表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

怒涛の鬼斬りサムライ

作者: 鬼宮 鬼羅丸

中世日本風の鬼がいる異世界を舞台にした和風ファンタジーです。

鬼を斬る”鬼斬り”に転生した主人公が、鬼を斬れるようになるまでを描いたファンタジーで自己満足要素が強い小説となっておりますので、あらかじめご了承ください



本編は短編ですが、評価次第では連載するかもしれません。




帝(御門が諱)天長さま 身分が引く者が呼ぶときの尊称。

禁中(御門のお住まい、政治の中枢)=天朝、朝廷。

 桜咲く極東の島国、東ツ國あまつくに

 20年前の百鬼夜行により、東ツ國は国土の大半を鬼に奪われた。

 

――鬼とは異形の怪物である。この世ならざる怪物で超常のチカラを扱い、攻めてきた。異常な回復力と、強靭な肉体を持つ。


 そんな鬼を斬る者どもを鬼斬りという。

 鬼を斬ることに特化した高い霊能力者集団のことだ。

 天朝府より鬼斬り御免と帯刀認可の免を受け鬼を斬り捨てる役目を与えれている。


 鬼斬りは、鬼を斬らねばならない。


 それが天長さま、御門(帝)より下された役割なのだから。


「甚太郎さまにどうか、どうかご武運がありますように」

 

 後ろで俺の無事を祈る声が聞こえる。


「ブモおおおお!!」


 おどろおどろしい雄叫びと、血生臭い匂いが俺の顔に叩きつけられる。

 今対峙するは、牛の頭部に蜘蛛の体を持つ”牛鬼うしおに”と呼ばれる鬼だ。

 4メートルは超え、見上げなければ全体は見えない。

 ぎょろっとした血走った黄色い目が俺を正面から睨みつける。

 荒い息が吐きだされる大口から覗く牙は、血に染まっている。何体の獣を喰らえばあそこまで赤く染まるのだろう? 目を離せば即座に殺される自信が俺にはあった。


 拵を握る手がぶるぶると震えてしまう。

 怖くないと言えば噓になる。

 正直に言うと逃げ出したくもある。


 だが、俺の後ろには、俺の大切な人がいる。


 それにもう今まで十分に逃げて来た。



 だから今宵俺は


「鬼を斬り捨て、鬼斬りになる!!」 


 そう叫ぶと、俺は牛鬼に飛び掛かった。


 俺が鬼斬りになった理由は、この異世界に生まれた日は13年を遡る。



――――



 俺はもともと刀とか「鬼」とは無縁な現代日本に生まれた男の子だった。高校卒業を控えた晴れやかな朝、電車で通勤していた俺は脱線事故に見舞われ、気が付けば俺は死んでいて赤ん坊に生まれ変わっていた。……らしい。


 真っ暗闇な水の中、ぷかぷか浮いていた俺。

 突如全身を襲う圧迫感と激痛を耐え、やっと解放されたと思ったら今度は眩い光が目を焼いた。


「おぎゃああああ!! おぎゃあああああああ!」


 何か喋ろうとするも、口から出るは鳴き声のみ。視界もやたら霞んでいるし、気のせいか体が熱い。

 周囲に人がいることは何となくわかっていたが、誰なのか全くわからん。


「おうおう、見事な霊力なり。翡翠よくやったな。本家本流に相応しい赤子じゃ」


 誰かに抱き上げられるが、目が全く見えんので怖いことこの上ない。と思ったら、何故か急に目が冴えてきて、誰が俺を抱いているのかはっきりわかった。

 感想は取り敢えず、時代劇? 時代劇かな? まげに立派な着物に、帯つけて帯刀してるムキムキなオジサン。近くには同じく着物を着た女性が数名控えていた。


「はい、やっとやりました。立派な男子おのこでございます」 


 オジサンにそう返事したのは、髪の長い女性だった。翡翠が名なのかな? 

 とても綺麗だけど細くて病弱そう。着物がめちゃめちゃはだけていて、汗を一杯かいててなんだかエロい。オジサンと仲が良さそうだから夫婦なのかもしれない。


 畳に襖障子とザ・和風建築。で俺は、女性が抱えられる重さしかない……。


 とりあえず、俺が死んで転生したのは間違いなかった。



「流石は鬼虎さまのご子息。霊力の扱いを心得てらっしゃる。父上殿同様、立派な鬼斬りになりましょうな」

 異世界に生まれてから七年。俺は霊力の稽古をしていた。

 最初は江戸時代にでも生まれたのかと思ったが、日本に似た異世界に俺は転生したらしい。

 東ツ國という極東の島国で、鬼という妖魔が跋扈する和風ファンタジーな世界に俺は生を受けたのだ。

 ……鬼斬りとして。


 突然変異で霊力を膨大に有する一族であり、昔迫害され絶滅にまで追い込まれていた際、時の御門(帝)に助けられて御門より人界に迷い込む鬼の退治の任を与えらえ”鬼斬り”になったと伝わっている。

 真偽はどうでもいいが、俺は鬼斬りの中でも御参家と呼ばれる格式の高い名門の一つ鬼ヶ崎家の傍流として生まれた。

 産まれた直後に父上の顔を視認できたのも、俺が霊力に優れているかららしい。

 俺の身に秘められた膨大な霊力に期待し、本家連中は俺を鬼斬りにしようと早くから稽古つけてくれているが、それは余裕がないからに他ならない。


 20年前までは東ツ國に鬼は稀に人界に迷い込む程度でとても少なかった。しかし、『百鬼夜行』と呼ばれる鬼の大侵攻により国土の大半は奪われ、日本でいう群馬より東が鬼の領域と化してしまった。


 東方最大規模の鬼ヶ崎家は、東方地域の鬼斬りの纏め役に任ぜられ、御門がおわす禁中より東方奪還の勅命を賜っている。

 強大な鬼渦巻く東方地域を、他の鬼斬りたちを率いて奪還せねばならない。


 故に、俺は期待されていたのだ。東方攻略の新たな戦力として――。


「……すみませぬ。私に鬼を斬ることは……」


「なに、心配なさるな。それはまだ鬼太郎殿がお若い故に怯えているだけのこと。成長なすれば大丈夫でございます」


 鬼斬り御参家、鬼ヶ崎家当主が弟君の息子、鬼ヶ崎鬼太郎として生を受けた俺だが七年たっても、鬼が斬れなかった。




 曰く。「鬼太郎さまは何れ鬼を斬らねばなりませぬ」


 曰く。「父上殿に似てさぞ立派な鬼斬りになられるでしょう」


 と俺を賞賛し期待する声も、俺が鬼を斬れずに12年が過ぎた頃には薄れていた。


 ”鬼を斬れぬ鬼斬り””霊力だけの木偶の坊”俺を揶揄する蔑称である。


 現代日本の倫理観を持つが故、国土を蝕み人々を喰らう鬼が相手だとしても俺はふんぎりがつかず斬れずにいた。

 最初は優しかった家の者も、徐々に俺を腫物のように扱いだし、下女ですら俺を蔑むように。

 挙句は父と母も俺を見放し、遂には俺は”鬼ヶ崎家”そのものから見放されてしまった。

 そして、遂には――。



「沙汰を言い渡す。祓鬼衆ふつきしゅう鬼ヶ崎鬼太郎。鬼斬り不責の咎により家降いえおろし処分とし、鬼裂おにさき甚太郎と名改めること」


 祓鬼衆とは、鬼斬りの天朝(朝廷)での正式な呼び名のことである。

 障子がなく行燈のうす暗い灯が光源のみの広大な和室。壇状になっていて、俺は下段の木床に直に土下座をし頭を深く下げて、沙汰を待っていた。

 異様な妖気に、気が狂いそうになる。


「甚太郎、これより本家本流を名乗ることを禁ずること。以後、穂畝津貴ホホツキの里に立ち寄ること禁ずること」


 数少ない霊能力者にして鬼を斬る役目を御門より賜っている俺たち鬼斬りは家ごとに”里”と呼ばれる集落を形成し、国を統治する大名から鬼斬りの依頼を受けて生活していたのだが(御参家は別)……鬼を斬れずにいた俺は里からも追放されてしまった。


 上壇に座り俺を見下す本家の長老方は、俺を心底軽蔑しきった目で見ていた。

 薄々こうなるだろうと想像していたのだが、予想はしていても心に来るな。


 霊力は御参家にして東方地方の鬼斬り一族の纏め役の子に相応しく、いやそれ以上にずば抜けて多く宿っていたが、俺自身の出自が事態を難しくしていた。

 俺は言わば私生児だった、御当主の弟君の。そこらの農民いわば卑賎の身との間の子が俺なのだ。すべての鬼斬りは天朝にお仕えする身、それが私生児であっても”鬼斬り”の力が宿れば天朝に報告し鬼斬りとして扱う義務がある。


 だからこそ俺は育てられた。農民との間に生まれた卑賎な子ではなく、本家傍流の子として育てられた。しかし、それは鬼斬りであるからこそ。

 鬼を斬らぬ俺の存在は、他の同年代からしたら目障りに違いない。鬼を斬らないのに霊力が一番、即ち鬼を斬らない腰抜け野郎が当主の座に近い。暗殺されないだけ温情だとわかってる。

 お家争いの火種にしかならない俺はお荷物だろう。しかも御参家鬼ヶ崎の本家傍流という肩書も大きい。鬼斬りの名門が鬼を斬れない、字面だけでも相当なスキャンダル。


 だから馬鹿にされてきた。世話役である下女にすら。嫌がらせも受けてきて。

 靴を隠される、飯に毛虫を入れられもした。流石に刀を如何こうはなかったけど、誰も俺に対するいじめを咎めてくれなった。


 以上のことから俺が追放されるだろうなとは思ってたけど、まさか里自体から追放される何て。

 しかも実の母と父からも冷え切った目で見られるのは辛かった。笑顔で過ごした記憶があるぶん、猶更余計に。 


「鬼裂家には話をつけてある。これから鬼裂家として生きよ。以上をもって沙汰とする。これは禁中(天朝の別名)に奏上し天長さまがお認め下さった正式な決定である。速やかに家を出る準備をいたせ」

 天長(御門の別称。昇殿人以外が御門をお呼びするときに使う)の許可。


 御門が認めたなら、もう覆らない。俺は嗚咽が零れそうになるのを必死に堪え、返事をした。


「はっ。寛大な沙汰感謝致します。今まで不肖の身ながら多大な御心労お掛けしたこと心より謝罪申し上げます。この甚太郎、直ちに引き上げますのでこれまでの御無礼平にご容赦つかまつります」


「うむ、速やかにね」


 鬼を斬れない鬼斬りはいらない。

 残酷な現実を前に俺はうなだれるしかなかった。



「やい、腰抜け斬衛門きりえもん。里から追放されたって本当か? やっとただ飯くらいがいなくなるなぁ? ぎゃあっはっはっは」


 俺の従兄の一人、鬼ヶ崎鬼蝶門きちょうもんが俺を指さして嘲笑う。比較的霊力が多く、鬼斬りの実績もあるため、本家要役に就くことが内定される優秀な人物だ。


「しかも”鬼名きな”を取り上げられた上、家降いえおろしとは恥晒しもいいこと。不出来な兄君を持つと大変ですなぁ、鬼羅助きらのすけ殿」


 鬼蝶門が少し出ている小腹を抱えて笑うも、無理はない。鬼名きなは鬼斬りの本家傍流の血筋を示す、”鬼斬り”を継ぐ大切な証。名から”鬼”まで取り上げられてしまった俺は、単なる笑い者だ。


 紋付袴を着こなし、扇子で口元を隠す長身の男性に、鬼蝶門は遜り話し掛けた。

 俺の次に霊力が多い俺の腹違いの弟、鬼ヶ崎鬼羅助きらのすけだ。俺が家降となった今、次期当主最有力候補と言える。


「そうは言うな鬼蝶門。穀潰しでも兄君だ。それよりも……兄君を養う苦労から解放されて晴れ晴れしい気分でございます。兄君、どうか息災で。鬼裂にご心労をお掛けし過ぎぬ様に。自らが大名を兼ねる我らが御参家と異なり、食い扶持を(いたずら)に潰す様ではお家まで潰してしまいます故」


 口調こそ丁寧だが、とことん俺を馬鹿にしている。悔しいけど、全部正論だ。

 言い返しても、未だに鬼を斬れない俺には何一つ大義が無い。頭を下げ、立ち去ろうとするが。


「ま、待って」


 と袖を掴む者が。

 ……父の妹の娘の魃巳はつみか。俺や鬼羅助と違い、黒髪翠瞳で次期当主候補の一人である。


「魃巳さまも私に何か御用ですか?」


「……そんな、私に敬語など使わないで。兄様はお強いのに……」


「……お前まで」

 

 ショックだった。それなりにずっと可愛がってきたのに。懐いてくれてると思ってたのに。


「お前まで……俺を馬鹿にするのか?」

 鬼を斬れない俺が強いだと? 馬鹿にするにも程がある。


「そ、そんなこと。私はただ――」


「俺は単なる鬼裂甚太郎です。本家傍流の御方とは身分が異なります故、馴れ馴れしくは出来ませぬ。私は早急に立ち去らねばならぬ身、これは天長さまの御裁可にございますので畏れ多くはございますが、御免つかまつります」


「――ッ」


 御門の尊称を出せば、これ以上つき纏われまい。案の上、弟と従兄は苦虫を噛み潰した顔をし、舌打ちすると俺から離れた。俺は魃巳に深く頭を下げると、早足で立ち去った。


 悔しい、悲しい。そして何より情けない。

 

 鬼が跋扈する世なのに。鬼に国土の大半が奪われた世なのに、鬼を斬る力を有しておきながら、鬼が生き物という理由だけで斬れない俺が、俺は溜まらなく悔しくて情けない。前世の倫理観に囚われ、義務を果たせず期待にも応えれない俺は、――果たして何の為に転生したのだろうか?



―――――



 家降いえおろしとなった俺の為に、隣国の大名がわざわざ派遣してくれた護衛を伴って、俺は稲荷の里に向かっていた。鬼ヶ崎家は御参家であり、大名も兼ねる為伏那ふしな国を自らが統治していた。六家に連なる他の分家は東山国に里を構えるが、鬼裂家は鬼ヶ崎一門の中でも地位が低く国境に里を作っている。


 そんな鬼裂家から俺を迎えるにあたって大名に護衛を依頼したらしい。


 何でわざわざこんな俺の為に。


 山道を、馬に似た霊獣、霊馬に跨り進んでいた。俺の荷物は存外少なく、俺の霊馬だけでも十分運べる。霊馬に揺られ浮かない顔をする俺と、そんな不甲斐ない俺の左右を固め馬に乗る護衛の侍方。


 端的に言うと、とても気まずかった。何より沈黙が辛い。どうしてか、攻めれている気がする。


「あ、あの」


「……? 何か? 休憩でも致すか?」


 あ、話しかけてもこっち見ないのね。

 取り合えず沈黙が嫌だから、当たり障りのない話題をふる。


「山道だというのに鬼が出ず、とても平和だなぁと」


「お館様が鬼斬りの意見を取り入れているお蔭でござる。柊の木を植えることで、小型の鬼が人里を避けるようになり、鬼斬りが中型や大型を退治することで国内の鬼の被害は極めて低いのです」


 ここにきて鬼斬りの話しか。いや、よくよく考えれば当たり前か。考えが回らなかった……。


「……とても強い鬼斬りがいるんですね」


「流石は御参家の分家と言いますか。小型の鬼なら某武士でも何とか斬り捨てれますが、中型以上となるとやはり鬼斬りでなくて相手になりませぬ。何でも12の女子おなごも頑張っておいでだとか。鬼斬りが鬼斬りに専念できるよう国内を平定するが某ら武家の御役目、身につまされる思いでござる」


 13の俺が鬼を斬れないのに、12の少女は鬼を斬れる。

 言外に馬鹿にされたと思ってしまう俺の醜さが、俺はとても恥ずかしい。


「そうですな」

 そう返事するだけで、俺は精一杯だった。



 里を出た時はまだ昼頃だったが、いつの間にやらひぐらしが煩く鳴く夕暮れ時になっていた。


「ここまで宜しい、護衛御苦労」


 里の麓に着いたので、俺は護衛に礼を言った。

 鬼斬りの里は、霊力が集う場所霊脈を鬼共から守る役目もあり、ずれた異界に隠してある。ある程度の霊力が無ければ、そもそも『視』れないし中に入れないように結界が張られている。


「承知、これにて御免」


 短くそう言うと、護衛の侍は俺から離れ国元に向かった。


「さてと」


 大きな鳥居を霊馬でくぐり、俺は独りちる。常人には鳥居すら見えぬというが、俺は元から見えるので詳しくは知らん。

 一歩足を踏み入れた瞬間分かる、雰囲気の変化。穂畝津貴ほどではないが、霊験あらたか厳かな空気が満ちている。大小様々な鳥居に、地蔵が乱雑に積まれた山道も、無造作ながら鬼を避ける結界としての役割を果たしている。


 どんな場所なんだろう。

 ――稲荷の里は。


 どんな家なのだろう。

 ――鬼裂家は。


 鬼を斬れない俺を、大名に依頼してまで手厚く歓待する家は、一体どんな場所なのか。


 鬼を斬れない、鬼斬りとして無価値な俺を何故、迎え入れたのか。


 本家たる鬼ヶ崎の頼みだからか。はたまた、何か別の思惑からか。


 理由はどうだっていい。

 ――家と呼べれば。


 帰れる場所になれば

 ――なんだって。 


 ある意味やさぐれていた俺を、迎え入れた鬼裂家は、鬼を斬れない俺を温かく包み込んでくれた。


「鬼裂甚太郎。よく来てくれた。俺は鬼裂鬼馬きば、天朝から壱卒の地位を賜り稲荷の里の守護を仰せつかっている。今日から君の父となる男だ」

 

 最初何をされていたのか良く理解できなかった。

 視界が、黒一色に覆われて。

 頭が何やら温かい何かに包まれて。頭を優しくポンポンされた。


「俺のことを父だと思って接してくれ、甚太郎」


 しばらくして俺は、鬼馬に頭を抱かれ撫でられたことを理解した。

 理解すると不思議なもので、緊張があっという間に霧散して、涙がポロポロ零れ落ちる。


「あれ? あれれ」


 拭っても拭っても、拭いきれない。


 鬼を斬れず、家族から見放されて里を追い出された俺は。

 10年ぶりに父親の温もりを感じて、涙を溢れさすことしか出来なかった。




「今日より新たに家族となった甚太郎だ。皆、仲良くするように」 

 

 里の中でも一際大きい御屋敷に、鬼裂の血を引く者が全員当主の間に集められていた。

 40過ぎても尚若々しい、上等な和服を着た男性鬼馬に言われて俺は鬼馬殿と同じく上座に座していた。


「鬼馬殿より紹介されました甚太郎と申します。……家降(いえおろし)の上、鬼名まで剥奪された不肖の身でありますが、何卒宜しくお願い申し上げます」


 老若男女、鬼裂の人間に囲まれた中、俺は頭を下げ自己紹介をした。鬼馬殿から家降いえおろし云々の下りは言わずとも良いと言われていたが、鬼を斬れない俺なりの誠意である。

 正直軽蔑なり罵倒なり浴びせられると覚悟していたのだが。


「鬼裂家を代表しまして歓迎申し上げます。甚太郎さま、いえ旦那さま。詳しいことは父上様より聞いておりますれば、お気になさらずとも結構でございます。今日よりここは旦那さまの第二のお家。わたくし共のことは家族と思い接しくだいませ」


「旦那さま? 鬼馬殿、この娘は?」


 思ったより好印象なのに加えて、旦那さま呼びに俺はプチパニックだ。


「おや、聞いていないのか? いや、事情を考えれば当然か。角織かおり、自己紹介を致せ」


「鬼裂鬼馬が娘、鬼裂角織かおりと申します、旦那さま。不肖ながら旦那さまの許嫁にございます、至らぬ事も多々ありましょうが何卒宜しくお願い致します」


 前世合わせると31年になるが、俺に遂に許嫁が出来たらしい。




 鬼を斬れないので鬼名を剥奪して家降いえおろしの末里追放を表沙汰にしては、鬼斬り全体の外聞が悪いし、ましてや御参家ともあろう者が鬼を斬れませんでは他家に示しがつかないので、対外的な言い訳として本家分家の仲を深める為本家の者が分家に婿入りしたということになったそうだ。


 角織は今年12歳、俺の一つ下と年も近くてそろそろ嫁入りも考える時期で丁度いいと、俺の預け先に鬼馬殿が名乗り出て、一門評定(親族会議のようなもの)の末決定されたと鬼馬殿が教えてくれた。

 くれたのであるが。


「――私ではご不満なのでしょうか? 至らぬ点があれば治しますので遠慮なさらず仰ってください」


 流石に会って一日も経たぬ内に同衾は早いんじゃないかなぁ?

 12歳で結婚云々は前世の感覚から行くと法令的にも倫理的にもアウトなのだが、鬼斬りは全体数が足りない故に早婚多産を天朝が推奨している。

 『百鬼夜行』でただでさえ少なかった鬼斬りがかなり減って、國内にいる鬼に対して圧倒的に戦力が不足している。今は質で対抗しているが、このままではジリ貧で、だから早い内に鬼斬りは結婚して子を設けねばならない。

 何なら御門が発布した鬼斬掟御定書おにきりおきておさだめがきに「鬼斬、早クカラ婚姻シ赤子産ムベシ。2人以上ノコト」とある。

 だから俺も異論はない。切羽詰まってるのは知ってるから。


「不満はありません。……、ない。問題があるとすれば俺でいいのかということだな。お前は俺とそう変わらぬ年なのに、既に鬼斬りとして御役目を立派に果たしていると聞く。器量もいいし、何より可愛らしい。そのような女子おなごが俺のような穀潰しに嫁になるのは勿体ないと思うぞ」

 

 敬語で話すと頬を膨らませ怒るので、タメで言うが、明らかに俺のような半端者が結ばれていい相手ではないと俺は思う。そもそもは12歳との同衾を渋って、角織が不安げに顔を歪ませたのがことの発端であり、断じて角織に不満がある訳じゃない。ある訳がない。

 敢えて言うなら釣り合わないと俺は思ってるのだが、俺が喋るにつれ頬を膨らませた角織を見るに、どうも俺とは違う意見だ。……どうしてだ?


「旦那さまはもう誰にも貫けぬ鎧と、何事をも貫く最強の槍を持っておいでですよ。使い方を知らないだけです。先程、一目見て私はああこの方の嫁になるのだなと旦那さまを好きになりました。私は信じております、私の直感を。私は信じております、旦那さまのことを。

狼の子は生まれて直ぐに獲物を採れません、狩りを教わり獲物の採り方を学ぶのです。何なら私が狩り方をお教え差し上げます。ですので、あまり私の前でご自身を卑下なさらないで、私まで悲しくなります故」


「――ともかく、お前に不満はない。ある筈がない。が、許嫁の仲とはいえまだ婚前、祝言をあげるまではしとねを共にしない、それが俺の考えだ」


 思ったよりガチもんの告白に、俺は内心動揺するのを必死に押し隠しながら取り繕う。可愛いって言ったら照れる癖にこの小娘、盛大なジャブをかましてきおった。


 それに何気に涙腺に宜しくない。

 少しだけ救われた気分になった。

 鬼が斬れない無価値な俺を、世辞だろうが好きって言ってくれて嬉しかった。


「お優しい方ですね。承知しました、褥は諦め同衾することにします。失礼します、旦那さま」

 

 ……。俺の話し聞いてたのかな?


 初日以降、角織の猛抗議より俺たちは夜は同じ布団で寝ることになった。俺が、なまじ婚姻まで貞操を守ろうと言ったせいで。自業自得か……はあ。


 ついでに言うと翌日から鬼裂家の人間から温かい目で見られるようになりました。



 閑話休題。



「最初から飛べる鳥はいません。まずは自信をつけるのと慣れる所から初めていきましょう」

 

 とは角織の言葉であり、年下の少女に付きっきりで面倒見てもらう男性がそこにはいた。

 というか、俺だな。


 小鬼という小型の鬼と俺は対峙していた。

 人里離れた山道。その山腹にて。


 背丈は人の子供と変わらない程度。内包する霊力も微々たる物で、一般の者でも武器の心得があれば容易く対処可能な雑魚中の雑魚である。

 唯一、鋭利な爪に気を付ければ後は大した驚異はないという。


「刀で斬るなり撲殺するなり、思うように対処してみてくださいませ」


 万一に備え30メートル後方に、いつでも抜刀出来る状態で角織は控えている。

 あくまで俺がなんとかしろ、ということなのだろう。


「グギャギャアギャ!」


 汚い唾を撒き散らしながら小鬼が飛びかかってきた。

 速度も勢いも大したことはない。

 足を半歩引いて躱した俺は、刀を抜こうと力を入れた。実のところ、小鬼が飛びついてくる前から抜こうとしていたのだが、手は震えるばかりで抜刀出来なかった。

 相手は殺意を持って殺そうとして来ているのに、稽古ではあれ程鮮やかに抜けた刀が、鬼とはいえ生き物と対峙した途端ヌケなくなった。


「ちっ」


 舌打ちすると小鬼を殴る。霊力を纏わせれば只の握り拳とて砲弾に化ける。

 俺に殴られ、小鬼は山の木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいく。


「20、いや30間(一間約2メートル)か? これで何とかなれば良いのだが」


 小鬼の頭部が潰れた感覚がダイレクトに伝わってきて実は吐きそうなのだが。


 拳からグシャリって音と柔らかい物にのめり込む感覚がしてかなり気持ち悪い

 将来の嫁の手前根性で耐えているがキツイ。


「……まぁなる訳なかろうな」


 頭を潰した程度で鬼が死ぬ訳ない。心の臓を滅多刺しにしたならともかく頭を潰した程度ではな。

 先程までの負傷が嘘見たいに回復した小鬼が馬に負けない速さで駆けてきた。

 

 学習能力が皆無で、真正面から。


 刀は未だ抜けない。手は震えるだけで、刀を抜こうとしない。


 峰打ち、にするか。


 霊力を鞘全体に薄く纏わせ術を掛ける。鞘を硬くする術を。

 霊力の扱いは些か自信がある。扱える霊力の量が然程多くない上に実践であまり使えないが。

 硬化式の影響で鞘自体が淡く黄色の光を放つ。


 初めて鬼相手に、生き物相手に刀を振る恐怖で、腰が抜けそう。


 猪の如く特攻してくる小鬼。

 小鬼の腹目掛けて、霊力を纏わせた鞘ごと振るう。


 ゴシャリという感覚が拵越しに手に伝わり、バシャンと弾ける音が響く。 


 峰打ちと呼べるか怪しい、殴打とも言う一撃は、小鬼の体に衝撃を伝わせ爆発四散させたのだ。

 肉片や臓物血が脆に顔に掛かり、俺は思わず吐き出してしまった。

 気持ち悪い。気持ち悪い、気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


「――旦那さま!?」

 

 げえげえ戻していたところ、背中をさすられ、頭が柔らかいものに包まれた。後から知ったが胸に頭を抱きいれたそうな。

 吐くのを止めねばと思うが、次から次へとゲロが出てくる。


「すま、うええ。……はぁ、はぁ。ほんと――げえええええ。……くそっ。うえ、――ッ」


 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


 殺してしまった。

 生き物を。

 命を直接この手で奪ってしまった。


 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


「落ち着いて、落ち着きなさい! 大丈夫ですから!」


 背中に当てられた角織の掌から、ポカポカした温もりが全身に伝わって吐き気がすっと引いていく。

 袴についた土埃を払うと、俺は立ち上がった。


「ありがとう。楽になった」  


「いえ、お役に立てて幸いです」


「嫌になる。成長のない俺が。失望したか? これしきのことで気を遣るなんて情けないだろ」

 

 最後に鬼を斃したのが、確か2年前だったから2年は成長していない。過ごした時間の濃密さの違いが、如実に表れているようで気恥ずかしい。

 そして何よりも情けない。


「何処に情けなく思う要素がありましょうか。拵で鬼を斃す芸当は、誰にでも出来るものではありません、私はむしろ誇らしくなりました。このような御方の妻になるのだな、と」


「そ、そうか? しかし、俺はいたんだぞ? お前の前で」


「吐くことくらい、誰にでもあります。これから少しずつ慣れていけば良いのです」


 俺を真っすぐ見てくる目線が、どうも嫌で俺は目を逸らす。


「なあ……」


 と、一旦言葉を切る。何を馬鹿なと笑われるかもしれない。

 だが心の内に秘めてる無謀な夢を、俺は角織に伝えたくてしょうがない。


「俺に夢がある。東ツ國から全ての鬼を祓って太平な國にしたい。今は鬼を斬れぬ半端者だが、鬼を斬り俺の代でこの國から鬼を駆逐するという夢が。お前は笑うか?」

 

 鬼を斬れない癖に、夢だけは大層なモノ。

 その自覚があったからこそ、俺は今まで隠してきた。


 ある種の信仰に近い強迫観念かもしれない。


 異世界に転生して鬼斬りに生まれたのに関わらず、しかも並外れた膨大な霊力というチートを持って生まれてきたのに、周囲に望まれた役割を果たせず早々に見捨てられた俺にも価値がある。


 誰にもできなかったことをして認められたい。


 そうでなきゃ、俺は何のために異世界に転生した?


 そんな想いから生じた願望でもある。


「いえ、笑いません。感動いたしました。是非、その隣に私を置いてください」


 いっそのこと笑い飛ばしてくれることを期待したのに、どうしてそう純粋な瞳で、目を輝かせて俺を見るのかなあ。


「――ああ、その時は頼む」


「ふふっ。畏まりまして候」

 

 角織は凄いな。 

 なんか胸の奥にあった、もやもやが薄れていくみたいだ。



――――



 それから何度か角織の任務に同行し、鬼に慣れる訓練をしてきたのだが。結果は芳しくなかった。

 だが、しかし鬼裂家の者は、俺を邪険にせずむしろ励ましてくれる。それがありがたくもあり、そして苦しかった。自分でもめんどくさいと思う。

 12歳との婚約はOKなのに、鬼は斬れない。意味が分からない。

 けど。鬼相手とは言え、いざ相対して刀を抜こうとすれば抜けない・・・・


 そんなジレンマに苛立っていたある日。

 餓鬼の大群が山から降りてきたという知らせが届いた。


「大名曰く20程度の群れだと。餓鬼とは別に東の境界沿いにも小鬼の大群があり、大名の軍はそこの相手で手一杯らしい。護国鎮護は鬼斬りの御役目、角織と甚太郎に事態鎮静の任を下す。速やかに出陣し鬼を斬り捨てよ」


 餓鬼が20。割と深刻な緊急事態に、俺はとっさに言葉を失う。


「謹んで拝命致します」

 

 正座したまま頭を下げて、そう答礼する角織の言葉に、俺ははっとして慌てて頭を下げた。


 

 馬に跨り、全速力で駆け付けた頃には、村が丸々一つ飲み込まれていた。

 20ではなく60はいる。


 やはり増えたか。


 餓鬼は小鬼に近い外見をしているが、腹が満たされると増える性質がある。

 見た目に合わない大きな胃袋を有していて、ものすごく悪食で食えるものなら何でも食うが、一度飢えが満たされれば単独で増殖するという、鼠より厄介な鬼なのである。

 もし逃げ遅れた人がいたとしても、もう……。


「村人は早い段階で逃げていて、逃げ遅れはいないと文にはあります。焼き討ちして炙れ出てきたものを追撃しようと思うのですが」


「それしかないだろうな」


 座学で、餓鬼の対処法は焼却が有効だと聞いた。餓鬼は増えることに霊力の大半を使うので、他の鬼より回復力が低い。集団ごと高火力で焼き払うのが、一番効率の良い対処法なのだそうだ。

 一匹でも逃せば再び増殖して大群に化す。ゴキブリかよ。 


「では火付けしますので、離れて。旦那さまは出来る限りでいいので追撃を頼みます」


「あい分かった」


 未だに斬れないが、殴殺するくらいは出来るようになった。

 焼き洩れた餓鬼の処分くらいはしなければ、ここまで良くしてくれる鬼裂の皆に対して申し訳なさすぎる。 

 吐くし気分も悪くなるが、それでも随分な進歩だと角織は褒めてくれたしな。


 角織が矢を番えると、鏃に火が灯り角織はそのまま矢を放つ。

 霊力のアシストもあり、最初はボヤだった火がどんどん強まり村全体を轟々と焼く業火へと変化する。

 火を操る術、火遁の術だな。


「グぎゃああああ」


 と餓鬼どもの悲鳴が木霊する。

 そして火に煽られて、燃えながら呻き声を上げる餓鬼どもが炙り出されてきた。

 火傷で爛れ、すごく気持ち悪いが、今は耐える。


 殴って殴って潰す。


 殴って殴って潰す。


 また殴って殴って潰して、そしてまた殴って殴って潰す。


 断末魔が耳にこびりつく。


 それでも殴って殴るが。


「おげえええええ」


 やはり、耐えられなかった。


「……あまり自分を責めないで。今日は10の鬼を斃してますよ? 大丈夫、いつかきっと――」


 俺を励ましてくれる声が、今は妬ましい。


「いつかって何時だ?」


 わかってる、角織は明らかに意気消沈した俺を励まそうとしているだけだと。

 悪気はないと。ただ、俺にはそれが当てつけに聞こえてしまった。


「いつももいつも『いつか必ず』とお前は言うが、俺は鬼を斬れない。これが結果だ。――これだけ鬼がいたのに、俺の右手は震えるだけで刀を抜けてすらいない。こんなザマで俺になにが出来る? え? 何もできない。何も出来てないじゃないか!!!」


「――ッ。それは、旦那さまが御自身に自信がないだけで、自信を持てば」


「うるせえ!! 自信などある訳ないだろう。鬼名を取られ、実の親から捨てられ里からも追放された俺の気持ちがお前にはわかるか!? わかる筈があるまい!! 多大な霊力を持ったが故羨まれ期待され失望され捨てられた俺の痛みがお前には分らんだろうな! 鬼を斬れるお前に、俺の気持ちが分かってたまるか!!!」 


「……ふぇ」


「鬼を斬れるお前が知ったような口を聞くんじゃない!!!!」


 角織の嗚咽を聞いてしまったと思った。

 俺のことを案じてくれた健気な小娘に酷い仕打ちをした。


「御免」


 そういうと、俺は駆け出した。

 あらん限りの霊力を足に込めて、駆け出した。

 田んぼが燃え盛る村が一瞬で遥か後方へと消え去る。

 

 ただ一人になりたい。


 が、そうは問屋が卸さないのが現実で、現実は非常に残酷だ。



 村から離れた山の麓にそれは居た。


 蜘蛛の体に牛の頭部をもつ異形。

 体も非常に大きく、4メートルは超えている。

 東の遠方に棲むと聞く”牛鬼うしおに”の姿に、非常に似ていた。


 というかそのものだろう。


 ヤバいヤバいヤバい。

 見るだけでわかる鬼級にヤバい。

 荒々しい霊力が、吹き荒んでいる。禍々しい、悍ましい霊力だ。


 黄色いぎょろ目で俺を凝視する牛鬼は次の瞬間、咆哮を上げて襲い掛かって来た。


「ブモおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

 鋭い鋭利な牙が、向かってくる。

 霊力で強化された目が、無駄にスローモーションで鮮明に見せてくるものだから怖くて堪らない。


 どさりと遠くから声が聞こえる。


「うあ、あう」


 逃げなきゃ、そう思うが体が動かない。

 声にならない声が出るだけで、体が一切動かない。



 あ、食われる。


 目を閉じるが。



「旦那さま!!」



 角織に抱きすくめられ、俺は命を救われた。

 あっという間に牛鬼から距離を取ると、角織は俺を優しく地面におろしてくれる。


「ど、どうして?」


「私は、いずれ東ツ國から鬼を祓滅する英雄の妻ですから」


 角織は刀の切っ先を牛鬼に向けると、雄叫びを上げて闘気を高めていた。

 霊力が練り上げられていることが、傍目に良く見える。

 かっこいい。俺とは大違いだ。


「ブおおおお」


 牛鬼が角織めがけて突進する。


「旦那さまには指一本触れさせません!!」


 真正面からぶつかり合い、技の応酬をする一人と一体。

 牛鬼の無尽蔵な体力と強靭な肉体から繰り広げられる一撃一撃は風を裂き鈍い衝撃波を伴う。

 角織は細い腕に霊力を纏わせて、そのすべてをしなやかに往なしているが。

 根本的に出力の異なる角織では相手にならない。

 

 ……徐々に押され出してる。

 

 しなやかに受け流していても衝撃は蓄積するものだ。牛鬼の攻撃が、徐々に角織の体を蝕んでいき。


「あ」


 刀が角織の手から弾かれて、角織の口から鮮血がこぼれた。


 口元から多量に涎を垂れ流しながら、傷を負い蹲る角織に近付く牛鬼の意図は明白。

 鬼にとって霊力の摂取は食事、霊力さえあれば生物非生物問わず食料でしかない。

 ましてや鬼斬りとなると、内包する霊力は多く御参家の分家ともなれば――。


 大口を開けて角織に顔を近付ける牛鬼。

 

 人を食べるつもりなのだろう。

 誰を? ――まさか、俺の嫁を?


 


 気付いた時には、俺は角織を片手で抱きかかえて、牛鬼から80メートルは離れた場所にいた。

 あれ程抜けなかった刀を抜けているとか、すれ違いざまに足を切り刻んだとかは、全部どうでもいい。

 

「大丈夫か!? 済まない、俺が愚図なばっかりに」


 背中を爪で裂かれてる。出血が酷い。


「回復に専念できればこんなもの掠り傷です。そんなことより、甚太郎・・・さま――刀が」


「ああ、抜けたとも。当然だろう、俺はお前の夫になる男だぞ」


 多少出血が引いたとはいえ、依然重症なのに俺のことを気にする角織を俺は力一杯抱き締めた。

 俺の着物が血で汚れることを角織が嫌がったが知るか。


「ああ、良かった」


 俺の腕の中でそう安堵の息を漏らす角織が愛おしくてたまらなくなり、溜まらずキスをした。

 

 俺は何をしていたんだ?

 角織がこんなになるまで傍観して。

 こんなになっても俺を慕ってくれた角織を俺は死なせてしまうところだった。

 最初は驚いていた角織も、目を閉じて俺に身を委ねてくれる。それもまたいじらしい。


「牛鬼は俺に任せておけ。鬼斬り・・・鬼裂甚太郎・・・・・の初陣を飾る肴にしてくれる」


 口を離した俺は、腕の中でぽーっとした顔で俺を見上げる角織を見ながら宣言する。


「俺の刀の錆にしてくれる。だからお前に見届けて欲しい。俺の華々しい初陣を」


 コクリと頷く角織の額に唇を落とすと、丁重に地面に下す。


 そして抜刀したまま後ろを振り返る。


「かなり細かく細切れにしたのだが、流石は大型の鬼。噂に違わず凄まじい再生力だな」

 

 牛鬼の巨体を支える8本の脚を、すれ違い際の一瞬とはいえ出来る範囲で細切れにした筈だったが、ものの数分で元通りに再生していた。


ぎょっとした黄色い目が、血走って俺を睨み付けている。


 濃密な殺気が叩き付けられ、暴行が竦み上がってしまう。

 気を抜くと今にもチビってしまいそうだ。


 柄を握る手がぶるぶると震えてしまう。

 怖くないと言えば噓になる。

 正直に言うと逃げ出したくもある。


 だが、俺の後ろには、俺の大切な人がいる。


 それにもう今まで十分に逃げて来た。



 今こそ、嫁の、角織の期待に応えるべき。


「鬼を斬り捨て、鬼斬りになる!!」 


 足回りに霊力を集め、周辺組織を強化すると、俺は力強く一歩を踏み出す。

 イメージする。

 一足で100メートルを進む光景を。僅か一歩で、荒ぶる牛鬼の背後に移動する様を明瞭に意識し大地をしっかり踏み締める。

 踵の裏まで地面につけると、そこは牛鬼の真裏だった。

 ファンタジー風に言うのなら”瞬間移動”、縮地を使ったのだ。


「これは俺の嫁を持て成してくれた餞別だ! 遠慮なんかしてくれるなよ、受け取れ!!!」


 思い切り跳ねると、刀身が許容限界を超えて弾ける寸前まで霊力を注ぎ込んで、縦に回転しながらその広過ぎる背中を斬りつけた。

 途端に飛び散る血液に似た何か。

 そして濃縮された霊力が切口から噴き出す。


 心臓を斬ったつもりなのだが、思ったより背の外殻が厚くて斬れなかった。


「刃こぼれはないが、――2,3発が限界か。拳が通ればいいんだが」


 刃こぼれしないだけで、もう2、3回振るえば壊れる気がする。

 納刀すると、そのまま全速力で肉薄しでっぷりと太った腹部を思い切りぶん殴った。


 ドゴオオオオンと轟音が鳴り響き、衝撃波と共に牛鬼が吹っ飛ぶ。

 見上げるほどある巨体が、轟音と共に200メートルは飛んだ。傍から見れば仰天ものだろうが、それだけだ。ダメージは与えたと思うけど、致命傷には程遠い。


 打撃はほぼ無意味、というか通る訳がなかった。


 俺の持つ刀は最低限の許容量しかない、陸仔ろくこに支給される量産品でしかない。

 強度も心許ないし、硬度も鋭さも足りない。何より霊力をあまり多く込められない。

 そして何より動きが拙い。


 今まで鬼斬りから逃げてきたツケ、俺の桁外れな霊力に物を言わせて力業で斬っているけど、実践不足を同時に痛感させられた。単純な斬撃にしても、動きと勢い、重心がてんでんばらばら。

 霊力の扱いは更にひどい。振る刀に沿わせて霊力を纏わせきれてないから、斬撃にムラがある。


 我慢比べして応援を待つ選択もあるが、角織にカッコつけた手前、自分でどうにかしなければダサすぎる。

 散々逃げてきて、幼気な嫁に身を挺して庇わられたのに、カッコつけた挙句他力本願じゃマジで俺がこの世界に転生した意味がない。


 どうする、どうすればいい。

 考えろ、考えるんだ。


 ――!!! 


「角織――刀を、刀を貸してくれ!」


 俺じゃなく肆士の角織の刀ならば、牛鬼を斬れるはず!


「甚太郎さま!!!」


 意図を察してくれた角織は、鞘ごと刀を投げてくれる。

 刀を掴むのと、牛鬼が突進してくるタイミングは、図らずも同時だった。


「ブモモモモ――ッ!!!!」


 ひ弱である筈の人間に、良いように遊ばれて逆上した牛鬼が真正面から突っ込んでくる。

 その突進力は凄まじく、あっという間に100メートルを走り抜けてくる。


 このままだと、牛鬼に良いように轢き殺される。

 抜刀は余裕で間に合うが、斬るのは間に合わない。世界がスローモーションに見える中でも、牛鬼は猛烈な勢いで駆け距離をどんどん詰めてきている。

 牛鬼の真横に移動することをイメージして、縮地して牛鬼を躱すと角織の刀で斬った。

 俺の粗悪な刀とは異なる、ずっしりとした手応え。

 霊力の許容量も桁違いで、10倍近く注いでもまだ少し余裕がある。


「これならごり押しできる」


 まだ若干手が震えるが、吐くレベルじゃない。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


 雄叫びをあげて己を奮い立たせると、俺は只管斬った。


 斬って斬って躱して受けて斬って斬って斬って斬って斬って斬って。

 斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って――斬って。


 俺の嫁に手傷を負わせた。

 その一心で斬りまくる。

 大型鬼の比較にならない、回復能力を上回る勢いで速さで手数で、少しでも多く斬る。

 

 俺には洗練された技がない。だから、膨大な霊力に物を言わせるしかなかった。


 刀に霊力を込めて、身体機能を強化して。牛鬼を、大型鬼の反応速度を上回る”重さ”と”速さ”を手に入れる。

 斬りつけた回数が30を超え怒涛の攻撃の末。


 断末魔もなく牛鬼は静かに息絶えていた。

 30を超える斬撃で、徹底的に駒切にした結果である。

 だがまだ終わりではない。

 鬼の本体はあくまで荒魂、肉体は単なる『器』でしかない。


 いくら『器』を粉微塵にしたとしても荒魂が無事ならば、何かしらに憑依して復活する可能性がある。

 俺は荒ぶる鼓動と心臓を鎮めると、目を閉じた。


悪鬼滅裂アッキメツレツ  

 滅裂撃斬メツレツゲキザン

 撃斬邪鬼祓ゲキザンジャキフツ

 

 そして刀を死骸に突き立てて。


「邪鬼退散!!」

 

 死骸から紫の靄が吹き出て、それが虚空に消えて逝った。

 鬼の魂である荒魂を消滅させてこその鬼斬りなのだ。


 どさりと俺はへたりこんだ。


「つ、疲れた」


 緊張の糸がきれて、呼吸が乱れに乱れる。

 刀身を慌てて確認するが、一応傷や刃こぼれは見当たらない。

 がむしゃらに技もへったくれもなくただ斬っただけだから、刃こぼれしてないか非常に不安だったのだが良かった。


 疲れ切って脱力する俺。そんな俺を後ろからふわっと抱きしめられる。


「お疲れ様でございます、甚太郎さま」


「……はあ、はあ、はあ。刀ありがとう、助かった」


「おめでとうございます、甚太郎さま。如何がでしたか? 初の鬼斬りは?」


 角織の言葉が、俺に染み渡る。

 

 両手を見る。

 

 前までは、鬼を殺す度に、血で汚れてるように見えてならなかった。ついでに吐いてた。

 だがもう吐き気はない。


 俺が鬼を斬れた。


 俺が単独で、大型鬼”牛鬼”を斬れたんだ。


「うぐ、うぅうぅ」


 嗚咽が喉から漏れ出、視界がぐしゃぐしゃに歪んでしまう。


 角織が優しく背中をさすってくれる中、俺はずっと泣きじゃくった。


 俺はやっと鬼斬りになれたんだ。

 この日流した涙が嬉し涙であることは間違いない。



―――――



 牛鬼を単独で討伐するという快挙を成し遂げて数日。

 激動の数日で会った。


 俺が単独で牛鬼を討伐したという知らせは、角織が嬉々として遣いを出して、半日もしないうちに国中に広まった。大名から祝いの品々が届けられたのはもちろん、国内の百姓から英雄を見るよう崇拝され、鬼裂家の人々は尊敬の眼差しで俺を見るようになった。いやもともと鬼裂家の皆は何故か俺に敬意を払っていたのだが。

 とにかく、角織と一緒に鬼を討伐し、夕は鬼馬殿を交え団欒を送る充実した日々であった。


 一番驚いたのは、俺と角織は鬼馬殿の号令で屋敷の御成り御殿に召集されたことだろう。


 最上段の上座は天長さまがお座りになられるが今回は空席になってる。鬼馬殿が、その一段下に正座しているが、俺は俺と角織は冷や汗が止まらなかった。

 俺はただひたすら空白の上座に対し頭を下げて、臣下の礼を取り続ける。緊張のあまり震えてしまうのは仕方ないことだろう。


「これより天長さまの御文を代読申し付ける。慎んで拝聴致されよ」 

 

 義父上殿がいきなり呼び出してきて、いざ御成り御殿に向かうと黄金の烏。

 天長さまの文を届ける清涼金烏が佇んでいたのだから。

 天長さま不在の際は、清涼金烏が最上位存在になる、何せ天長さまの名代だからだ。

 一番位の高い義父上殿が代表して烏に一礼して、その御足につけられた御文を取り読み上げたのだが、その内容が可笑しかった。


「祓鬼衆、鬼裂甚太郎。みかど、此度の功を聞き給ひ褒美を下賜せんと思召したこと此処に記す。牛鬼ギュウキ単独征伐見事なり、よって肆卒の地位と麒馬を下賜す。奮身献闘大義である、これからもゆめ励むこと」


 陸仔(下っ端)からからいきなり肆卒(大尉相当?)、まさか四階級昇進である。

 しかも、一国に相当する価格で取引される最強級の馬まで褒美として下さるとは、訳が分からない。夢か? 夢なのか?


「流石です、甚太郎さま! 麒馬は天長さまがお認めになられた証。禁中の立ち入り御免の覚えめでたき人ということです。私は嬉しゅうございます」

 

 角織のはしゃいだ声に俺は我に返る。

 12歳の少女らしくばったんばったん跳ねて喜んでるが、畏れ多くも天長さまの御代理であらせられる清涼金烏の御前である。俺が目配せすると、顔を真っ赤にして正座した。

 

 しゅんと項垂れてる可愛い。

 

 じゃなくて。

 義父上殿が読み上げる代理勅語とはいえ、きちんと拝命すべきだ。


 正座したまま拳を握り、両膝の両隣に拳を置くと頭を下げる。


「ご勅命謹んで拝命致します。その広き御心に添えるよう更なる奮闘を誓います」

 

「キヱエエエ!! 返礼見事ナリッ、其ノ誓イ聞キ遂ゲタリ!」 


 急に清涼金烏が喋り出して驚いたのは言うまでもない。


 そうして俺は、殿上人の鬼斬りになったのだ。


 

 天長さまから御言葉を頂き、肆卒の地位に任ぜられてから、幾度かそれとなく本家から本家に戻らぬかと催促があったことも語っておくか?

 天長さまの敬い深い尊敬の念を抱いている我らが鬼ヶ崎一門は、天長さまの失望を何よりも恐れている。故の御機嫌取りなのだろうが、俺は丁重にお断りさせて頂いた。


「宗家(本家のこと)の話何故蹴ったんだ? いい話であろうに」


 蹴った日の晩に、夕餉の時にて鬼馬殿にそう聞かれたのだが、答えは決まっていた。


「俺は鬼裂甚太郎だから。そして角織の主人だからです」


「甚太郎さま!!!」


 感極まって抱き着いてきた角織を、片腕抱きしめてあやしつつ俺は鬼馬殿に提案した。


「義父上殿に折り入って頼みたい儀があります」


「どうした畏まって。俺とお前は家族、遠慮なく申されよ」


「では……。大名に護衛を依頼してもらいたく思います。出来れば忍び衆を」


「――ふむ、それほどまでに、信じられぬか? 宗家のことを」


「我らが鬼ヶ崎は天長さまを敬い何よりも尊ぶ一門、なれば此度の件で俺の処遇に対して天朝が疑惑を抱く可能性があります。だからひょっとすると――、畏くも暗殺があり得るかと」


「俺ら鬼斬りは御定め書きにより人が斬れぬが、暗部はその限りではない、か。あい分かった。内密に大名に掛け合おう」


 と暗殺に対する備えをしていたこともあった。




 とまあそんなように、忙しい日々を送っていたのだが。


 早朝、角織と真剣稽古をしていたら火急を知らせる鐘がけたましくかき鳴らされた。


 火急の内容でリズムが変わるのだが、このリズムは――。


「一門総集か。これはマズイ。行くぞ、角織」


「はい、甚太郎さま」


 鬼裂家本屋敷を、可能な限り早く走り抜け、鬼裂評定処に入ると、とっくに全員集まっていた。


「何があったのですか? お館さま」


 鬼裂家を代表して角織が、鬼馬殿に問いかける。


「大侵攻だ」


 その言葉に、静かなざわめきが冷や水を浴びせられたように静まりかえった。

 大侵攻。

 単なる鬼の大群ではない。鬼の支配階級の中でも最高級の鬼が率いる大群の侵攻のことを言う。

 2000年の歴史の中で数えるほどしか確認されていないそれは、幾度も未曽有宇の災厄をアマクニに齎した。

 『百鬼夜行』がそうだと言えばどれほど深刻な事態かわかるか?

 20年前の大侵攻は、国土の半分が侵され今も尚消えぬ遺恨を深く残した。1万はいた鬼斬りが僅か1000に数を減らしたのは、一重に『百鬼夜行』の災禍がせいだ。


「構成は餓鬼と小鬼、そして牛鬼。数はおよそ10万。既に里が2つ滅んでいる。よって天朝は鬼ヶ崎一門に事態鎮静の勅令を発布した。首魁はヌエ、『百鬼夜行』の元凶の一体だ。放置すれば、東方地域の大半が鬼界に堕ちる。甚太郎」


「はッ」


「先発隊の指揮を任せる。皆を率いて直ちに出陣し鬼を斬り捨て参れ。鬼側の戦力を削るまたとない機会だ!!」


「畏まりまして候」


 隣に座る角織の手をそっと握って俺は覚悟を決める。

 

 手を握る手が震える。 

 ――武者震いだ。


 東ツ國に巣食う鬼を駆逐し、太平の世を築くという俺の野望を実現させるまたとないチャンスだ。

 鬼を掃討して平和な世にして、角織とイチャコラする為にも、鬼は掃討しなければならない。


 そっと握り返してくれる人を守るため、俺は逃げずに戦う。



 俺の名は、鬼裂甚太郎。御門より肆卒の地位を賜りし祓鬼衆。


 

 おに捨て、


 鬼を祓う――。






――鬼斬りだ!!!!


 


【了】

本編では書ききれなかったのでヒロインの好感度が最初から高い理由を説明します。


霊力とは遺伝する物だと鬼斬りたちは経験則から理解してました。だから鬼斬りにとって結婚とは鬼斬り同士の結束を高めるだけでなく、霊力の強い者同士を掛け合わせより強い子を産むための交配行為と家の権威を貯める狙いがあるのです。より強い子を産むのはあおしゃべる分だねーだろ俺もはる意味、鬼斬りの役目であり、強い霊力を血に入れることで未来での家の格を高めんとする。

その為、女性は少しでも子を産めるよう、幼い頃から男性に尽くすよう洗脳もとい教育されてきます。尽くさなきゃ状態の角織の前に現れたた主人公はどうみても絶望していて、ああこの御方は私がいないとダメなんだわとなって自己催眠的に一目ぼれしてお世話したり一緒に行動するうちに惚れ込んでいった……それが最初から好感度が高かった理由です。


それと、鬼裂家の名誉の為補足すると、鬼裂家が鬼を斬れない状態の主人公を手厚くもてなし歓待したのは主人公が優れた霊力をもつ種馬だったからではなく、主人公が御参家の人間だったからです。鬼裂家はとても格調を重んじるので、本家傍流から追放されたとはいえ御参家の生まれで、しかも鬼裂家にとって本家(宗主)でもある鬼ヶ崎の子だったから、鬼が斬れなくても好待遇でした。それと、鬼郎次郎自体が鬼を斬るのが遅かったことも鬼裂家全体が主人公に優しかった理由かもしれません。




霊力は魔力、霊氣マナの集まり的なのの呼称です。


主人公が、スローモーションに見えた理由=遅瞳術

動体視力を底上げする技術。


縮地=姿くら〇し

 距離によって消費霊力が変わる。


主人公の霊力値

一般人 10

一般的な鬼斬り1000

鬼ヶ崎一門 最低1万

主人公 10万5000

角織ちゃん 4万8000※分家筋の中では破格の多さ。 


牛鬼 8万(うち5割を存在維持に使ってるので実質4万)



以上、稚拙をお楽しみくださりありがとうござました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ