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みちくさ  作者: 斎木伯彦
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大和魂考③

 大和魂の考察も三回目です。

 「滅私奉公」「忍ぶ心」と大和魂を形成している心持ちを一つずつ解き明かして来ましたが、我々日本人が持つ心構えはそれだけではないでしょう。

 「正直の頭に神宿る」と言われます。

 我々日本人は嘘を賤しむ民族です。

 「嘘つきは泥棒の始まり」

 「嘘をつくと地獄の鬼に舌を抜かれる」

 などなど「正直」に生きるよう教訓を繰り返し聞かされて育ったはずです。

 今でも政治家や企業経営者などは「嘘をつく」だけでその地位が危うくなるほどの厳しい視線が向けられます。

 諸外国では政治家は嘘をつく仕事と言われるほどですから、その差は歴然ですね。

 この正直でいることは戦国時代にも顕著で「兵は詭道なり」と断言する孫子は、我が国の武将たちに不評でした。孫子の一節を旗印に掲げた武田家でさえ、その受容は進んでいなかったと言われています。

 ところが、日本武尊の時代では敵を騙すことが称賛される行為とされていたり、神功皇后も二人の皇子を騙し討ちしておりますので、仏教伝来ぐらいからが正直者として生きるよう徹底されるみたいです。

 聖徳太子が発布したとされる十七条憲法に「九曰、信是義本。毎事有信。其善悪成敗、要在于信。群臣共信、何事不成。群臣无信、萬事悉敗。」とあるのを見れば、この頃から信義を重んじる気風が育ち始めたと見て良いでしょう。

 但し、盟神探湯(くがたち)と呼ばれる真偽を明らかにする方法が應神天皇の時代に行われたと日本書紀に記録されていたり、允恭天皇の頃に氏素姓を偽る人が多く、同じく盟神探湯を行った記録がありますので、嘘をつくのが悪事であるという考えは上古よりあったでしょう。

 大和魂の考察を進めて来ましたが、我々日本人の胸の奥にある真実へ辿り着くには、もっと深い考察が必要なようです。

盟神探湯、くがたち、くかだち、くかたち。

熱湯に手を入れ、嘘つきは火傷するという審判方法。

允恭天皇の頃では先に火傷した嘘つきを見て、後続の嘘つきが尻込みしたので、裁定が早く行えたとあります。


イソップ物語には「嘘をつく子供」(狼少年)もありますから、古今東西、嘘つきは許されないのが人類の共通認識かもしれません。

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