蘆江攻めのための準備
義賢が家に帰ると心配顔をした董白が駆け寄ってきた。
董白「大丈夫?夢で見たわ。今度は、蘆江で死ぬなんてね」
義賢「あぁ、董白。お前だけでも俺のこの力を知ってくれていて、嬉しいよ」
董白「馬鹿!(嬉しいなんて、そんな言葉。素直に言わないでよ。私もって素直にいえない自分がもどかしい)」
劉白「父上、お帰りなさい」
義賢「うおっ。劉白、居たのか?」
董白「何、驚いてるのよ。私とお絵描きしてたのよねぇ」
劉白「うん」
義賢「(董白にあのことは絶対にいえない。というか実は、中身は、俺の御先祖様だなんて、言えない言えない)」
董白「どうしたのよ。遠い目しちゃってさ。変なパパだよね」
劉白「父上は、大役を任されているのです。少し、気を張っておられるようです。劉封のところに私は遊びに行くので、母上が父上を癒してあげてください」
董白「えっ?ちょっと劉白。なんて事言うのよ」
劉白が気を利かせて外に出て行ったので、俺は後ろから董白を抱きしめる。
董白「キャッ。いきなり何よ(これがママ友たちが話してた。うっうっ後ろから抱きしめられるってやつ!キャッ、やばい心臓のドキドキが止まらなーい)」
義賢「董白、愛してる。暫く、こうしてていいかな?」
董白「好きにしなさいよ(あっ愛してるは、もっと言ってーそして、いつまでもそうしててー)」
その後は、勿論、仕事仕事で忙しかったこともあり、久々に夜の方も燃え上がるのだった。
董白「本当元気ね」
義賢「董白が優しく包み込んでくれるから」
董白「ばっ馬鹿、何言ってるのよ(戦では役に立たないし、こんな事しかできないけど義賢の役に立ててるなら嬉しいな)」
義賢「そういう、言い方はキツイのに心では嬉しがってるところとかね。もう可愛くて可愛くて仕方ない」
董白「キャッ!もーう、はいはい。勝手に言ってなさい(こういう、私のことちゃんと見ててくれてるところとか大好き)」
義賢「(董白といると不思議と考えが纏まる。油断したことが原因なら油断せずに行けば良いのだ。呂布殿と明日話し、張遼と高順だけでなく、もう後2、3人回してもらえないか頼んでみるとしよう)董白、もう一回」
董白「えっ?嘘でしょ」
事が終わり董白が横を見ると、スヤスヤと眠る義賢がいた。
義賢「スースー」
董白「あんなにして、スヤスヤ眠ってるなんて、疲れてるならしっかり休んでよね。私にとって、アナタが1番大事なんだから」
董白は、そっと義賢の頬にキスをして、外に出る。すっかり朝日が顔をのぞかせる時間だった。朝食の支度をして、黝廉の元に向かう。
董白「黝廉、人参だよ」
黝廉「ヒヒーン(董白ちゃんだ)」
董白「もう頬をペロペロしないで。くすぐったいんだからぁ」
黝廉「ヒヒーン(董白ちゃんから御主人様の匂いがする。久々に帰ってきて嬉しいのね)」
義賢の愛馬としてずっといる黝廉と違い、董白とは、仕事の関係上、数週間程会えないこともある。
董白「黝廉、義賢のことお願いね」
黝廉「ヒヒーン(董白ちゃん、そんなに不安そうに、私に抱きついて、どうしたのかな。御主人様のことなら任せて)」
義賢は、食事を済ませると外に出た。そこには、すでに準備を終えた趙雲・黄忠・甘寧が集まっていた。
趙雲「劉丁様、準備はできております。号令を」
陳応「どうか鮑隆と共に供をさせていただきたく。叔父上には、少し世話になっていたこともあり、許せないのです孫策軍が」
鮑隆「俺は、陳応と趙雲様に付いてくだけだ。足は引っ張らねぇよ」
義賢「叔父上?」
陳応「あっ言ってませんでしたね。俺は、陳珪の子で、孫策により、壊滅させられた陳瑀は叔父に当たるのです」
どういうことだろう?前回は、この話を陳珪殿から聞き、陳登殿の同行を断った。今回は、陳応からこの話を聞いた。それ以上に、この陳応が陳珪殿の子であることに驚きを隠せなかった。もう、戦準備をして、趙雲殿の供をする気満々なこの2人を止めることなどできるはずもなく同行を許可するしかなかった。
義賢「わかりました」
そこに呂布殿が見た目が賊っぽい部下と大斧を持った部下と別に2人の男を連れて来た。
義賢「臧覇殿と孫観殿!」
臧覇「此度の蘆江攻めの話を聞き、呂布殿に無理を言って付いてきた」
孫観「まぁ、宣高を1人にするわけには行くまい。供をさせてもらう」
徐晃「徐公明と申す。偶々、呂布殿が兵を集めているのをお見かけして、付いて参った」
張燕「黒山賊を率いている張燕と申す。手を貸しましょうぞ」
徐晃って、あの確か満寵の友人とかで楊奉に仕えていた人だよな。成程、楊奉が呂布に仕える時にそのまま徐晃も。それにしてもこれは願っても無い援将だ。それに張燕は、確か100万もの罪人や盗賊を率いていた人だよな。そんなものまで惹きつける呂布殿の魅力って。2・3人で良かったところ6人もの将を加えて、万全の状態で、寿春へと向かう。寿春では、陳珪が逃げてきた陳瑀を匿い陳登が孫策に対し、怒りを燃やしていた。
陳珪「登、そう急くでない」
陳登「親父は悔しくねぇのかよ。これは陳家に対する宣戦布告だ。孫策のやつ、俺はぜってぇゆるさねぇぞ」
陳珪「わかっておる。ワシも同じ気持ちじゃ。しかし、殿と孫堅は孫劉同盟を結ぶ間柄、それをワシらの独断で崩すわけには行くまい。この件は、殿に報告せねば(全く、瑀の奴め、余計なことをしおって、逃げるなら別のところに行けば良いものを)」
紀霊「あれは、劉丁様!」
陳珪「もしや、もう聞き付けたのか?いかん、出迎えるのじゃ」
義賢「陳珪殿・紀霊殿、出迎え感謝します。これより蘆江攻めに向かうのです」
陳登「!?流石、殿は話のわかる方だと思っていた。孫策への復讐ですな」
義賢「えぇ、蘆江で衝突することは避けられぬでしょう。だから俺の独断ということで責任は全て俺が取りましょう」
陳応「親父・兄貴?その久しぶり」
陳珪「この放蕩の馬鹿息子が何しに参った」
陳応「いや、その俺、今は趙雲様に世話になってんだ。だからよ。その蘆江攻めに加わるところでよ」
陳登「お前が蘆江攻めに?」
陳珪「いや、良い。殿や趙雲殿のため、しっかり励むのじゃぞ」
陳応「おぅ」
寿春にて、行軍の疲れを癒すと蘆江へと兵を進めるのだった。
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