プロローグ
すいません。何で主人公が劉丁義賢として生きることになったのか。ごっそり抜けてたのでプロローグとして追加しました。
ここに1人の世を憂う青年が居た。名を劉丁義賢という。三英雄が1人劉備玄徳の弟である。かの高名な司馬徽の最初の門下生として、学んでいた。そこからの帰路で彼は雷に身体を撃たれて、亡くなってしまったのである。その時、彼は、不思議な力に目覚めた。死に戻りの力である。それを使い何度も兄である劉備玄徳の危機を救ってきたのだが何度やっても兄の義弟である2人の死を回避することができなかった。この力は諦めた時に力を失う。そして、彼は、兄に従い夷陵へと向かい、陣営が火の手に包まれる最後の夜、救うことを諦めてしまったのである。
劉丁「私には、兄上を天下人にすることはできないのであろうか?兄の2人の義弟は、呉の裏切りにより亡くなった。義弟の仇を取ると逆上する兄上を諌めることも叶わず。こうして、供をするのが精一杯だ」
???「眠れないの?」
劉丁「起こしてしまったか?」
???「ううん。ここまで色んなことがあったね」
劉丁「そうだな。生き別れた兄を探すというお前を引き留め妻にし、兄上の流浪に伴い鍛治師としての命も潰してしまったな。後悔してないか?」
???「貴方といられて、私は幸せだったよ。鍛治師としての人生も玄徳にぃちゃんとその義弟たちの武器で、終わってしまったけど。後悔はしてない」
劉丁「そうか。明日、我々は、負けるだろう。私は、兄上を逃すため、最後まで陣に残るつもりだ。お前は逃げよ」
???「何言ってるのよ。私は、貴方のそばを絶対に離れない。例え何があろうとね」
劉丁「そうか。すまんな。死地へと巻き込んで。お前との子も成さず。不甲斐ない私を許してくれ」
???「何言ってるの!その分、貴方と2人きりの濃密した時間を過ごせたのよ」
劉丁「お前には、元気付けられてばかりだな。ありがとう」
???「大好きだよ義賢」
劉丁「私もだ」
夜更け過ぎ、伸び切った陣営は、呉の火計により燃え上がる。
劉丁「兄上。私は、ここに残ります」
劉備「丁よ。何をいうのだ。共に白帝城まで引けば再起できるのだ」
劉丁「兄上、多くの忠臣を亡くし、それを率いる我々だけが逃げる。そのようなことに何の意味があるのです」
劉備「最終的に呉に復讐できれば良いのだ」
劉丁「兄上は、変わってしまわれた。昔は、民を案じ、将の命を案じる素晴らしい大将だった。それが、義姉さんを亡くし、義弟たちを亡くし、大義を見失っていることにどうして気付かれないのですか」
劉備「煩い、呉が呉が全て悪いのだ。我が義弟たちをよくもよくも。許せん許せんのだ」
劉丁「だったら、とっとと白帝城にお引きくだされ」
劉備「私に、お前まで見捨てよとそう言うのか?」
劉丁「えぇ。変わってしまった兄上をこれ以上、お支えすることはできません。これは、私が兄上にできる最後の孝行なのです」
劉備「丁。すまぬ」
劉備は、多くの兵と忠臣を捨て、白帝城へと逃げた。
劉丁「願わくば、来世も兄上の弟となりたい。この運命を変えてくれるものがいるのなら、喜んでこの身を差し出そう」
呉兵「居たぞ。劉備の弟だ。大将首貰ったー」
呉の兵たちの無数の槍に貫かれ亡くなる劉丁義賢。目を覚ましたそこは、真っ白な空間であった。
???「義賢ちゃん、久しぶりね」
劉丁「〇〇義姉さん、そうですか。赤壁の戦いから実に長い人生でした」
???「〇〇は、元気?」
劉丁「2代目としては、ちょっと頼りないですが長板で命を救ってくださった〇〇殿にビシバシ鍛えられていますよ。兄上に似て、優しいのですが優しいがあまりこの時代には合わないかも知れませんね」
???「私があの子を産んですぐに亡くなってしまったから。義賢ちゃんや〇〇には、迷惑をかけてしまったわね」
劉丁「気にしないでください」
???「義賢ちゃんの最後の言葉を聞いてね。私も思ったの愛する玄徳様の天下を見てみたいって」
劉丁「それも最早叶わぬ夢となりました」
???「一つ方法があると思わない?」
劉丁「どういうことでしょうか?」
???「現代にね。面白い子が居るのよ。名前をね」
劉丁「現代とは存じませんが?なんと、私と一文字違いとは、私の生まれ変わりなのかもしれませんね」
???「あら、よくわかったわね」
劉丁「はっ?」
???「だから可能だと思うのよね。その子を玄徳様の墓に呼んで、愛用の武器に触れさせて、義賢ちゃんの器に入れる」
劉丁「さっきから何を言っておられるのですか?」
???「雷で撃たれて亡くなった日に死に戻りの能力に目覚めたのよね?」
劉丁「まさか知っていらしたとは!」
???「まぁ、こっちに来てもう長いからねぇ。だから、その日のあなたの身体にその子を入れるのよ。そしたら、何か変わるかもしれないでしょ。勿論、私もできるだけのサポートはするし」
劉丁「成程、面白いかもしれません。私の魂も混在させることはできますか?」
???「勿論、可能だけど良いの?」
劉丁「えぇ、私の知識が役に立つかもしれません。それに、その子は、いきなりこちらの世界に来させられて、言葉もわからないでしょう。私が中にいることで、普通に聞こえるかと」
???「そのことは、考えてなかった!」
劉丁「昔から〇〇義姉さんは、どこか抜けていらっしゃいましたから」
???「ブーブー。義賢ちゃんめ」
劉丁「これで、どのように未来が変わるのか。その子は、私みたいに諦めることにならないか楽しみに見守ることにしましょう」
???「もうそろそろ、あの子が玄徳様の墓にやってくる頃よ」
かくして、主人公の預かり知らぬところで物語は、このように進行していたのである。
ここまでお読みくださりありがとうございます。