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えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。  作者: 揚惇命
3章 群雄割拠

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小沛に帰り他の戦況を聞く(後編)

 黄忠が下がって前に出た男の風貌は、いかにも賊と言える容姿をしていた。

 甘寧「甘興覇だ。以上」

 黄忠「この馬鹿たれが。申し訳ありませぬ殿」

 甘寧「黄忠の爺さん、いてぇじゃねぇか。名前以上に名乗れることなんてあるかよ」

 黄忠「後ろで見守っていてやろうと思ったがこの馬鹿たれは全く。殿、此奴は身なりはこのような格好をしておりますが海賊として、商戦を護衛して、きちんと賃金を得ていたほどの善人。そのお金も昔生き別れたという妹のために使い果たすほどの男。どうか、殿の元で、此奴の妹を探すことをお許しくだされ」

 甘寧「なんで、黄忠の爺さんが俺なんかのために頭下げんだよ。それに全部言うしよ」

 劉備「ハッハッハッ。そうかそうか。妹をな。それは辛かったであろう。なんでも申すが良い。確かにお前の身なりに驚いたのは事実だ。だがな元族なぞ。我が軍には沢山おる。それだけで、お前のような男を追い出したりはせぬ。給金も多めに払ってやろう。妹探し頑張るのだぞ」

 甘寧「こんな俺に、良いのかよ。賊だぞ」

 劉備「問題ない」

 甘寧「感謝するぜ。劉備殿、いや殿」

 そこに甘氏が現れた。

 甘氏「玄徳様、御無事で良かった〜〜」

 甘寧は、甘氏を見て、驚愕の表情をしていた。

 劉備「心配をかけてすまなかったな。この通り、無事だ。それより身体はもう良いのか?」

 甘氏「はい。もう良くなりました。まさか、初めてがあんなに引きずるとは。キャッ。あっ新しい仲間の皆様の挨拶の途中だったのですね。失礼いたしました」

 元気な劉備を見たことで下がろうとして、振り向いた甘氏も甘寧を見て、驚愕の表情を浮かべていた。

 甘氏「そんな甘寧お兄様なのですか?」

 甘寧「やはりメイなのか?」

 甘梅「やはりお兄様なのですね。そんな、またこうして会えるなんて」

 甘寧「俺も、夢を見ているようだ。あんなに探しても会えなかったお前にこうして会えるなんて、それに殿と親しげだったがどう言う関係なのだ?」

 甘梅「玄徳様は、私の旦那様なのです」

 甘寧「なんと!では、殿は俺の義弟ということになるのか!」

 劉備「まさかこのような形で兄妹が再会しようとは、義兄上」

 甘寧「やめてくれ。だが、そうかそうなのか。まぁ、お前が幸せならそれで良い」

 何、これ?甘氏と甘寧が兄妹?まぁ確かに甘って姓だから何か関係があったのかもしれないけどさ。それにしても兄妹って?でも、そうか。史実では、甘寧の活躍は、赤壁後。甘氏は、赤壁前に病にて病没だったから。2人が会うことはなかったってことか。成程。

 黄忠「甘寧よ。ワシについてきて、良かったではないか」

 甘寧「全くだぜ。殿、給金は、減らしてくれ。多く貰う理由が無くなっちまったからな」

 劉備「了解した義兄上」

 甘寧「だから、やめてくれって言ってんだろ。俺は殿に仕えるんだ」

 劉備「やれやれ。では、興覇よ。これから、よろしく頼む」

 甘寧「あぁ」

 甘梅「私もお兄様が玄徳様に仕えてくれるなんて、とても頼もしいですわ」

 甘寧「梅よ。今まで苦労をかけた分。お前の居場所のため、尽力するとしよう」

 甘寧が下がると紀霊に伴われて、袁術夫人と子供たちが来た。

 紀霊「劉備殿、我々は降伏致します。なので、どうか馮方女様と袁燿様・袁紅姫様のことは、どうか、御容赦ください」

 劉備「勿論、その者たちに罪は無かろう」

 義賢「兄上、ダメです」

 劉備「丁、何故だ?」

 義賢「袁術という首が無い以上、誰かが責任を取らなければならない。それは袁燿でしょう」

 馮方女「なんてことを。この子を公路の代わりにしようというの。そんなの納得できないわ」

 義賢「そうですか。では、もう一つの方なら飲めるというのですね?」

 馮方女「それはなんでしょう?」

 義賢「簡単ですよ。馮方女殿、貴方が兄上の側室となるのです。そうすれば袁燿も袁紅姫も親族となります。親族を差し出す必要はありませんからね」

 紀霊「貴様ーーーー、馮方女様に、劉備如きの側室になれと、そう申すのか。許さん。斬り捨ててくれる」

 馮方女「やめなさい紀霊」

 紀霊「しかし」

 馮方女「良いでしょう。それで、この子達が救われるのであれば、私は喜んで劉備様の側女となりましょう」

 そこまで聞いていた荀彧殿が口を開いた。

 荀彧「劉丁殿も人が悪い。馮方女殿と袁燿殿と袁紅姫殿を守るためでございましょう。普通に許してしまったらそれこそ下の者たちは、何故袁術の親族を許したんだと騒ぎ立てる。ですが殿の親族にして仕舞えば、何も言えない。寧ろ、そのようなことを言えば反逆罪と捉えられても仕方ありませんからね」

 義賢「流石、荀彧殿ですね。お見通しでしたか。ですがそれだけでは、ありません。兄上は、これから献帝様と共に天下を治める方。子は沢山いた方が良いでしょう。馮方女殿は、2人も産んでおられる。そういうことです」

 馮方女「全く下世話な話ね。でも、燿と紅姫がこれで守られるなら、劉備様の子供でもなんでも産んであげましょう」

 袁燿「母様と離れ離れにならない?」

 馮方女「そうよ燿」

 袁紅姫「ママ、私たち殺されない?」

 馮方女「えぇ」

 紀霊「本当にそれで良いのですか馮方女様?」

 馮方女「子供たちに不憫な思いはさせられないもの。その程度で、安心が買えるのなら安いものよ」

 紀霊「承知しました。俺も劉備殿にお仕えする」

 劉備「なんだか、よく分からぬがそれで丸く収まるのであれば、何も言うことはない。よろしく頼む」

 2人とも10歳と8歳。よく泣かずに我慢したと言える。ひどいことをしたと心が痛んだがこれも2人を守るため。そして、兄上に平穏な間に多くの子を成してもらうため。劉封・劉禅と頼りない子供たち。この後の子供に傑物が産まれる可能性を増やさねば、兄上以降結局滅ぶだけだろう。今だけ良いではいけない。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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