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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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事は一刻を争う

 静寂の時の中で2人の男が同時に声を上げる。

 義賢「これはまずいことになった」

 荀彧「これはまずいことになりました」

 張宝「えぇ、私も劉丁様から話を聞き、まずい事態になっていると思い、この機に話に来たのです」

 義賢「孫策はもう蘆江に進軍しているのか?」

 張宝「いえ、今は兵を集めている頃かと」

 荀彧「今の話を聞く限り孫策が用意できる兵数は10万以上。対してこちらは、袁紹・曹操に対する備えも残しておかなければなりません。動員できて、3万が限界でしょう」

 劉備「待て待て、お前たちは誰と争うというのだ?孫堅殿と私は同盟を結んでいるのだ当然孫堅殿の息子である孫策殿とも」

 義賢「事は、そう簡単ではないのです!」

 荀彧「孫策に先に蘆江を取られれば我が軍は荊州への足掛かりを失います。それは即ち、我が軍の終わりを意味します」

 劉備「そうなったら孫堅殿と交渉して、蘆江を貰い代わりに何処かを割譲すれば良かろう」

 義賢「兄上!そんなことをすれば、我が軍の国力が低下すると何故お分かりにならない!」

 荀彧「そもそも、速さの勝負で出遅れたのはコチラ。曹操から受けた傷を癒すのに思いの外時間を要したこともこの最悪の危機に繋がっているかと!」

 王允「ふむぅ。そう焦る必要はありませんぞい。蘆江を治める劉勲は、袁術に心酔していた男ゆえ。劉備殿のことを心底恨んでおられるようじゃ。概ね。蘆江を餌に孫策と劉備殿を争わせようとしているのでしょうな」

 荀彧「えぇ、そんな事は分かりきった事です。それでも我が軍にとって最大の危機と言える」

 王允「なーに。心配せずとも最強の矛が居るではないですかな?」

 義賢「成程、呂布殿か!」

 王允「ホッホッホ。世話になっている以上、手を貸すことになんの躊躇いがありましょうや。我が軍5万を加えた8万で蘆江を攻めればよい」

 劉備「そんな、呂布殿にはこちらが助けてもらったのだ。兵として駆り出すために客将として迎えたのではなく。落ち着ける場所をと思ったのですが」

 王允「なら客将ではなく。りゅうび殿の配下に迎え入れられるが良い。我が義息子ならそれに応じると思うのじゃが」

 劉備「しかし!」

 義賢「そのことを考えるのは後です。俺は、兵をまとめ蘆江へと向かいます。甘寧殿と黄忠殿・趙雲殿をお借りします」

 劉備「うむ。わかった。しかしくれぐれも孫策殿と事を大きくするでないぞ」

 義賢「約束はできません。荀彧殿、兄上のことを頼みます」

 荀彧「劉丁殿もくれぐれも注意するのです。蘆江は、天下二分にとって、重要な要地です。何としても手に入れなければなりません」

 義賢「えぇ、わかっています(例え孫堅殿との孫劉同盟に亀裂が走ろうともこればかりは譲れない」」

 劉丁が3将軍に号令をかける頃、王允もまた呂布の元へと戻り、事を報告呂布自ら率いる5万の軍勢が援軍として加わることとなる。黄忠と甘寧、趙雲は、見せたいものがあると言われ孫軟児と樊玉鳳に連れられ、小沛から下邳へと拠点を変えた腕利きの鍛治師の元へと訪れていた。

 趙雲「2人してそんなに引っ張るな」

 孫軟児「早く早く」

 樊玉鳳「こっちです」

 黄忠「甘寧よ。行くぞい」

 甘寧「待ってくれよ黄忠の爺さん」

 そんな5人が鍛冶屋の前で鉢合わせる。

 孫軟児「あっおじいちゃんと海賊さんだ」

 趙雲「この馬鹿、なんて口の聞き方をしてるのだ。申し訳ありません黄忠殿・甘寧殿」

 甘寧「おぅ譲ちゃん、相変わらず元気だな。サプライズ成功ってか。ハッハッハ」

 黄忠「2人の想い、趙雲殿にきっと届くはずじゃ」

 趙雲「???」

 中から煤だらけの顔で髪もボサボサになっている店主の呂舞が出てくる。

 呂舞「アンタらうるさいんやけど。呼んだのこっちやけど。もうそこし静かにしてよね」

 全員謝る。

 呂舞「反省したなら良い。じゃあ、まず誰の武器から?」

 孫軟児「はい、私のダーリンのから」

 呂舞「はいはい」

 呂舞はそういうと奥から一際大きな槍と投げられる程度の小さな槍を複数持って出てきた。

 呂舞「この大きな槍は、涯角槍ガイカクソウっていう。一応2人の要望通りかなり大きく作った。生涯に並ぶ物無し、最高の槍って意味で付けた。こっちの小さな槍は投げてみてよ」

 趙雲「あっあぁ」

 趙雲が小さな槍を投げるとその槍が手元に戻ってきて、収納されたのだ。

 呂舞「うんうん。ちゃんと機能してるね。我が腕ながら痺れる」

 趙雲「なんなのだコレは?」

 呂舞「槍の持ち手の方にね。糸とそれを巻き取る装置を付けたんだよ。簡単な作りだけどね。相手に刺さらなかった場合は回収可能って感じかな。相手に刺さるとそれ以上の馬力は出せなかったから無理だけどね。極力投げやすいように小さい槍だけど強度は相当な物だよ。要はその腰につけた鞄の左右についてるのを回せば回収できるようになってる」

 趙雲「外してくれ。これは危険だ」

 呂舞「ちぇっ。わかったよ。じゃあ小さい槍も要らないね?」

 趙雲「それはもらう。後その革の奴も。投げて槍が戻ってくるっていうところに目をつけたところは凄いと思うが流石に危ないからな。だがその革のやつからすぐ取り出せて投げれるのは良い。ありがとう2人とも。素敵なプレゼントだ。大事に使わせてもらうよ」

 樊玉鳳「私の武器もできているのだろうか?」

 呂舞「別件で頼まれてた武器だったね。雌雄双槍シユウソウソウっていう夫婦槍なんだけどどうかな?」

 樊玉鳳「良い」

 呂舞「気に入ってくれたなら良かったよ。次はおじいちゃんで良い?」

 黄忠「おぅよ」

 呂舞「これが象鼻刀だよ。先端が象の鼻のようになっている武器なんだけどね。近づかれたらこれで相手して、遠い場合は愛用の弓でやると良いよ」

 黄忠「ほほぅ。これがのぅ。使いこなせるようにならんといけんのぅ。甘寧、手伝ってもらうぞい」

 甘寧「わーったよ。爺さんには世話になりっぱなしだったからな。それに近づかれたから死んだとか俺も嫌だしな」

 黄忠「うむ」

 呂舞「じゃあ、最後はそこの荒くれもので良いの?」

 甘寧「荒くれものとはな。面白いこと言う鍛治師のねぇちゃんだ」

 呂舞「船乗りなんだっけ?あっ海賊か?船を固定するためにさ下ろすやつあるじゃん?」

 甘寧「あぁいかりだな」

 呂舞「そうそう、それそれ。例えばさ振り回されたら強いと思わない?」

 甘寧「あんな重いの沈めるので精一杯だわ。そもそも何人がかりで巻き取ると思ったんだ馬鹿」

 呂舞「重さは、もちろん最小にしたわ。ホラ持って見てよ」

 そうやって渡された鎖の持ち手に丸い鉄球、先端に錨のような形をした刃のついた武器を渡される。

 甘寧「これはこの丸いところを持つのか?」

 呂舞「うんうん、そこと鎖のところを持って振り回すんだよ」

 甘寧「こうか」

 綺麗に地面を抉っていた。

 甘寧「???なんじゃこりゃあ。オモシレェし、使いやすい。思った以上に反動もないし長さの調節までできんのか。でも却下だな。こんなの振り回したたら味方に当たるわ」

 呂舞「ちぇっ残念。じゃあ、また何か作るよ」

 甘寧「いや待て、そもそも長いから味方に当たる可能性があるってことだからこれ短くできねぇか?」

 呂舞「具体的にどれぐらい?」

 甘寧「そうだなぁ2尺から3尺だな。それなら中距離武器として運用できるかも知れねぇ」

 呂舞「成程!手直しする」

 すぐに手直しが終わった先ほどの武器がお披露目される。

 甘寧「おお、良いねぇ。こいつの名前は錨落いかりおちだ」

 呂舞「まぁ良いんじゃない」

 紹介が終わりみんなが挨拶をする頃、あの男が来たのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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