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∞ガールズ!  作者: 百合宮 伯爵
第2話 ∞×∞
13/27

6

「お邪魔しまーす……」


 指紋認証とか最新セキュリティ完備の、美綺のおうち

 ロケでしか入ったこと無いような豪邸に、百合葉はおっかなびっくり上がり込む。


「なんで、そんなビクビクしてるの?」


「うるさいわねっ。わ、私、こう見えて小市民なんだってば」


 いきなり迎撃センサーとかに引っ掛かって、撃たれたりしないだろうか。

 そんな杞憂は、リビングへ通されたら吹き飛んだ。


「わ。ホテルみたい……」


 窓の外、眼下に広がる太平洋。

 地球の丸さが分かるほどの、雄大な大海原から吹く潮風が、純白のカーテンを揺らす。

 部屋の壁、全体の調度品も白を基調に統一されていて、空と海の青に、よく映える。

 あとテレビが100型ぐらい。すごく大きい。


 急に百合葉は、ジャージ姿の自分が恥ずかしくなってきた。

 一応、美綺に持ってもらったバッグに、部屋着も入れてきてはあるけど……。


「ね、ねえ。勉強の前にさ、シャワー借りていいかな?」


 学園から、走ってここまで来た百合葉。初夏でもあり、汗が気になる。


「汗臭いまま、こんなおしゃれな部屋にいるとか、羞恥プレイかなって」


 恥ずかしがる百合葉。その胸元へ、美綺は顔を近付けて、


「そう? 百合葉の……いい匂いだけど」


 イケメェン女子にしか許されない態度で匂いを嗅がれては、百合葉も真っ赤になるしかない。


「そ、それはアイドルですし!? とーぜん、気を遣ってますけど!?」


 ちなみに百合葉の身体から良い匂いがするのは、天寿の人気商品(以下略)のおかげ。

 とにかくシャワーを浴びるべく、お風呂へGO。

 まさかお風呂も露天風呂だったり……とか思ったけど、さすがにそこまでは無かった。

 百合葉がジャージに下着も脱いで、裸になって……ふと振り返ると、美綺も一緒に脱いでいた。


「……なんでいるの」


「いや、僕も汗を流そうかなって」


 僕の家なのに、何を言ってるんだ……と、逆にきょとんとされてしまった。

 制服を脱いで、上品な淡いパープルの下着を外してる途中の、美綺の肢体。

 均整の取れたプロポーションへ、百合葉はちょびっとの嫉妬と共に、つい見惚れてしまい、頬を染める。

 百合葉だって、何たって現役アイドル。モデル体型に、胸もわりと有って、スタイルには自信有るほうだけど。

 美綺は身長も高い分、よりスタイルの良さが際立って見える。


「あ、あのさ。ほら、私ってばこの名前だから、よくイジられるんだけど」


 前を隠して百合葉、赤い顔で、くるくる自分の髪先をもてあそぶ。


「でもホントのことだから、まあ、テレビとかでも、わりとオープンにしちゃってるけどさ」


 首を傾げる美綺へ、百合葉は照れながらごにょごにょ。


「私、百合っ気あるっていうか。普通に、女の子が好きなのよね」


「へぇ。そういうキャラで売ってるのかと思ってた」


 今どきそんなの、驚くようなこと?という表情の美綺。

 その動じなさからすると、百合葉が、美綺の裸にドキドキしちゃってることは、全く通じてないみたい。

 平気な顔で下着も脱いじゃう美綺へ、百合葉は。

 そんな、堂々と脱いだりしないでと。精いっぱいの、警告をこころみてみた。

 可愛らしく小首を傾げ、上目遣いで。両手を胸の高さに上げて、子グマみたいなポーズで、赤面しながら、


「お、襲っちゃうぞ? がおー」


 ……今度は、いつもクールな美綺のお顔が、真っ赤になる番。


「ば、ばかなコト言ってないで! ほら、背中流してあげるから!?」


 動転しながら、百合葉の背を押して。2人裸で、お風呂へ入っていった。 




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