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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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蘆江を巡る戦い(承)

【劉丁軍本陣】


 孫策軍が引き分けで、1日の終わりを宴で楽しんでいる時、劉丁軍では、次なる作戦が進行していた。

 義賢「太史慈殿、先ずは、相手の挑発に乗った一騎討ち、ありがとうございました」

 太史慈「あれでよかったのですか?」

 王允「えぇ、あれで孫策軍は、こちらに知恵者が居らず連れて来た猛将の中で強い者を小覇王と称される孫策に充てたと考えたはず。その隙に乗じてこちらは。ゴホゴホ。失礼しました。また痰が絡んでしまいましたな」

 呂布「しかし、張遼を貸して欲しいと言われるとは」

 義賢「張遼殿と甘寧殿による夜襲にて、孫策軍に少し痛手を与えておきたくてね」

 呂布「何故、張遼なのだ?」

 義賢「何となくではありませんよ。勿論、夜襲とは少数の兵を率いて、仕掛けるのです。当然、バレれば死ぬという不安を兵士たちは抱くでしょう。しかし、張遼殿は、兵たちの人望もさることながら大将として率先して動くことからも兵たちに安心感を与えられると判断したのです」

 呂布「成程な」

 黄忠「では、何故甘寧なんじゃ?」

 義賢「甘寧殿は、元海賊です。元々、少数精鋭を率いて動き回ることを得意としています。奇襲の効果を存分に発揮してくれるかと」

 黄忠「成程のぅ。して、我らは休んで良いのか?」

 義賢「えぇ、明日の朝、張遼殿と甘寧殿には休んでもらうので、今我々が寝ることが重要です。孫策軍に疲れを蓄積させるのです」

 趙雲「了解した」

 そう、義賢は、孫策軍へ疲れの蓄積も兼ねて、昼夜問わず奇襲にて、攻め立てることにした。一度奇襲すれば、次の日も来るかもしれないと落ち落ち寝られないはずだ。対して、向こうは、こちらに奇襲を仕掛けられない。奇襲が来るかもしれないと考えながら相手側に奇襲部隊を送ることなどできるだろうか。そう、もう心理戦は、始まっているのだ。夜は平地だから攻撃が無いだろうと油断した孫策軍に戦慄が響き渡る。


【孫策軍本陣】


 張遼「手筈はわかっているのだろうな」

 甘寧「まぁな。俺が兵糧に火を付け回って、張遼殿が暴れ回るだろ?」

 張遼「理解はしているようだな」

 甘寧「俺が元海賊だから馬鹿だとでも思ってんのか?」

 張遼「違うのか?」

 甘寧「こう見えても昔は良いとこの坊ちゃんよ。読み書きは当たり前にできるし、自分で考えて行動してるつもりだ」

 張遼「そうか、失礼した」

 甘寧「気にすんな。じゃあ、いっちょ孫策軍に恐怖を植え付けてやるとしますか」

 張遼「うむ」

 宴を終えた孫策軍の面々が眠りに付いている頃、火薬壺が兵糧を積んでいた荷車に投げ入れられる。突然の襲来に驚き起き上がる孫策軍の面々。

 孫策「何だ。何が起こってる!?」

 孫権「兄上、御無事でしたか。どうやら劉備軍が夜襲を仕掛けて来たようです」

 孫策「何だと!?権、相手の兵数は?」

 孫権「暗くてよくわかりません」

 周瑜「やられた!?昼間の奴らの力攻めは、見せかけだったのか!剛の者しか連れて来ていないと我らに思わせるための!くそっ劉備如きにしてやられるとは!」

 呂範「凌操殿が、劉備軍の者を捕捉し、追っていきました」

 孫策「何!?どっちに向かった」

 呂範「劉備軍の本陣方面に」

 周瑜「馬鹿な釣り出しだ!すぐに凌操を呼び戻せ。手遅れになる前に」

 張遼の刃が混乱している孫策の弟孫権の眼前に迫る。その刃を受け止めたのは、周泰であった。

 張遼「張文遠、推参。孫策軍の者共よ。戦の最中に呑気に宴とはな」

 孫権「ヒィーーーーーーーー。うわぁ」

 孫権は、あまりの恐怖で尻餅をついた際に漏らしてしまった。

 周泰「、、、主には、手を出させぬ」

 周瑜「孫権様!それに張遼だと!?呂布軍の猛将がどうして!?まさか、呂布も来ているのか!?」

 孫策「そんなことよりも権、無事か?」

 孫権「何とか」

 孫策「周泰、権のこと感謝する」

 周泰「、、、主を守るのが影の務め」

 孫権の護衛として数多の戦にでて傷を増やすことになる周泰と孫権による絆の始まりであった。張遼は、闇夜に乗じてまた姿を消した。

 孫策「クソっ。どこに行った?」

 周瑜「まずいな。兵たちも恐れ慄いている。張遼が来たとそこら中から」

 呂範「これでは、今日は誰も眠る事はできないでしょう」

 周瑜「ぐぬぬ」

 一方、火をつけて回っていた男を追いかけた凌操は、ようやく追いつく。

 凌操「もう逃げられんぞ。観念せい盗人め」

 甘寧「いやぁ。まさか本当にここまで追ってくるなんてな。オッサン、わかってんのか。ここ俺らの本陣」

 凌操の周りを取り囲む甘寧の精鋭部隊の錦帆賊きんぱんぞく

 凌操「何と!?誘い込まれたのは、ワシの方であったか。こうなっては、やむおえん貴様を倒して、突破させてもらう」

 甘寧「やれるもんならやってみなってな」

 凌操は、近距離戦闘を好んでいた。対する甘寧が今日持って来た武器は、中距離戦闘だ。近距離を好む凌操が近づく隙を付き、先端に錨の形をした刃が凌操の背中に突き刺さる。

 凌操「なんじゃ、その変な武器は?」

 甘寧「気にすんなよオッサン。かかって来な」

 凌操「舐めおって、小僧が」

 甘寧「この辺りだな」

 凌操「どこを狙っている?おわりじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 甘寧「そして、引き付けるだっけ?」

 凌操「何故、背中に。食い込んでくる。グハッ(孫策様、申し訳ありませぬ。凌統、父の死を超えて強く生きるのだぞ)」

 甘寧「良い武器だな。初見殺しってやつだな。外したと思うもんな普通、その後、引き付けた時に背中に刺さるって、完全な奇襲用の武器だな。本陣近くに置いとくのはダメだな。運んでやる」

 この夜、甘寧により燃やされた兵糧・そして猛将の凌操の死、張遼により、徐逸ジョイツ李術リジュツ・祖郎の3将が討ち取られ、多くの兵を失うこととなる。孫策軍にとって痛い一撃となった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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