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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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蘆江の戦後処理

 陸績は、兄である陸儁に言われて、袁胤の魔の手から逃れるため民たちや子供を連れ、隠れていた。そんな皆んなが戻った蘆江を目にして、嗚咽していた。袁胤により血を吸い尽くされた者たちの異臭。それらを掃除する劉丁軍の面々の中には、吐き気を催している者が多数いた。陸績・大喬・小喬は、それぞれ家族の遺体の元に。紀霊は、かつて袁術の臣下として苦楽を共にした劉勲の遺体のもとへと向かう。


 陸績「父上・兄上、このような姿にさせてしまい、申し訳ありません。必ずやこの陸公紀が陸家の新たな党首となり、皆を支えます。だからどうか安心して眠っていてくだされ」


 大喬「父上、思惑通りとは行かなさそうです。存外劉備軍を束ねる軍師殿は手強いです」

 小喬「あんな男となんて絶対嫌」

 大喬「えぇ、そうね。でも、仇を討ってくれたことには感謝しないとね」

 小喬「私たちを女だと侮ってるんだよ。それにお姉ちゃんを疑うなんて失礼しちゃう」

 大喬「えぇ、でも今の私たちは保護されている身。勝手はできないわ」

 小喬「父上の目が節穴だから、私たち困っちゃってるんだからね」

 大喬「憎まれ口が叩けるのなら父上も安心しているわよきっと」

 小喬「そうだといいな」


 紀霊「劉勲、お前ほどの男が袁胤に利用されるとはな。馮方女様と袁燿様・袁紅姫様は、任せよ。一足先に袁術様と向かうで待っていてくれ」


 蘆江では、義賢が孫堅との交渉のため諸葛瑾を呼んでいた。

 義賢「諸葛瑾殿、遠路はるばる御苦労をおかけします」

 諸葛瑾「気になさいませんように。それにしても蘆江の奪取は、大変嬉しいですが孫策には困ったものですね。交渉は孫劉同盟の維持でよろしいですか?」

 義賢「あぁ、そのための交渉材料として、亡き橋玄の美人姉妹をと考えています」

 諸葛瑾「ふむふむ。確か、孫堅殿の嫡男である孫策は、まだ妻をとっておりませんでしたな。こちらから要求することは、寿春と蘆江で良いのですか?」

 義賢「あぁ、それでお願いできるか?」

 諸葛瑾「わかりました。やってみましょう」

 諸葛瑾が孫堅の建業へと向かう。


【建業】


 建業では、孫策が劉備と揉めたことに対し、孫堅が怒っていた。

 孫堅「策、劉備殿と揉めたそうだな。申し開きはあるのだろうな」

 孫策「親父、揚州は俺たちの再出発に必要な要地だ。それを勝手に、劉備の野郎は手を出した。許せるわけがねぇ」

 孫堅「馬鹿者が劉備殿とは、漢室復興のため足並みを揃えなければならんのだ。それをお前という奴は」

 周瑜「大殿、俺も伯符と同じ気持ちです。劉備をこれ以上助長させるのは良くないかと。やがて荊州にも目を向けます。その先は益州です。そうなってからでは、我々は劉備の庇護下に置かれましょう」

 孫堅「俺は漢室がそれで助かるのなら本望だ」

 孫策「親父はいつからそんなに牙が抜けた。虎が聞いて呆れるぜ。今の親父は猫だ。曹操や劉備に恐れて丸くなってる猫だ。俺は俺のやり方で、家族を守る」

 孫堅「待て策。イタタタ」

 黄蓋「殿、そう興奮なさいますな」

 程普「劉備殿と刃を交え、牙を折られるかと思っていましたが」

 韓当「若虎の牙は想像以上に鋭かったみたいなんだなぁ」

 孫静「兄上、劉備殿の使者が参っています」

 孫堅「なんだと!すぐに通してくれ」

 劉備の使者が入ってくると孫堅は深々と頭を下げる。

 孫堅「此度は我が愚息が迷惑をかけたようだ。申し訳ない」

 諸葛瑾「そのことでは、こちらも蘆江を攻めることを伝えて居ませんでした。おあいこということで、我が殿から孫劉同盟の更なる結び付きの強化をと」

 孫堅「それは願ってもない」

 諸葛瑾「蘆江にて、橋玄殿の姉妹を保護したのですが、この2人を我が殿である劉備玄徳の養女とし孫堅殿の御子息である孫策殿に嫁がせたい」

 孫堅「では、こちらからは我が娘である孫尚香ソンショウコウを劉備殿の妻に」

 諸葛瑾「それはお待ちください。こちらは、保護した姉妹を養女としてなのです。その対価に孫堅殿の娘では釣り合いませんでしょう」

 孫堅「策や権も妹には甘い。その妹が劉備殿に嫁げば、無茶はしないであろう」

 諸葛瑾「しかし!」

 孫堅「更なる結び付きの強化なのだろう。これ程良いことはあるまい。元々、娘を劉備殿の妻にという話はしていたしな」

 諸葛瑾「ふむぅ。しかし、孫尚香殿は、8歳なのでは?流石に若すぎる」

 孫堅「ハッハッハ。なーに30程の歳の差では無いか」

 諸葛瑾「そこまで、仰られるのでしたら。一度2人に会ってもらいましょう」

 孫堅「うむ。こちらもその姉妹と会って決めてもらうとしよう」

 諸葛瑾「では、これで失礼致します」

 孫堅「うむ。良い返事を期待している」

 諸葛瑾が蘆江へと戻ってくる。


【蘆江】


 義賢「あの話がまだ生きていたか。だが、確かに成立すれば強固な孫劉同盟となろう(でも確か孫尚香って、侍女を武装させて侍らせたり、我儘で劉備軍を困らせた挙句。阿斗を連れ去ろうとしたトラブルメーカーだよな。うーん、頭が痛くなってきた)」

 諸葛瑾「劉丁殿、如何いたしますか?」

 義賢「その件を兄上に伝えて、こう付け加えてくれ。断るなと」

 諸葛瑾「了解しました」

 その頃、下邳でも問題が起こっていた。


【下邳】


 ???「曹操様の使者として参りました。性を楊。名を脩。字を徳祖。楊脩徳祖ヨウシュウトクソと申します。我が主、曹操様は袁術討伐で得た寿春と蘆江について、話がしたいとのことです。御同行願えますか?」

 劉備「わかりました。献帝様にお返ししなければならないものもありますので、同行しましょう」

 楊脩「あーそうでした。荀彧殿の御同行もとのことです」

 荀彧「!?わかりました(十中八九、郭嘉の策ですね。私が劉備軍にいることがバレてしまいましたか。説得して、曹操に仕えさせたいといったところでしょうか。やれやれ。やりにくい相手ですね。ですが殿を1人で行かせるわけにも行きませんね。何としても寿春と蘆江の統治を認めさせなければ)」

 劉備は荀彧と共に献帝と曹操のいる許昌へと向かうのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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