唐突すぎる謎の死
【江夏】
劉備軍5万が江夏郡に差し掛かる。江夏郡を守るのは黄祖なのだが江夏郡では不思議なことが起こっていた。
劉備「これはどういうことだ？誰も居ない？」
義賢「兵だけならまだしも民まで居ないなんて考えられるでしょうか？」
荀彧「まさか空城の計！殿、迂闊に中に入るべきでは無いかと」
劉備「あっあぁ。全軍、待機せよ」
全くわからず劉備軍は足止めを喰らうこととなるのだがこの江夏郡には、文字通り誰も居ない。それは何故か？少し前に遡る。
黄祖「これはこれは、劉表様、そのような大軍を率いてどうしてこちらに？」
劉表「孫策が攻めてくるのだ。江夏郡の兵も全て徴兵だ。その全軍を持って孫策軍を強襲する」
黄祖「いったいどうされたのです。そのような民の身を削るようなことをするなど劉表様らしく無い。蔡瑁殿、何があったのだ」
蔡瑁「うっ。俺は。うぅ。黄祖、良いから民を全て徴兵するのだ」
黄祖「わかりました(劉表様はいったいどうされたというのだ。そんなにも孫策が恐ろしいのか？だがこれはまるで誰かに操られているかのようだ。敵は孫策だけでは無い劉備とてこの荊州を狙っているはず。こんな時に蒯越殿や蒯良殿は何をしているのだ！)」
民「横暴すぎるだろ。何で、全国民を徴兵する必要がある。なんとかいえー」
劉表「貴様、今何と言った？ワシが横暴だと。国のためにこの国を守ろうとしているワシに対して、なんたる言い草だ。あの者を捕らえよ。牢にぶち込んでおれ」
民「離せ。何しやがる」
劉表兵「逆らう者に死を」
民「おい、やめろ。牢に投獄だろ。何して。うわぁーーー」
民「ひぃっこんなこれがあの劉表様だってのか。嘘だ嘘だ嘘だ」
劉表兵「逃がさん」
民「ひっ、悪かったから兵士として戦いますからどうかどうか命だけは。ぎゃあ」
劉表「黄祖、お前に先陣を任せる。必ずこの江夏郡の全ての民を兵として動員し、孫策を殺せ。わかったな」
黄祖「はっ(馬鹿な！？こんなことが許されて良いはずが。そうか、今わかった。ワシもこうして甘寧が海賊上がりだからと手荒に扱っていた。人として扱われぬことがこんなにも苦しいことであったとは。すまん甘寧よ)」
？？？「むぅ。まだ安定せんか。劉表の野心に簡単に付け入ったが。此奴は中々に強固だな。洗脳度合いで言うなら不安定すぎるといえる。やれやれ、仕方がない。確実にここで孫策を殺さねばならんからなぁ。悪く思うな。なーに精神が少し壊れる程度のもんじゃ。アヒャヒャヒャヒャヒャ」
蔡瑁「うっどうして俺は。いったい何を。うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。劉表様のため。孫策を必ずぶち殺す。ヒヒャヒャヒャヒャ」
？？？「良いぞ良いぞ。その調子で我が掌で踊り狂うが良い」
【張角診療所】
張角「何だこの禍々しい気は、まるでこれは彼奴の？しかし彼奴は死んだはず。どういうことじゃ。生きているのであれば決着を付けねばなるまい。すまん宝・梁」
【襄陽】
蒯越「何故、このような目に遭わされねばならん」
蒯良「殿はいったいどうしたというのでしょう。従わない者を悉く投獄するなぞ。常軌を逸している」
蒯越「あぁ、我々もこの通りなわけだ」
劉表兵「反逆者には死を」
蒯越「俺たちの番が来たということかコレは？」
蒯良「まずいですな」
【長沙】
魏延「なんだこれは。お前たちどうした？何故味方同士で殺し合う。まるで何者かに操られている？止めよ。うぐっ」
長沙兵「劉表様に逆らう反逆者には死を」
梟「フハハハハ。全くこんなにも上手くいくとはなぁ。孫策」
孫策「鄧当・凌操、返事をしろ。何だこれは何が起こっているんだ。貴様、いったい何をした」
周瑜「伯符、逃げろ。俺たちは嵌められた」
孫策「公瑾、誰に嵌められたっていうんだ」
周瑜「それは。ぐふっ」
翔「悪いな。テメェらは誰1人として逃がさねぇよ」
孫策「公瑾、嘘だろ。おい、貴様ら絶対に許さんぞ」
柊「許さないのはこちらの方ですわ」
孫策「いったいいつの間に。うぐっ」
蓮「へぇ、あの一撃じゃ死なねぇのか結構やるじゃん」
孫策「ハァハァハァハァ、お前たちは何者だ？」
梟「俺たちは闇夜団。許貢様直属の暗殺集団だ。主の仇、取らせてもらうぞ」
孫策「へっやってみろ。テメェら全員道連れにしてやるよ」
于吉「我が呪いを受けよ」
孫策「グワァーーーーーーーー。何だこれは。力が抜ける」
于吉「さぁ柊よ。その短刀でトドメを刺してやるが良い。さすれば許貢が復活しようぞ」
柊「終わりですわ」
孫策「ハァハァハァハァ。お前たちは本当に許貢が帰ってくると思ってんのか。死んだ人間は蘇らねぇよ。そんなこともわかんねぇのか」
于吉「黙っておれ」
孫策「・・・・・・・・・！」
柊「あぁ、許貢様、これで逢えますわ」
孫策「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
孫策の身体から噴き出した血が人の形となり、やがてそれが鮮明となる。
梟「そんな、本当にこのようなことが。許貢様、お帰りをお待ちしておりました」
許貢「うむ。御苦労。今一度、呉郡を我が車中にしよう」
しかし次の瞬間、人の形をしたそれが弾ける。そして、張角が現れた。
張角「于吉よ。人の死を冒涜しよって。そうやって、彼らの心を縛るのが目的であろう」
于吉「ヒヒャヒャヒャヒャ。まさか貴様の方から飛び込んできてくれるとはなぁ。柊、そいつの持つ太平清領書を奪え。そうすれば許貢が生き返る」
柊「！？さっきのは何だったの？」
于吉「魂を呼び戻せたのが一時的だっただけじゃ。愛しの許貢に会いたくは無いのか？」
柊「すみません。我々の悲願のため死んでください」
張角「目を覚ますのじゃ。今のを見たであろう。しまった」
鏑「どうやら、これみたいでやすね」
于吉「さぁ、孫策などと比べものにならんほど上質な血が現れたのじゃ。柊よ。其奴を殺せば許貢に逢えるぞ」
柊の短刀で貫かれて絶命する張角。
張角「何故、わからぬ。大馬鹿者が。ガハッ」
于吉「ヒヒャヒャヒャヒャ。ヒヒャヒャヒャヒャ。アヒャヒャヒャヒャヒャ」
柊「于吉？」
于吉「馬鹿ばっかりだとホント楽だよなぁ。死んだ人間が生き返るわけないってのによ。おっと、お前らはもうおれの言葉に逆らえないけどな」
梟「貴様、何を。うっ。于吉様に我々闇夜団は忠誠を誓います」
柊「于吉様、何なりと御用命を」
于吉「希望から絶望に叩き落とされたお前たちの心を支配するなぞ。容易なのだよ。アヒャヒャヒャヒャヒャ」
【江夏】
劉備軍は、誰もいない江夏を不審に思い。待機していたが何も起こらず夜を迎え、野営をし眠りにつく事にした。そして、朝驚愕する。義賢のテントだけがまるで炎で焼かれたかのように焼け焦げ、中から１つの焼け焦げた遺体が見つかった。
張角・孫策・周瑜・鄧当・凌操・魏延・蒯越・蒯良・そして義賢、多くの命が散ってしまった。そして、時は巻き戻る。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
