依頼内容①
翌朝。
起き抜けにそれぞれが席につくと、ソフィーの受けてきた依頼を確認する。
さて、キャンセルしたら、キャンセル料で大金を失う依頼とはどんなものなのだろうか。
依頼の書かれた紙をめくりながらソフィーが話しはじめる。
「まずは魔道具屋さんのエリーさんね。魔道具に使う魔石の回収の依頼よ」
「まずは、じゃねーよ。え、何? 一つじゃないの?」
「一つじゃないわよ。一つだったらキャンセル料なんて簡単に払えるじゃない」
そういうことか。
状況は理解できたが、全くもって納得はできない。
「続けるわよ? えーっと、次のは、薬屋のディーナさんから薬草の回収依頼ね。あ、武器屋のガンデスさんからのも回収依頼だったわ。これは鉱石だけど」
ハリエットは目をつむって聞いている。眠っているのだろうか。
「回収依頼が多いな。これ、すぐに終わらないだろう」
「でも大丈夫よ。純也向きのもあったから。ウィーズさん家のペットのクエちゃんと、ゴブルさんの娘さんの捜索依頼よ。こういうの得意でしょ?」
何が大丈夫よ、だよ。それに向いているとか得意とかそういうことじゃない。
一度深呼吸をして、気持ちを整える。
キッチンからお茶を三人分用意する。
腹をくくるしかない。もう動揺しないようにしよう。
一口飲んでからソフィーに尋ねる。
「他には?」
「これで全部よ? これ以上はもらってこられないわよ」
何言ってんのよ純也、とけらけらソフィーが笑っている。
「いやいや、十分だから。すでに多いから」
そう言ったところで、ソフィーにはあまり通じていない。
整えたはずの気持ちがすぐに崩れる。