剽窃の線引き
「みんな、オラに現金を分けてくれ!」
はい、あの有名な人気漫画の台詞も、少し変えるだけで恐ろしい内容に変わりました。
これがパロディ(parody)です。風刺や滑稽さを入れて作り替える手法です。
対してオマージュ(homage)は尊敬の念を含み、従属的な表現です。
具体例としては、2018年の秋アニメに「RELEASE THE SPYCE」という女子高生がスパイ活動を行うアニメがありました。
この最終回に敵方の洗脳装置を停止させる際、残り時間0秒07で止める場面があります。
これはイギリス映画の有名なスパイ映画で、主人公が時限爆弾を残り時間0分07秒で停止させた場面のオマージュと言えます。
同じスパイとして、偶然の一致を装おう演出効果です。
もっと単純明快に表現するなら、パロディは狂歌や川柳、オマージュは本歌取りと考えれば、しっくり来るでしょう。
北京五輪の水泳選手が「北島選手を手ぶらで帰せない」と言った感動の台詞さえも、両手で胸を押さえて「手ブラで」と言ったあの夏。年末のボカロ漫才に全く同じネタが上がっていて、ひっくり返ったのも良い思い出です。
では剽窃(盗作)は、どのような場合でしょうか?
具体例を出せば、上方漫才に大木こだま・ひびきさんがいます。そのこだまさんの持ちネタで
「わざわざ来てくれんでも良かったんや。言うてくれたら行きましたんやがな」
という掴みがあります。
このネタをこだまさんはある若手に使わせていたのですが、その若手が「このネタは僕のネタです」なんて言い出して、しばらく仕事を干されていたことがありました。
この若手の行動が剽窃(盗作)です。
「そんな奴、おらんやろ」と思われるかもしれませんが「おったらそんなん往生しまっせ」の通り、大変なことになりますので、皆さん注意しましょう。
※これは大木こだまさんへのオマージュです。
大木こだま・ひびきさんの漫才の流れ
二人が登壇する。
ひびきさん「皆さん、ご来場ありがとうございます」
こだまさん「わざわざ来てくれんでも良かったんや」
ひびきさん「何言うてますの」
こだまさん「言うてくれたら行きましたんやがな」
パターン1
こだまさん、唐突に長話をして、コンビに都合の良い話を語る。
ひびきさん「ホンマに? 夢みたいな話やな」
こだまさん「夢やがな」
ひびきさん「あちゃー」
パターン2
こだまさんの話に、ひびきさんが絶妙な返しをする。
こだまさん「腕、上げたやないかい」
ひびきさん「え?」
こだまさん「楽屋で黙っとる思たら、こんなネタ考えとったんか。焦るわー」
こだまさん「ところで●●の話あるけど、聞く?」
喩え話を交えて語る。
ひびきさん「それなら、こんな話もあるで」
こだまさん「そんな奴おらんやろ」
ひびきさん「いや、そうじゃなくて」
こだまさん「そんな奴おったら、往生しまっせ」
ひびきさん「やめさせてもらうわ」
ちなみにデビューしばらくは「夢やがな」ではなく「嘘やがな」でした。変更理由は教育的配慮でしょうね。




