とる
列車運転士「輸送指令、輸送指令。架線に紐状のものが下がっています。如何しましょうか?」
輸送指令「はい、列車運転士さん、それでは『とって』送って下さい」
列車運転士「はい『とって』送る了解しました」
しばらくして
列車運転士「輸送指令、輸送指令。こちら列車運転士です。指示された通りビニール紐を『とって』来ました。どこへ送ればよろしいですか?」
輸送指令「列車運転士さん、それでは今から伝えるアドレスへメールに添付して送って下さい」
列車運転士「え?」
輸送指令「え?」
脚色しましたが実話です。
輸送指令は実物を『撮って』と言ったつもりだったのですが、列車運転士は実物を『取って』しまったという洒落にならない話です。
鉄道架線の電圧は約7000V(JR西日本は2万V、新幹線は3万V)ですから、感電死の可能性もありました。
日本語はこのように同音異義語が多い言語でもあります。
『とる』の代表的な語句だけでも
・取る:手で持つ。我が物にする。
・採る:選ぶ。
・執る:物事をしっかり掴む
・捕る:つかまえる。
・撮る:カメラなどで撮影する。
とあり、「執る」「捕る」「採る」は「取る」を用いても良いとされているので、一層ややこしいです。
このような場合でも漢語を使うと、どの漢字を使えば良いのか判別できます。または、別の語句に言い換えても良いですね。
上記の例であれば輸送指令が『撮影して送って下さい』と指示していれば勘違い防止になります。
取るに足りない些細なことかもしれませんが、語句の使い方で印象が変わりますので適切な語句を採りたいですね。
「JR 東海の女性車掌、「撮る」と「取る」を聞き間違えて架線に絡まったビニールを素手で取る」
2010年7月22日発生