表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/821

4年の時の中で

 第二次徐州侵攻戦から4年の時が経ち、徐州の内政は、進み、兵糧・兵の鍛錬・募兵とすっかり荒れ果てた徐州各地を復興した劉備のことを治世君ちせいのきみ様などと呼ぶ人々も出てきた。そして、この2年で各国の状況も大きく変わっていた。河北では、袁紹が公孫瓚を滅ぼし、幽州最後の群雄公孫度コウソンドの治める領地へと侵攻を開始。劉備は、兄弟子である公孫瓚へと援軍を派遣したのだが道中で兄弟子の妻子を連れた范方と遭遇する。

 范方「劉備殿ですね?」

 劉備「あぁ、そちらは?」

 范方「これは、名乗りもせずに申し訳ありません。公孫瓚軍で騎都尉を務めておりました。范方と申します。我が主君公孫瓚より、劉備殿に妻子を託すようにと頼まれました」

 劉備「そうでしたか。丁、この者たちを連れて、下邳城へ向かえ。私は、雲長と翼徳。趙雲と共に兄弟子公孫瓚の援軍に向かう」

 義賢「はっ了解しました」

 范方「その必要はありません。我が主君公孫瓚より、劉備様に最後の御言葉を頂戴しております」

 劉備「そのようなこと聞きたくはない。助ければ良いのだ。今の私にはそれだけの力がある。兄弟子殿に守られていた頃の弱い私ではないのだから」

 范方「どうか我が主君の最後の言葉をお聞き届けください」

 義賢「聞いてあげたらどうですか兄上」

 劉備「わかった。聞かせてくれ」

 范方「では。『劉備よ。優しいお前のことだ不甲斐ない兄弟子である俺を助けにこようとするだろう。その必要はない。そこにいる范方は、我が精鋭の白馬儀従を作り上げた優秀な男だ。俺のような凡庸な者を好む男には勿体無い。お前に預ける。それと我が妻である姚は、まだ若い。お前の側室としてやってくれ。我が息子の続と娘の凛風の養育もお前に頼みたいのだ。頼み事ばかりで申し訳ない。頼み事ついでに、最近、仕官した2人もお前の元に送った。どちらも優秀な人材だ。使ってやってくれ。最後に、劉備よ。今まで、本当に悪い兄弟子であったな。お前のことを道具の1つと思っていた。お前は、もう立派な徐州牧だ。俺のように信念を見失わず大義を成すのだぞ』以上です」

 劉備は、涙を流していた。そして前を振り向くと宣言した。

 劉備「我が軍は、これより、最小の兵で、公孫瓚軍の救出に向かう」

 侯姚「どうして、伯圭の気持ちがわからないのよ」

 劉備「だとしてもです。俺に兄弟子を見捨てることはできません。ですが兄弟子の手紙で、これは自分の傲慢だと気付きました。それに多くの民を巻き込んでしまったと。だから最小の兵で助けに向かうのです。私と、雲長と翼徳。それに丁と趙雲と田豫。これなら何があっても逃げ出せますから」

 侯姚「どこまでお人好しなのよ。伯圭のこと頼みます」

 劉備「やれるだけやりましょう。皆は、彼らを連れ、下邳城へと撤退せよ」

 劉備軍兵士「はっ」

 劉備たちが着いたときには、易京城は落ち、公孫瓚は、自刃した後であった。198年のことである。袁紹軍に気づかれないようにその場を後にし、下邳へと戻ると呂布が配下の者たちを連れて、馳せ参じていた。

 呂布「劉備殿、我らの家族を大事に預かってくださり感謝致す」

 劉備「何をいうのだ呂布殿の援護が無ければ徐州は曹操の手に落ちていたであろう。御礼を言うのはこちらの方だ。して、何処か行く場所はあるのか?」

 呂布「いえ、ありませぬ」

 劉備「呂布殿さえ良ければ、どうであろう私に仕えてくれぬか?」

 呂布「義父殺しの俺に寛大な言葉、痛み入る。俺も曹操と戦うには、劉備殿の臣下になるのが良いと考えている。だが義父殺しの俺をすぐに臣下に加えたら世間からどんな目で見られるかわからぬ。先ずは客将の身分で取り立ててもらいたい」

 劉備「呂布殿がそう望むのであれば、そうしよう」

 呂布「かたじけない」

 呂布たちは、下邳に住まいを与えられる事となった。そして、義賢は、この平和な時間に数多くの子を成すべきだと臣下たちに告げていた。すると平和であるということが相乗効果を生み。4年間の空前のベビーブームに突入した。関羽と胡銀怜との間に第二子である関興安国カンコウアンコク。関羽と胡金定との間に待望の第一子関索カンサク。劉備と甘梅との間に第一子である阿斗アト。劉備と芙蓉姫との間に第二子となる劉虎龍リュウコリュウ。劉備と馮方女との間に第一子となる劉鈴リュウリン。劉備と鄒豊麗との間に第一子となる劉蘭華リュウランファ。そして、劉備が徐州牧となった際に新しく妻に迎え入れられた糜竺・麋芳の妹である糜桃ビトウとの間に第一子である劉范リュウハン。簡雍と麗との間に第一子となる簡麗美カンレイビ。張飛と夏侯月姫との間に第一子となる張苞チョウホウと第二子となる張昭チョウショウ。華雄と姜藍との間に第一子となる。華槌カツイ。徐栄と鄭弥との間に第一子となる徐襲ジョシュウ。黄忠と芳翠嵐との間に第二子となる黄羽コウウ。趙雲と孫軟児との間に第一子となる趙統チョウトウ。趙雲と樊玉鳳との間に第一子となる趙風鈴チョウフウリン。数えるだけでもとんでもないことになっていた。そして、この4年の内政で一番大きかったのは、青空学校の開校である。なぜかこの時代の文字をスラスラと書けて読めてしまう義賢が先生となり子供たちに読み書きを教える。趙雲が先生となり、槍の扱い方を教える。黄忠が先生となり弓の扱い方を教える。張飛が先生となり武器を失った際の組み手を教える。関羽が先生となり、計算を教える。荀彧が先生となり、計略の扱い方を教える。他にも簡雍や孫乾が先生となり、外交における弁舌を教えるなど。多岐に渡る授業を開校していた。勿論、無料である。これは、子供の面倒を見ていた親御さんたちに好評だったと共に自分達も読み書きぐらいできるようになりたいと多くの者が学ぶことの楽しさと身につけることの喜びを噛み締めることとなった。

 荀彧「こんなに成功するとは思いませんでした」

 義賢「私もです。後進を育てるために始めたのですがこれほど多くの民が参加してくれて嬉しい限りです」

 荀彧「えぇ。このようなことを思いつく劉丁殿の先見の明に脱帽しています」

 義賢「これも荀彧殿を我が軍に迎え入れられたからこそです」

 荀彧「えぇ、初めはどうなることかと思いましたが。今や徐州、そして揚州の寿春にも影響力を持っています。次の狙いは荊州ですね?」

 義賢「えぇ、曹操と袁紹との大戦の決着までが勝負だと考えています」

 荀彧「ですが、殿が同族である劉表を攻めることを良しとするでしょうか?」

 義賢「納得させなければ、この軍に未来はありません。荀彧殿のお力頼りにさせてもらいますよ」

 荀彧「えぇ、微力ながら協力させてもらいましょう」

 袁紅姫「先生、女の子でも読み書きを習ってもいいの?武芸を習ってもいいの?」

 義賢「ほら、おいで紅姫、女の子は、学んじゃいけないって誰かに言われたのかい?」

 袁紅姫「ううん。そんなことないよ。でも、こんなこと初めてだからその。本当に良いのかなって」

 義賢「良いんだよ。女の子だって鍛治師になりたい人もいるし、戦場に出たい人もいるし、働きたい人だっている。男だけの仕事とか女は家を守るものなんて、そんな考えなんて取っ払っちゃえば良いんだよ」

 袁紅姫「そうなんだ。私、頑張って学ぶ。いつか叔父様のお役に立てるように」

 義賢「じゃあ、僕も楽しみにしてるね。紅姫が頼れる立派な女性になることをね」

 紅姫は、幼い顔でニコリと微笑む。

 袁紅姫「うん」

 荀彧「仮にも義理の姪っ子にあんな約束して良いのですか?」

 義賢「えっ何が?」

 荀彧「アハハ、わかっていなかったのですね」

 馮方女「紅姫は、劉丁様に惚れているってことですわよ」

 義賢「へっ?ええええええ」

 荀彧「これはこれは、馮方女様、様子を見にいらしたのですか?」

 馮方女「えぇ、燿も紅姫もここに来て毎日が楽しいみたい。それに、公路の子供っていう蔑みもなく。友達ができたって喜んでいたわ。あんな提案をされた時は腹を立てたけども。今は本当に感謝しています。ありがとう劉丁」

 義賢「馮義姉上」

 馮方女「さて、紅姫の未来のお婿さん候補に挨拶もしたし、帰ります」

 義賢「はい。ってええええ!」

 来るべき荊州をめぐる大戦に備え、暫し後の平和を満喫する劉備軍であった。

 張宝「義賢様、前に話した件ですお話が」

 義賢「わかりました。荀彧殿、主だった皆と呂布軍から王允殿を呼んできてもらえますか。皆で聞いた方がこの先の展開を良くできるかと」

 荀彧「了解しました。軍議の間にお連れします」

 張宝からもたらされる情報は、盤面を大きく変えることになるのだろうか。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ