バルーンアートで『怪物的マッスル』をつくった件 ── マッスルフェスティバル企画参加 ──
── 「小説・蜘蛛の意吐 (作者NOMAR)」第3部より
「何故ここに四腕オーガが!?」
こめかみから二本の角を生やす大柄の赤い体躯。一つ目四腕の異形の大男。魔獣深森の深部に住む人食いの亜人型魔獣。
** 中略 **
「操られていたなら哀れだが、こちらも余裕が無くてな!」
エクアドの槍が四腕オーガの心臓を貫く。槍から手を離したエクアドは石畳に膝をつき、グハッ、と口から血を吐く。内蔵をやられたのか?
エクアドの鎧には四腕オーガの拳の凹みが。
四腕オーガは胸に槍を刺したまま、仰向けにドウ、と倒れて動かなくなる。
**○**
はじめまして、K John・Smithといいます。
バルーンアートを趣味にして「なろう」小説のファンアートもつくっています。
マッスルフェスティバル企画を知り。思い浮かんだのは、これまでつくった「モンスターの」マッチョたち。このむきむきさ……もっと世間に誇るべきかも?
本作品は、私選のバルーンアート(FA)をご紹介するものです。
登場する力自慢は、小説「蜘蛛の意吐(作者NOMAR)」……『今日の一冊』第66回に紹介 ……のファンアート。筋肉至上のマッチョモンスターたちです。
…… 主人公? 魔獣ハンター? 勇猛な騎士??
野戦や決闘のシーンもあり、小説に多くの人間が登場しましたが、まぁ、今回ナシで。
(気がつくと、バルーンアートの人外しか作っていなかった………)
①四つ腕オーガ
分類:多腕マッチョ。
冒頭のシーンは、四つ腕オーガと槍の騎士エクアドの一騎討ちでした。
エクアドは主人公の親友で、主人公とその恋人を助けるため、邪教の僕の四本腕の怪物と死闘を繰りひろげ。剛拳に血反吐を吐かされながらも打倒しました。
とはいえ、それは、事件終盤の混戦の一局面。
ところが、その後、ある人気作家が絵本を記し ──
・・・ Take 2??
── 満身創痍となりながらも、赤槍の騎士は勝利を確信した目で赤槍を構える。
「コイツは操られている。故に力はあってもこの魔獣の動きは単純だ。既に見切った」
赤槍の騎士は、愛用の槍『赤涙』を握り直し、四腕オーガへと駆ける。唸る黒い拳を潜り抜け『赤涙』を振るう。
「姫の嘆きを止めると誓ったのだ!」
「ガアアアア!」
****
**
*
「こうして、赤槍の騎士エイクは四つ腕オーガを倒し、美しい姫を邪教のアジトから救い出しました」
「赤槍の騎士、カッコイイ!」
「実は、この赤槍の騎士は君の父さんなんだ」
「え⁉︎ 父さんスゴーイ!」
「おれは、あんなセリフは……」
「じゃあ、おかあさんが姫さま⁉︎」
「そうだ!」
「まて本編主人公、いや、カダール!! 」
「かっこいー!(ずばっ、と、立ち上がる)
………『姫のなげきを止めると誓ったのだぁ!』」
「グ⁉︎ ぐわぁっ!」
『赤槍の騎士エイク』の冒険譚『赤い槍に降る白い花』。
…… 絵本は、平和になった街で人気を呼び。
物語の主役にされた当人が、実の息子のごっこ遊びに身もだえする日々が来たのでした(── 外伝にて(笑))。
②オーガ、オニ
分類:オニマッチョ。
四つ腕オーガは、遠くの東の国で「アシュラ」と呼ばれ。オーガも同様に「オニ」という別名を与えられました。
オーガと呼ばれてもオニと呼ばれても、その性は──
「ひ、いぃっ」
── 角を持つ鬼、人を喰らう。
「まあ、魔獣ってのは人を食うもんだが、なッ!!!」
「ゴオォウアッ!!」
俺もこいつに食われるのか── 諦めかけたそのとき、飛び込んだ影がオーガが振り下ろした石斧を止めた。
そいつは目つきの悪い若い男で、オーガ討伐依頼を受けたもう一人の仲間。無銘の大剣を頭上にかざし、重い一撃を止めていた。
大剣男の足は、地面に指一本分沈み… 、拮抗。いや、
「ぬぅおっ!!」
歯を食い縛りながらも、男の唇の端はひきつるように持ち上がる。両手持ちの大剣がオーガの石斧を跳ね上げた。
****
**
伯爵家の執事
「お恥ずかしい」
女性研究者
「…… オーガと力比べした男の人が、昔のグラフトさん? まるで蛮ゾ、… いえ、別人です」
伯爵家の執事
「若いときは、無駄の多い戦い方をしていました」
女性研究者
「ああ。無駄、で済ませちゃうんですね」
伯爵家の執事
「?」
女性研究者
(── ふつうの人は、無茶、というところですよ )
**
バルーンアートのオーガは、二腕二足で人間に近い顔で、人相の悪さが目立ちます。
完成したこのバルーンアートは、とある施設で節分の『赤オニ』として一般公開しました。
── 悪人顔で覆いかぶさるような体格。
小さな子どもは、見るとオび……いい反応がありました。
③コボルト
マッチョコボルト
小説「蜘蛛の意吐」には、その名もマッチョオークが登場しました。筋力特化の変異種です。
さらにコボルトの変異種、マッチョコボルトも登場。
…… 最弱の敵が、筋肉隆々の闘士になった⁉︎
( なにそれ⁉︎《読者》 )
その後、バルーンアート化に選んだのは(やはり)マッチョオークではなくマッチョコボルトでした。
マッチョコボルト── かれらは、黒コボルトとも呼ばれ、生まれながらの拳闘家。『右フック』一発で、体格の勝る兵士もダウン!
…… ウソです。『右フック』は勝手に加えたネタでした。
バルーンアートのポーズは、ネットのおもしろ写真の『右フック犬』をお手本にしています。
④ウェアバイソン
分類:牛マッチョ。ツノマッチョ
バルーンアートの牛頭巨人は、等身大。力んでいなくてもむきむきで…… 写真は暗がりにたたずみ、不穏な空気感が。
*ちょっと解説*
♦︎ ミノタウロス
「ウェアバイソンとは、原作の世界で、牛頭人身の巨漢の部族を指す呼称だ」
「おれはそのはぐれ者で、おれ個人の名前がミノタウロスだ。つまり、── 魔獣のウェアバイソン(族)のミノタウロスというわけだ」
「ミノタウロスとは『ミノス(王)の牛』を指す」
「作者(NOMAR)は『ミノタウロス』という呼び名が、ギリシャ神話のミノス王と何も関係がない異世界で平然と使われる様が引っかかる。ウェアバイソン、と“ 種族 ”の名前もわざわざつくったのだ」
「……ながされるのはいやだ。
だが、 “その使い方はおかしい。本来の意味は…… ” と異議を言い立てても、今さらだれも耳を傾けまい」
「ちょっとした思考の迷路だ…… ふつうならな」
「だが、わが創造者(NOMAR)はちょっとおかしな出口から抜け出た。笑いだ。ミノタウロスたち『が』理不尽なクレームに悩む小話を記したのだ」
(コメディ短編、FAの小説とべつ)
「どんな解決?…… 風刺の肝だ。ほかの脳筋(美女)も出演した話だから、ここではいえんよ」
この牛頭巨漢のバルーンアートは、2021年の一月、とある施設に展示しました。
丑年にちなんだ? 寄付です。
しかし、オニに負けず劣らず、ヤる気ただよう筋肉ボディ。せめて、斧は外すべきだったかも知れません。
**
以上、マッチョなバルーンアートのモンスターたちでした。
もとになった長編小説「蜘蛛の意吐」は、作品ジャンル『異世界恋愛』…… 異類婚姻譚。なのに、マッチョなモンスターがなぜこうもならんだのか………
…… ヒロイン・ゼラのパワープレイのせいかも(笑)
── 蜘蛛の魔獣の仔が、小さな男の子に命を救われて恋心をいだき。ずっといっしょにいたい、人間になりたい、と、ピュアな想いにつき動かされます。
(ここまで『人魚姫』っぽい)
そのために、魔獣の樹海で血みどろの闘争を繰り広げて、上位種の力を奪い。ついには、ドラゴンすら食い殺して「進化した魔獣」と呼ばれる超越者になりおおせます。
第一話、初登場で、半人半獣のすがたで街の教会の結婚式に乱入。宣誓寸前の花婿(主人公の青年)をかっさらって、市街地の屋根の上を駆け抜けます。
糸を放つワイアーアクション?
いえ、脚力と腕力のみです。
バルーンアートは、アルケニーのヒロインも当然、つくりました(それはそれは繰り返し)。
異名は『 純愛無双 』。
作中、ゾンビ兵士を、蜘蛛の脚一本で宙に蹴り飛ばす怪力ですが、ヒロイン補正?が脳内に働くのかバルーンアートは筋肉の見えないすがたに。
作者指定! 胸肉は圧倒的ボリューム
お読みいただきありがとうございました。