現場①
薬屋のディーナから聞いた場所は馬で小一時間のところだった。
この馬は昨日買った二頭の馬のうちの一頭だ。名前はまだない。
名前について三人で昨日かなり揉めた。出発までには決めようということになっている。
俺としても採用されるような立派な名前を考えたいと思っている。
今日一日一緒に過ごして考えたい。
乗馬に関しては、この世界を知っていく中で覚えた。だがだいぶ久しぶりだったので、お尻が痛くなった。
馬の手綱を木に結び付け、歩いて手がかりを捜す。
薬草が少なからず生えているので、恐らく場所は間違っていない。
森の中ではあるが、高い木々が生えていない。太陽の光がしっかりと当たるスポットで薬草の生えやすい環境なのだろう。
もはや捜査も何もなかった。だだっ広い場所だが、もみくちゃにされたような跡や、焼かれた跡があちらこちらに確認できる。
ここで何かが起きたのだろうと予想できる。
セリーナがここにきているときに何かが起きたのかもしれない。
事件に巻き込まれた可能性は考慮していたが、思ったよりも大ごとかもしれない。
手がかりはないかと注意深くゆっくりと見て回る。
捜査をしながら一度整理しておこう。
ゴブル夫妻の依頼のセリーナの捜索は、案外複雑そうだ。
セリーナは三日前、薬屋のディーナさんに教えてもらったこの薬草の採取場所を訪れた。それきり帰ってこなくなってしまった。
そういえばウィーズさんのとこのクエちゃんも三日前に家から逃げたと言っていた。これに関しては達成が難しいかもしれない。小さいとはいえドラゴンは飛べる。遠くへ行っていたら、生きていたとしも見つけるのは至難の業だ。
そしてそれまでは採取のできていたこの場所が、次の日、つまり二日前にはこのありさまになっていた。
何かつながりはあるのだろうか。
考えながら操作をしていると、足跡らしきものが見つかった。しかも複数。
セリーナが関与しているのであれば、手段に拉致されたのか、数人の争いに巻き込まれのか。いずれにしても一刻を争うことだ。
足跡に沿って進んでみる。
一つ一つの足跡は小さい。子供だろうか。
靴は履いていないようだ。はだしの足跡のように見える。
再び馬にまたがり、足跡に沿って、森の奥へと進んでいく。
今のところ順調に事が進んでいる。
まだ昼前だ。今日中に終わらせられるかもしれない。
木々の木漏れ日があるとはいえ。森の中は昼前だというのに、薄暗い。
魔物が出てくる可能性を考慮すると、警戒は怠ることはできない。
ただ馬に乗って進むだけではないので、精神体に疲れが出てくる。
集中しながらしばらく進んだところで、洞窟にたどり着いた。