公孫瓚軍vs韓馥軍(起)
劉虞の加入により、兵が増大した公孫瓚軍は意気揚々と韓馥軍に攻め込むことを決めた。
公孫瓚「よく来てくれた劉虞よ。これからよろしく頼む」
劉虞「これが幽州刺史の印じゃ。公孫瓚殿に渡そう。ワシが仕えるのは、劉備殿で構わぬか?」
公孫瓚「うむ。まぁ良いであろう。ワシが領土を劉備が将を得たということか。それが条件なら仕方あるまい」
劉虞「御心遣い痛み入る。ではこれにてごめん」
劉虞が立ち去ると公孫瓚は苦虫を噛み潰した顔をしていた。
公孫瓚「劉虞の奴め。最後までワシに頭を下げんかった。臣下ではないという意思表示じゃ。だがまぁ良い。領土は手に入れたのだ。劉虞など劉備にくれてやる」
公孫越「兄上、そう悲観することは無いでしょう。同族ですが目にかけていたものが兄上に仕えたいとこちらに来ています」
公孫瓚「ほぅ。公孫記殿か。よく来てくれた」
公孫記「仕官を許していただき感謝いたす」
公孫瓚「うむ。これからの働きに期待する」
公孫記「はっ」
公孫瓚「まぁ、良い。兵は増大した。一気に韓馥軍を叩いてくれようぞ。厳綱、田楷、王門、関靖、鄒丹、単経に陣触れを出せ。公孫範と公孫越には精鋭の白馬儀従を率いてもらう。進軍だ」
公孫越「了解しました」
公孫範「兄上のために粉骨砕身働きますぞ」
公孫瓚軍が冀州に進軍を開始したという情報が韓馥に伝わる。
韓馥「何故、公孫瓚軍が攻めてくるのだ。奴らの狙いは董卓ではないのか?こんなことならとっとと反董卓連合に加入しておくべきだった。劉子恵、お前が情勢を見極めるように申したせいだ。なんとかせよ」
劉子恵「殿、事ここに至っては仕方ないかと。戦をするか降るかです」
韓馥「どうしたら良いのだ。何故ワシがこんな目に合わねばならんのだ」
程奐「殿、戦しましょうぞ。奴らは反董卓連合を傘にきた蛮族に過ぎませぬ」
趙浮「程奐のいう通りです。相手はもう攻めてきてるのですぞ。腹を決めてください」
麴義「涼州で異民族の扱いには慣れています。俺に前線を任せてくだされば必ず打ち破って見せましょう」
張郃「この河問の張儁乂にお任せを」
耿武「決して何人たりともここに踏み入らせてはなりません」
閔純「迎撃の下知を」
沮授「公孫瓚は勢いに任せています。迎撃するだけなら容易いでしょう。先鋒は麴義殿1800の精鋭で迎え討ち、崩れたところを張郃殿を大将に襲い掛かれば必ずや勝てましょう」
田豊「(確かに沮授殿の意見が正しいと思うが何だこの胸騒ぎは公孫瓚にそれほど力があるとは思えぬ。見極めねばならんな。ここは発言を控えるとしよう)」
韓馥「沮授よ。絶対勝てるのであるな」
沮授「はっ」
韓馥「反董卓連合に参加しなかった以上、ワシは董卓に与しているも同じだ。この戦いで公孫瓚軍を追い返す。者共進軍じゃ」
韓馥は公孫瓚軍を迎え撃つことに決める。冀州の戦いの幕が上がろうとしていた。
公孫瓚軍の客将である劉備は後詰を任された。
張飛「おいおい、何で俺たちが後詰なんだ」
関羽「翼徳、気持ちはわかるが公孫瓚殿が決めたのだ。仕方あるまい」
劉虞「ワシのせいであろう」
張飛「おっさんのせいなわけねぇだろ。気にすんな」
劉備「劉虞殿におっさんとは失礼であろう翼徳」
劉虞「良いのじゃ。ワシはもう殿の臣下の1人じゃ」
どうしていいかわからないと言った感じの劉備に鮮于輔が言葉をかける。
鮮于輔「劉備殿、殿は言い出したら聞かん御方だ。いいと言っておるのだ気にすることはない」
田豫「まさか、お前と肩を並べる日が来ようとはな」
鮮于輔「俺も驚いたぞ国譲。まさか劉備殿に仕官していたとはな」
田豫「腐れ縁でな。それにほっとけない御方なのだ。特に弟の方だがな」
鮮于輔「劉義賢殿か。不思議な御方であるな。殿に新たな道を示してくれた。しかも不思議と的確に思えたのだ」
田豫「そうか。勝手に走りピンチに陥ることも度々でな。見ているこっちはヒヤヒヤもんだ」
鮮于輔「俺も気にしておくとしよう」
田豫「助かるぜ」
周倉「しかし、後詰は暇だなぁ」
廖化「元福、だからといって怠けるんじゃねぇよ」
周倉「うっせぇよ。元倹」
裴元紹「兄貴たち待ってくだせぇ」
田疇「実に面白いですな」
劉辟「なにがでやすか」
田疇「この軍には様々な者が居ますがここまで居心地が良いのは初めてですよ」
何儀「義賢様がな。皆が意見を言い合える空気を作ったのだ。それゆえ新参者でも馴染みやすいのだろう」
何曼「義賢様は、元黄巾族の俺たちですら受け入れて組み込んでくださった。張飛様もお優しいしな」
龔都「酒飲んで暴れなけりゃもっと最高だけどな」
黄邵「それは違いねぇや」
張飛「おーいテメェら聞こえてんぞ。今日も酒飲むぞ」
龔都「偶には飲まなくても」
張飛「飲まなきゃやってられっかよ。久々の戦が後詰だぜ」
義賢「張飛殿、今日は酒は控えてもらいますよ」
張飛「義賢まで何言ってんだ」
義賢「戦局が動きますよ。公孫瓚殿は大敗します。間違いなく」
張飛「それってどういうことだ」
関羽「翼徳。我らの出番がやってくるということだ」
張飛「マジかよ。ワクワクするじゃねぇか」
劉備「兄弟子が負けるなんてことがあるのか?」
義賢「えぇ。油断と過信を兼ね備えた公孫瓚殿はこっぴどくやられるでしょう。そうなったら俺たちの出番です。ここまで見事に後詰に回してくれるとは。アハハハハ」
劉虞「まさか作戦だったと言うのですかな」
義賢「えぇ、公孫瓚殿は信用できませんから。兄上を疑っていたことも含めて痛い目にあっていただこうかとね」
劉虞「義賢殿は敵に回したくありませんなぁ」
公孫瓚の傲慢さと過信により、戦局の変化を刻々と待つ劉義賢であった。
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