馬騰vs韓遂(破)
馬超が深い傷で寝込んで、1ヶ月が経っていた。義弟である馬騰を助けるため羌族の趙沐蓼の息子である泥頭射率いる羌族10万、阿貴・千万率いる氐族20万の合計30万の異民族連合と韓遂・涼州豪族の率いる60万により、一進一退の攻防を繰り広げていた。
韓遂「クソ、蛮族どもめ。馬騰に協力するとは、鍾繇殿、曹操殿は、なんと申しているのだ」
鍾繇元常、曹操軍に仕える政務官であり、馬騰と韓遂の争いを止め、涼州においての火種を残しておくため使節として郭嘉により送られた者である。
鍾繇「曹操様は『馬騰が劉備の味方をしたことを責めはせぬ。早急に和解せよ』とのことでございます」
韓遂「それができたら苦労せんのだ馬鹿者。人質として捉えようとしていた桃夭と馬柳を人質に交渉しようとしたのだが。ままならないものだ」
鍾繇「(馬鹿に馬鹿と申されるなど屈辱だがここで韓遂の機嫌を損ねるわけにもいかぬ。人質か。確かに良い策ではあるが失敗した今となっては意味はないであろう。曹操様の方で変事があり、急に劉備と和睦でもない限り、馬騰と韓遂が和睦することなどあり得ぬ。馬騰の方に曹操様の使者として向かった韋端次第となるか)」
韓遂「馬超を怪我させたのにこのザマか。張恭・黄華・張進、馬超にトドメを刺して参れ」
張恭「お任せください」
黄華「我らが確実に」
張進「馬超の息の根を止めてやりましょうぞ」
3人が馬騰軍に向け進軍を開始する。その頃、馬騰軍の先鋒を任されていた龐徳率いる部隊は、馬超の抜けた穴を埋めるべく善戦していたのだが多勢に無勢、押し留めるので精一杯だった。
龐徳「叔父上・叔母上・龐淯、無事か?」
龐子夏「なんとかな。それにしても韓遂軍の勢い盛況だな。とても先の戦いで馬超殿に3人の涼州豪族を討ち取られたとは思えぬ」
趙娥「えぇ、押し留めるので精一杯ですわね」
龐淯「父上・母上・龐徳従兄、敵の新手が来る」
龐徳「なんだと!?ここに来て、さらに兵力を出せるのか」
龐子夏「泣き言を言うな徳。防ぐしかあるまい」
趙娥「そうね」
龐淯「やってやろうぜ」
龐徳「あっあぁ(あの数を防ぐのは、不可能であろう。抜かれることとなるな。怪我をした孟起を守るため盾として、できる限りのことは、するが無理だった場合は、迷惑をかけるが頼むぞ孟起)」
張恭・黄華・張進の軍に抜かれた龐徳。その頃、馬騰軍本隊の様子。
馬騰「傅幹、戦況はどうなっている?」
傅幹「泥頭射殿たち異民族連合と龐徳殿たちによりなんとか戦線を保ててるのが現状です」
馬騰「馬超を失ったのは大きいか」
牝冥「死んだみたいに言わないでもらえるかしら。超は寝込んでいるだけよ」
馬騰「あっあぁ、勿論わかっているとも。そう詰め寄るでない」
張恭・黄華・張進「馬騰は無視しろ。馬超の首を取るのだ突撃」
伝令「敵の新手の勢い凄まじく、異民族連合と龐徳様を抜きこちらに来ます」
馬騰「なんだと」
馬超「父上、ここは俺に任せてもらおう」
王異「馬超様、まだ怪我は治っていないのよ。その身体で、敵を迎え撃つと言うの?」
馬超「座して死を待つなどごめんだ。劉備殿も徐州にて、強大な曹操を相手に抗い戦っているのだ。たとえ我が軍の倍の兵力を用している韓遂が相手とは言え逃げるわけにはいかぬ」
王異「では、私も共に戦います」
尹奉「今度こそ、お役に立ちましょう」
楊阜「馬超様が頑張るって言ってんだ。気張らねぇとな」
趙昂「私たちの領地を守るため共に戦いましょう」
馬休「兄上、俺も馬族の男、兄上に恥じぬ働きを」
馬鉄「大兄上、俺も側で戦います」
馬雲緑「馬超兄様、後ろは任せて」
馬岱「龐徳殿からも若のことを頼まれてるからね。任せといてよ」
馬超「頼もしい仲間たちを持ち嬉しい限りだ。だが相手は、令明を抜いたものだ。手練れであろう気を抜くなよ」
馬休・馬鉄・馬雲緑「はい」
本陣に迫る張恭・黄華張進の軍を迎え撃つ馬超。
張恭「逃げないとは潔いな。張就・張華、軽く揉んでやれ」
張就は、張恭の息子。張華は、従弟である。
張就「そういうことだ。永遠におねんねしなぁ」
張華「その傷ではまともに動けまい。錦馬超といえどもなぁ」
馬超が前に出るのを遮る馬休と馬鉄。
馬超「何をしている休・鉄!」
馬休「我らも兄上の弟です。ここは俺と鉄にお任せください」
馬鉄「そういうことだ。雑魚共の相手なんて、この馬鉄と俺の兄馬休がしてやるよ」
張就「良いだろう。この張就が馬超の前にお前らを血祭りにしてやるぜ」
張華「張華だ。馬超の目の前で弟たちを惨殺するなんて心が躍るぜ」
馬休と張就が打ち合い、馬鉄と張華が打ち合う。
馬休「どうしたどうした敦煌に名を轟かせる張恭の親族の力はこの程度か」
張就「好き放題言いやがって、ゆるさねぇぞ」
単調な動きの張就を怒らせることで、さらに単調な動きとさせ、馬休は隙を付き槍にて一突きにした。張就を討たれ動揺した隙を付き張華に馬鉄の斧の一撃が決まる。
張就「馬鹿な!?ヌグワァーーーー」
馬休「敵将張就、馬休が討ち取ったぞ」
張華「嘘だろ張就が」
馬鉄「何処を見ている。余所見をするな馬鹿が」
張華「しまった!ガハッ」
馬鉄「敵将張華、馬鉄が討ち取ったぜ」
馬超「心配しすぎていたようだ。我が弟たちよ」
馬休「兄上、まだ油断をしてはなりません」
馬鉄「そうだよ。大兄上」
馬超「うむ。次はどいつだ。大将首の1つここにあるぞ」
張恭「クソ。息子と従弟の仇、取らせてもらう」
黄華「さて、やるとしますか」
張進「包囲は完了した。全軍馬超たちを囲んで討ち取るのだ」
張就と張華は、囮であった。真の狙いは、馬超を逃さず包囲殲滅することだったのだ。尹奉・楊阜・趙昂・王異が馬超の四方を守り、馬休と馬鉄と馬雲緑と馬岱が道を切り開くため攻撃を加えるが倒しても倒しても兵士が湧き出てくる。遠くの方で、土埃を立てこちらに向かう1人の将を見た馬超は馬岱と馬雲緑に命じる。
馬超「馬岱・雲緑、敵兵士を無視して、敵将を討つのだ」
馬岱「若、そんなことをしたら若が」
王異「こちらは私たちに任せて、必ず馬超様を御守りする」
馬雲緑「王異ちゃん、うんわかった任せる。ほら行くよ馬岱にぃ」
馬岱「もうわかったから引っ張らないでよ。若、任せたよ」
馬超「あぁ」
遠くから向かっていた将は、勿論馬超が1番信頼を置くあの者である。抜かれたことを不覚と思った彼は、背後を突くべく転身していたのだ。そしてこれが綺麗にパズルのピースを埋めるかのように決まったのだ。彼の男が背後から張進を馬岱が兵を薙ぎ払って張恭を馬雲緑がスピードを活かして黄華を一刀の元、討ち取ったのだ。
張進「フフフ、もうすぐ馬超の首が。ががが。ギョエーーーー」
???「敵将張進、龐令明が討ち取った」
張恭「何がどうなっている。何故、張進が討たれた?なっいつの間に。グワァー」
馬岱「敵将張恭。馬岱が討ち取ったよ」
黄華「何故隊列が乱れているのだ。敵は1人、早く仕留めるのだ」
韓遂軍兵士「早くて捉えられません」
黄華「どっどこに行ったのだ。何故、そんなところに!あががががががが」
馬雲緑「敵将黄華、馬雲緑が討ち取りました」
韓遂配下の3人の討ち死ににより、馬超は危機を脱することに成功し、しばしの平穏が訪れる。そして、兗州を襲われた曹操が劉備と和平したとそれに伴い、両者、一時休戦となったのである。
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