おっさん→悪役令嬢=もふもふ
読んでくださってありがとうございます!
またまた短編です。
悪役令嬢要素は一体どこに…?
私はおっさんだ。
所詮おっさんだ。
例え私の格好が、前世の娘がプレイしていた悪役令嬢の格好でも。
今が絶賛、断罪中でも。
私はただのおっさんなのだ。
50手前の腰痛に悩むビール好きのくたびれた中年なのだ。
取引先で部下がミスして一緒に怒られた帰り道、朝、反抗期の娘にクソオヤジと怒鳴られた日の帰り道。スマホ片手にポケ◯ンGoをしていたタンクローリーの運転手に引かれた。即死した。痛いだの娘に会いたいだの思う前に死んだ。
記憶が戻ったのは5つの頃。
流行病にやられて生死の境を彷徨っていた時。突然膨大な量の記憶が脳裏に浮かんだ。
むしろそっちの方で死ぬかと思った。
同時に悪役として12で裁かれることを知った。
どうでも良かった。
既に死んで、生きる気力のないおっさんだから。断罪されたところでなんなのだ。
流れに任せて生きた。
何故か美しいと称される顔のせいで王太子の婚約者になった。王妃教育は地獄だった。
元々おっさん。
酒が飲みたかった。煙草も吸いたかった。どっこらしょでもよっこいしょでも言ってやりたかった。
「こら!足広げないでください!はしたない!」
「口調を治してください!」
「姿勢良く!可憐に!」
「「「サボらない!」」」
面倒くさかった。
おまけに王太子もマヌケだった。面食いで青臭い。考えなしのおバカ。おっさんからすると親の顔が見たいくらいだ。(簡単にみれるが)
だから、冤罪で断罪もできるのだ。
おっさんは気力がない。
おっさんは王太子の事などどうでもいい。
嫌がらせも何もしなかった。ただ見ていた。
それだけだ。
「未来の王太子妃を傷つけるなど以ての外!身分剥奪の上国外追放だ!」
軽々しくできるものではない。
おっさんは思った。
身分剥奪したのに国外追放では意味がないのではないかと。
どうでもよかった。
適当に受けた。
国の外れの森の中に捨てられた。
魔物がうじゃうじゃいた。
みんなもふもふしていた。
猫に見えた。可愛くなった。
おっさんは魔物と仲良くなった。毎日もふもふしていた。
おっさんは国の事も自分の事もどうでもよかった。
ただ無類の猫好きでもふもふを愛していた。
もふもふした。ただひたすらもふもふした。
癒された。どうでも良くなった。
それから、おっさんはもふもふして幸せに暮らした。
おっさんの遺言は
もふもふは正義
だった。
おっさんは幸せだった。
おっさんは知らなかった。
己の魔力の強さを。
魔物から国を守っていたのは、己の魔力壁だったということを。
ギャグ色強めに入れたつもりです。
最後の方はもはや、もふもふしか言ってませんが…笑
1000文字縛りキツイですね…
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