啓蟄
本日は二十四節季の一つ、啓蟄です。
春の陽気に誘われて、冬眠していた動物たちが穴倉から這い出して来る時候ですね。
蟄という文字を現代では使う機会が減りましたので、知らない方が増えているのではないでしょうか?
江戸時代には「蟄居」という処分があり、今でいう謹慎処分や自宅待機よりも更に厳しく一室に閉じ込める刑罰でした。
そう言う意味で、動物たちが地上に出て来る時期に我々国民が蟄居しなければならないのは哀しいですね。
春に地中から出て来る話と言えば、ギリシア神話のペルセポネが有名ですね。
ペルセポネは豊穣の女神デメテルの娘で、ある日のこと冥府の王であるハデスに攫われてしまいます。
デメテルは娘を返すよう神々に訴えますが、誰も協力してくれないので天界を去り、隠居してしまいました。
そうすると草花は枯れ、収穫できない状態(冬)になってしまったので、困った神々はハデスにペルセポネをデメテルの元へ返すよう要請します。
ハデスは要請を快諾しますが、先んじてペルセポネに冥界の柘榴を食べさせていました。
神々の取り決めでは冥界の食べ物を摂った場合は冥界に住むよう定めていたので、ペルセポネは冥界に住まなければなりません。
しかしデメテルの機嫌が直らなければ、永遠の冬になってしまいますので、神々は折衷案として年間の三分の一を冥界に、残りをデメテルの許で暮らすよう提案します。
こうしてペルセポネが冥界(地下)にいる間は冬となり、地上へ戻れば春になるという物語です。
こうした冥界から誰かを連れ戻すという類型は我が国にもあります。機会があれば紹介しましょう。




