報酬
冒険者ギルドへはちょうど昼頃に到着した。
魔石と鉱石をもって受付に行くと、受付嬢は量と純度に驚き、奥から鑑定士を呼んできた。
冒険者ギルドに来ていた他の冒険者も驚きを隠せていなかった。
石の純度はもちろん、五つの依頼を一日半で達成したことについても驚いているようだった。
受付でのやり取りに聞き耳を立てているようだ。
買取価格などの相場はよくわからないので、鑑定士と受付嬢とのやり取りはハリエットに任せた。
その間、ソフィーが調子に乗って、またいらぬ依頼を受けないよう、少し離れたところでソフィーの手を握って待機していた。
もう、依頼人はほしくない。
身動きが取れないからだろうか、今はソフィーが大人しい。
「純也……」
「なに?」
「え、あ、ううん。あの、その、お疲れ」
「おう、お疲れ」
その後ソフィーはうつむいてしまった。本当に疲れているのだろうか。
「お待たせしました」
ハリエットが大袋を抱えて戻ってきた。
「も、もう終わったの? まだ話したりないんじゃないの?」
ソフィーがハリエットに言う。
「いいえ。もう報酬もいただきましたので」
「おお、すごいな」
ハリエットから大袋を受け取る。
片手では持てないので、両手で抱える。
「あ……」
手を離した瞬間、ソフィーが言った。
「どうした?」
「な、何でもないわよ。報酬が多くてうれしいなって思っただけよ」
「そうだな。これはすごい額だ」
「私のおかげよ。私がいい依頼をもらってきたからよ」
腰に手を当てて胸を張って主張している。
「いや、ソフィー。お前は草を摘んだだけだ」
「うるさい!」
ソフィーがぽかぽかとたたいてくる。
さっきのは気のせいだったようだ。あまり疲れていないようでよかった。
「それでは出発は明日になるのでしょうか」
「そうだな。今日の出発は準備もあるし、さすがに難しいだろう。昼飯を食べたら荷造りをして明日の朝に出発って流れだな」
「わかったわ。報酬もたくさんあるし、まずはおいしいものを食べましょう」
ソフィーがそう言うと、誰が言い出したわけでもなく、三人そろってグリン食堂に足が向いていた。




