蘆江を巡る戦い(起)
蘆江にて、3勢力が顔を突き合わせる。
【孫策軍】
孫策「やはり、劉備は油断ならない男だな」
周瑜「えぇ、本人が出てこない辺り、この戦いを勝手にやったと言い逃れできるようにでしょう」
孫権「それは、こちらも同じでしょう。父上に気付かれる前に終わらせなければなりません」
蒋欽「こっちは10万、袁術の残党は10万、劉備は8万。まずは、袁術の残党と組んで、劉備を叩いた後、袁術の残党をやっちまえば良いのさ」
呂範「これよりも袁術の残党を城より打って出させ劉備軍と対している間に城を奪うのが良いでしょう」
周瑜「成功する確率は低いでしょう。相手の狙いもまた我々と劉備軍の共倒れでしょう。だとすれば動かないでしょう」
孫策「公瑾。俺は、膠着は、ごめんなんだ。袁術の残党共が動かねぇなら先に劉備軍を潰すまでってな」
周瑜「待つんだ伯符。アイツは総大将としての重みを理解しているのか。皆、伯符を守るのだ」
孫策軍は、袁術軍残党を無視することを決め、先ずは、劉備軍へと狙いを定めた。
【劉丁軍】
義賢「蘆江は、荊州を得るために必要不可欠となる要地。孫策に渡すわけには行きません」
王允「勿論、それだけではありませんぞ。蘆江は長江上流にある肥沃な地。食料の観点からも譲るわけにはいかぬ要地でしょうな。ゴホゴホ」
呂布「義父上、無理をなさらず」
王允「案ずるな奉先よ。痰が絡まっただけゆえな(我が命の灯火が燃え尽きようとしているようだな。せめて、この義息子が安住できるまでは、まだ死ねぬ。丁原殿、貴方の育てた息子は、立派に成長しておりますぞ。もう少し、ワシに時を下され、あの世への良い土産話とするためにな。そのためにもまずはこの戦い、蘆江を何としても手に入れねばならぬ)」
義賢「(王允殿のこの様子、病などではあるまい。そうか、本来は、反董卓連合の時に死んでいた命が延びていたのだ。本来の寿命に到達しようとしていると言うことだろうか?まだ、逝かれては困る。困るのだ王允殿)」
趙雲「袁術の残党軍は、城にて沈黙を決めたようです」
黄忠「じゃが、奴らは、ほうではないようじゃのぅ」
甘寧「孫策だが何だかしらねぇが。血気に流行ると早死にすんぞってな」
樊玉鳳「しかし、相手は、古の英雄項羽と並び称され小覇王の異名を取っています。油断は、なさいませぬように」
太史慈「ここは、俺に任せてもらおう。田豫殿、劉丁様のことは、任せたぞ」
田豫「了解した」
単騎で突撃して来た孫策を迎え撃つ太史慈。
義賢「(孫策vs太史慈殿がこんな形で実現するとは。この一騎討ちお互い負けられないゆえ、負けて撤退など双方しないだろう。太史慈殿、勝ってくれ)」
【孫策vs太史慈】
孫策「おっ。俺を迎え撃とうってか。劉備軍、良いじゃねぇか。まずは、小手調べってな」
太史慈「太史子儀がこれより先は進ませぬぞ」
孫策「太史慈っていうのか。俺の名は、孫伯符だ。楽しもうじゃねぇか」
孫策が踏み込んで、戟で薙ぎ払う。太史慈は、それを双鉄戟にて、受け止める。
孫策「へぇ、やるじゃねぇの」
太史慈「貴殿もな」
孫策が下がると今度は太史慈が双鉄戟を交互に振り下ろす。孫策は、その攻撃に対して器用に右手に戟と左手に剣を持ち、交互に打ち合う。
孫策「甘いぜってな」
太史慈「何と!?剣も隠し持っていたか!」
まるで永遠とも思える時間2人は打ち合いを繰り広げていた。埒があかず太史慈は下がると弓を取り出し放つ。それを見て孫策も弓を取り出し放つ。双方の放った矢がぶつかり合い相殺される。
孫策「今のは、危なかったぜ。弓も持って来ていてよかった」
太史慈「多彩な武器をこうまで巧みに使い分けるとは、孫策、侮れぬ男よ」
孫策が踏み込みまだ続けようとしたところで銅鑼の音が鳴る。
孫策「ちぇっ、今日のところは引き分けだな太史慈(へぇ太史慈かあんなのが劉備軍にいるとはなぁ)」
太史慈「そのようだな(孫策、恐ろしい男だ。何はともあれ、劉丁様に近付かせる事は防げた)」
銅鑼の音は、夕刻を告げる合図。1日目が終わったという事だ。孫策と太史慈の一騎討ちは、引き分けで幕を閉じた。
【孫策軍本陣】
周瑜「伯符、この馬鹿者。お前は、総大将としての自覚が無さすぎるぞ。一騎討ちで負けていたらどうするつもりだったのだ」
孫策「そんなに怒んなよ公瑾。それともお前は、俺が負けるとでも思っていたのか?」
周瑜「そういうことを言っているのではないだろう!」
孫権「まぁまぁ、周瑜も怒るのはそれぐらいに、兄上も無事だったのですから。ですが兄上、私も肝を冷やしましたよ。次からは遠慮してくださいね」
孫策「権、何言ってんだ。明日、再戦すんぞ」
呂範「それはなりません。この戦いは、時間との勝負であることをお忘れですか?孫堅様に気付かれる前に蘆江を落とさねばならないのです。明日は、総攻めにて劉備軍を打ち倒し、蘆江城に攻城戦を仕掛けるのです」
孫策「わーったよ。わーったからそんな詰め寄んなよ子衡」
呂範「わかれば良いのです」
孫河「しかし、劉備軍は、猛将揃いと聞きます。いかがするつもりで?」
周瑜「猛将とて、1人づつ処理すれば問題ありません。幸い、今日の戦いからと分かる通り、知恵者は居ないでしょう」
孫策「おぅ。誘き出した猛将を一騎討ちで駆逐すりゃ良いんだな」
呂範「何も学んでおられないようですな」
孫策「待て待てって子衡」
周瑜「妻でも居れば少しは落ち着くのであろうか?」
孫権「ハハハ、どうでしょう兄上ですから」
闇夜に紛れて、この後震え上がらせられるとも知らず呑気に宴をしている孫策軍であった。
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