7
「あははははは! にゃははははははははは!?」
「うるさっ!? なんかもう、幼稚園児と入ってる気分なんですけど!」
2人でお風呂。
けれど百合葉の背中を流してあげると、くすぐったいのか大爆笑するので、美綺は疲れてきた。
「ふふーん? もしかして美綺ぽんってば、えっちな雰囲気とか期待してた?」
ニマニマしながら百合葉が振り返るので、ばか、と呟いて美綺、
「そんなわけ、ないだろ。でも……」
百合葉の白い背中に、つい見惚れて。細くたおやかな指で、つつ、となぞってみたり。
「……百合葉の背中。綺麗だね」
「んひゃぅ!?」
甘く上擦った悲鳴が出た。
「い、いきなりそういうムーブ、ずるいと思うの」
「……?」
そのまま百合葉が無言になってしまう。
聞こえるのは水滴の垂れる音に、微かな鼓動。そして換気扇が回る音……。
なので。美綺はこう解釈した。
「……なるほど。君は、換気扇が気になるんだね?」
「何故に!?」
「ふふ、分かるとも。実はあれ特注品でね、目立たないコンパクト&スタイリッシュなデザインと、強力換気を実現、無段階で調節可能なうえに内部もカビの発生を防ぐ優れものなのさ。でも一番は音! 強運転でも耳障りにならないシャープな運転音……いいよね」
ぽかんとしてる百合葉へ、換気扇に使われてる科学技術について、熱弁してみる。
「僕はこういう、目立たない所に使われてるテクノロジーというものが、美しいと思うんだ。機能美っていうのかな。そこに気付くなんて、百合葉……君も、通だね」
「……」
……ぽちゃん。水の垂れる音が響くほどの沈黙に、美綺は急に恥ずかしくなって、赤面した。
「……もしかして、違った?」
こくん、と頷く百合葉。だけど、美綺にとっては慣れっこの、奇異なものを見る目ではなくて。
「美綺ってさ、変な実験とか、よく分かんないコト好きみたいだけど」
純粋に好奇心を浮かべた瞳で、踏みこんで来た。
「……一番は、何をしたい人なの?」




