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∞ガールズ!  作者: 百合宮 伯爵
第2話 ∞×∞
8/27

 5月。新女子高生たちも、星花せいかでの日々に慣れてきた頃合。

 柳橋やなぎはし美綺みきも、その一人だ。

 今日は1組女子から、放課後カラオケに誘われている。

 せっかくなので、まだあまり打ち解けてないクラスメートを、美綺からも誘ってみたり。


「……ん。興味無い」


 いつも無口な、セミショートの眼鏡っ子、水下みずした紫月しづき

 いつも付けてるイヤホンを外して、美綺の声を聞いてくれたけど……残念ながら、断られた。

 けれど、


「でも……誘ってくれて、ありがと」


 微かに照れて、呟いてくれる。少しずつだけど、距離は縮まってる気がする。


「うん。気が向いたら、一緒に行こう?」


 それぞれのペースで。皆が皆、美滝みたき百合葉ゆりはのように、グイグイ行けるわけじゃなし。

 美綺もまた、自分の速度で、皆と打ち解けられたら、と思うのだった。


 ※ ※ ※


 そして美綺と打ち解けると、独特過ぎる彼女のワールドへ飲み込まれることとなります。


Yeahイエー! 羯諦ぎゃてい羯諦ぎゃてい波羅羯諦はらぎゃてい波羅僧はらそう羯諦ぎゃてい菩提ぼーじー娑婆訶そわかッ、セイッ!!」


 カラオケにて、般若心経はんにゃしんぎょうをロック調で熱唱してみる、黒髪ロング美少女。

 いい汗かいて「やり遂げた!」感をだしているけれど、周りはぽかんとしているぞ?


 一人ツボに入ったのか、クラスメートの小悪魔系お洒落女子、夢宮ゆめみや由美里ゆみりがお腹抱えてる。


「あはははははは! お経選ぶだけで面白いのに! なぜロック!?」


「ふっ、これはけして、お経を冒涜してるのではないよ? 古代インドの口伝文化を、もっとリズミカルにしたらどうなるかという思考実験であって」


 ふぁさっと髪をかきあげてドヤ顔。


「はー、難しいこと考えてるのね。……って他にどうコメントしろっていうの!?」


 今日のカラオケを企画した、二宮にのみやひさぎ。反応に困る。

 けど由美里ゆみりにウケてるし、深く考えるのを、やめた。

 ちなみに般若心経は、要約すると「この世の苦しみっても人間の認識だし、深く考えなければいけるいける!」的な内容なので……美綺の般若ロックは、ひさぎを正しい悟りへと導いたのだ! たぶん。


 小さな身長の、クラスのマスコット、西條さいじょうゆいが、ぽやぽやとゆるい雰囲気で、


「そういえば、柳橋やなぎはしさん、中学はあの王華だもんね。頭いいんだ……。中間試験の勉強、教えてもらおうかな?」


 その発言に、由美里ゆみりが一気に盛り下がった。


「あー! 思い出させないでよー、中間とかさ!?」


 由美里、美綺を見上げて、


「うー、でもマジで教えてもらおっかな。王華式勉強術とか」


「……でも、王華って、死ぬほどスパルタの学校とこなんでしょ?」


 ひさぎが尋ねると、美綺は遠い眼で、中学時代を回想する。


「そんなことないよ。ただ……あの学校は、何の分野でも1番以外は人権無いってだけ」


「やっぱヤバい学校とこじゃん!?」


 ほら、由美里には向かないって……と言いながら、ひさぎが頬を膨らませる。


「てゆーか。由美里の勉強は、私が見てあげてるでしょ。ご不満ってわけですか、そーですか」


 額を指でつつくと、由美里はニヤニヤ。


「あれれー? もしかして妬いてるのかな? 私との時間が減るの、嫌だとか♪」


「ばっ……! そ、そんなこと、言ってない、でしょ……」


 イチャイチャ?し出すひさぎと由美里。


「な、なんか、最近2人の距離が近い……。近くない?」


 置いて行かれた唯が、助けを求めて美綺へ視線を送るけど。

 美綺は、百合葉のことを考えていた。


(中間テストか……。勉強とアイドルなんて、両立できるんだろうか)


 


 

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