洛陽炎上
1月9日 誤字報告ありがとうございました。修正しました。
時は少し戻り、牛輔軍が連合軍本陣を散々にうち負かし洛陽へと凱旋した時に戻る。
牛輔「はっはっはっは、連合軍どもめ我らの力を思い知っただろう」
李傕「そうですなぁ(頃合いだな。董卓様が昔と変わったと感じ始めて、身辺をこっそりと調べていたがまさか入れ替わっていたとはな。ククク。俺の仕えた董卓様で無い以上、これは反乱では無い。あらかた、根回しも済んでいる。今こそ献帝を手中にし俺の天下を築くため事を起こす時)」
李傕は懐から布を巻いた棒を取り出すと火をつけ民家に投げ込んだのだ。
牛輔「李傕、貴様血迷ったか」
李傕「なんのことです?これは董卓様に頼まれていたことなんですよ。娘婿殿には頼めないお前に任せるとな」
牛輔「なんだと、都を燃やす命令をした。董卓様が?そんなことありえぬわ。確認してくる。お前たちは消火活動に専念せよ」
郭汜「おいおい、何処に行こうってんだよ」
李蒙「テメェには、うんざりしてたんだ」
樊稠「やっと解放されるぜ」
王方「ククク。娘婿ってだけで命令してくるだけの能無しが」
牛輔「謀ったな李傕」
賈詡「フフフ。残念ながら違いますよ。この絵図を描いたのは俺です」
牛輔「賈詡!ということは張済、お前もか」
張済「申し訳ありません。これ以上偽りの御方にお仕えすることなどできないのです」
張繍「俺も叔父上に従います」
牛輔「貴様らが何を言ってるのか分からぬが反乱を許すわけにはいかぬ。兵たちよ。逆賊を討て」
牛輔の言葉に従う兵は1人もいなかった。
牛輔「どうした?何故誰も言うことを聞かぬ」
牛輔兵「そんなの決まってんだろ。俺たちも金払いの良い李傕様に鞍替えしたからだっての」
牛輔「なんだと!?」
李傕「ククク。そういうことです。あなたに味方をしてくれそうだったものは、馬騰軍との戦いで討ち死にさせましたからね」
牛輔「全て計算だったのか!?だが、俺は義父上を御守りする。例えこの身が。グフッ」
牛輔の言葉を黙って聞いてやるほど李傕はお人よしでは無い。話してる最中に槍を突き立てた。
李傕「遺言など必要ない。ゴミを片付けるだけなのだからな」
牛輔「り か く き さ ま じ ご く に」
郭汜「うるせぇんだよ。もう黙れや」
言い終わる前に郭汜が刀を突き刺した。
李傕「張済、歓迎するぞ。お前はひょっとしたら牛輔に付くかも知れないと不安であった」
張済「いえ、これよりは李傕様を主と誠心誠意お仕え致します(李傕のことだ。いずれ暴走する。そうなったら献帝様に危険が及ぶであろう。これも仕方なき事)」
李傕「うむ。よろしく頼むぞ。良し、オメェら民家に火を付け回り金品を強奪してこい。先人の墓も全て荒らし尽くせ」
李蒙「へへへ。やっぱりこうじゃねぇとな」
王方「あぁ。流石李傕様だぜ」
樊稠「昔の董卓様は良かった。今の董卓様は、もう衰退している漢王朝なんて滅ぼして王位に付きゃいいのに献帝を庇護して、略奪とか禁止しやがった。それどころか女を襲うなだとよ。おいおい略奪の楽しみを奪うんじゃねぇよって話だよな」
郭汜「これからは李傕様を主と仕えるんだ。董卓様じゃねぇよ。董卓の豚野郎だ」
樊稠「そうだったな」
董旻「貴様ら何をしておる。牛輔が何故倒れているのだ!?」
李傕「おぅおぅ、こりゃあ豚野郎董卓の弟である董旻じゃねぇか。わざわざ殺されにきてくれるとはありがたいねぇ」
董旻「李傕、貴様血迷ったか。このような事をして許されるわけが無いであろう。者共逆賊を討ち取るのだ」
董旻の兵たちは、董旻の言葉に従うフリをして、後ろから董旻を刺した。
董旻「き さ ま ら な ぜ」
董旻の兵「決まってんだろう。李傕様は金払いが良くてよ〜テメェみたいなケチに仕えるとか馬鹿らしくなっちまったんだよ。でもよテメェをこのまま返せば、董卓に告げ口されちまうだろ。だからよ死んでくれや」
次々と兵たちによる刃が董旻の身体を貫いていく。やがて事切れる董旻。李傕は董旻を踏んづけて、さらに宣言した。
李傕「ククク。者共この勢いのまま、洛陽にいる董卓を殺して献帝を手中にして、我らの天下を築こうぜ」
郭汜「あぁ、行くぞ」
だがこの一部始終を見ていた男がいた。李傕軍であったが献帝保護派であった楊奉である。楊奉は部下である李楽・胡才・韓暹・徐晃と共に董卓へと李傕の反乱を告げた。
董卓「李傕が反乱か」
楊奉「はい」
胡才「ここは危険です」
韓暹「一国を争いますぞ」
徐晃「どうかここは一刻も早い洛陽からの脱出を」
李楽「我々がお守りしますので董卓様と献帝様には長安へと遷都していただきたいのです」
傍に控えていた華雄が言う。
華雄「董卓様、山賊まがいの事をしていた野蛮な俺を今日まで取り立ててくださり感謝致します。最後の御奉公をお許し頂きたい。御所門前にて、李傕を食い止めまする」
董卓「馬鹿を言うな。華雄よ。そのような事をせずとも良いのだ」
楊奉「いえ、董卓様が信頼しておられる華雄殿であれば董卓様と献帝様が御所に居るから守っているのだと思うはず」
李楽「良い提案かと」
華雄「何を躊躇う必要がありましょう。貴方様は最後まで貫くと決めたはずでしょう」
董卓「!?そうであったな。華雄よ。死んでも門を死守せよ。良いな」
華雄「はっ、董卓様にも献帝様にも指一本触れさせましません」
董卓たちが楊奉たちに連れられ洛陽を後にする。董卓は燃える洛陽を見て涙を堪えていた。華雄の守る御所門に李傕たちがやってきたのは間も無くのことだ。
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