワシに逆らうな」

 潘鳳「殿に従います」

 韓馥は剣を抜き劉子恵と沮宗を斬り殺した。潘鳳はそれを見て、自分もそうなりたくないと韓馥に従うことを決め、少し外に出ていた沮授は、帰る途中で兵たちからその顛末を聞き、公孫瓚の元へ韓馥の裏切りを知らせに向ったのである。

 沮授「良し、これで冀州の守りは良いだろう。帰るとするか」

 沮宗の兵「沮授様」

 沮授「其方は弟の兵の者か?どうした、傷だらけではないか。まさか袁紹軍がもう攻めてきたのか?」

 沮宗の兵「沮宗様が韓馥に斬り殺されました」

 沮授「何故、そのようなことに!?」

 沮宗の兵「沮授様が冀州の守りのために各地を転々とされている間に冀州城周辺である噂が流されていたのです」

 沮授「噂?」

 沮宗の兵「公孫瓚様が韓馥を討ちにくるという噂です」

 沮授「馬鹿なありえぬ。しかし殿は信じてしまったのだな。いや我が弟の仇を殿とは呼べんな韓馥め」

 沮宗の兵「沮授様、お逃げください」

 沮授「よく知らせてくれた。お前もゆっくり休め」

 沮宗の兵「はい。殿の元へと参ります」

 事切れた沮宗の兵に沮授は労いの言葉をかける。

 沮授「傷だらけの身体でよく伝えてくれた。大義である。沮宗よ。良い兵を持ったな。お前の仇は必ず俺が果たして見せる」

 沮授は、弟を殺した韓馥と決別する決意を固めると公孫瓚の元へと急ぐのであった。こうして、袁紹は労せずして冀州を手に入れ、韓馥は袁紹に降伏する旨を伝えて、軍勢を整え公孫瓚領へと攻め入ったのだ。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ