別れと冒険者としての第一歩
前投稿したら久々なのに読んでくれる人がいて嬉しかったです。
題名を『事故って異世界旅行』から『巻き込まれ異世界自由生活』に変更致します!
朝になって起きたら、ユー以外が起きていた。いつも1番早く起きるのはユーなのに、昨日は相当疲れたんだなと納得した。今、この世界の気温は日本で例えると春くらいだろうか?夏や冬といった極端すぎる気温じゃなくて助かった。ナシールに四季といった概念があるかは知らないけれど。ユーの代わりに珍しくナツねぇが起きている。どうやら寝不足気味なようで目をしょぼしょぼとさせている。
「おはよう。悪い、起きるの遅かったか?」
「おはよう/おはようございます」
「起きるのは遅くないですよ。あと、ユキさんはまだ、起こさないで大丈夫ですから」
起こそうか迷ってユーの所に行こうとするとロイに腕を捕まれ阻止された。正直昨日のことで警戒されていたことが分かったので向こうから接触してくるとは思わなかったが、珍しくまだ寝ているユーを起こすのは躊躇っていたのでよかった。
「ナツナ、今日の予定はここで朝食ったあと街に向かうでいいか?飯は昨日と同じく俺達の保存食をやる」
「...はい、、ライガーさん。それで構いません。ご飯のことは本当にありがとうございます。えっと、ここから街までどのくらいの時間かかるのでしょうか?」
「あー、マリア。ここからディエスまでどのくらいだ?」
「だいたい2時間くらいだと思います。歩きなので皆さんの体力しだたいになりますが...私たちは休憩をせずに進めますが、ナツナさん達もいますし、休憩を挟んだ方が良いでしょうか?」
「お気ずかいありがとうございます。休憩は挟まなくても大丈夫です。早くディエスに行きたいので...したいこともいっぱいあるし」
ナツねぇとライガー、マリアの会話を聞く限りそんなに街までの距離は遠くないようだ。朝ごはんを提供してくれるのは助かる。保存食のパンみたいなのは、正直パサパサしていて固く、味がその...あまり美味しくはなかったが...。いや、腹持ちは良かったし、干し肉はちょっと肉々しい味がしたけど美味しかった!!日本の保存食ってどうしてあんなに充実してるし、美味しいんだろうな?トイレやら家電製品とか食事もそうだけど、変なとこに情熱を注いでるんだよなぁ。家電とか見ていて楽しいし便利だから好きだけど。
「ヒガン!そろそろ飯食うからユキを起こしてくれ!!」
ライガーに言われユーを起こしに行った。もうすぐでご飯食べるぞと言ったら飛び起きるように起きた。あまりの反応にオルソとロイは少し引いて、アイシャはお腹を抱え大爆笑していた。
皆でご飯を食べ、その後ライガーから今日の予定が伝えられテントを片付けたり、準備をしたりして街に向かった。
「ヒガンさん達はディエスについたら何をする予定ですか?」
「えっーと、ナツねぇ。到着したらなにすんの?(なぁ、もしかしてだけどロイに警戒されてる?)」
「宿の確保に買い物だよ。他にしたいことあったら言ってね?(警戒されてないよ。だからそんな奇妙なもの見たみたいな目やめてあげて。あと、私を挟んで女子トークしているアイシャさんとマリアさんをどうにかしてよ)」
「(えー。あ、それは無理だから頑張れ)...だそうだ。ロイ達はギルドに戻るんだっけ?」
「はい。その後はまた、備品の調達です」
話しながらしばらく歩いているとすぐにディエスに着いた。ここからはシルバーのメンバーとは別れて行動することになる。
「お前ら、着いたぞ。ここが南の街、ディエスだ!!」
「ここが、ディエス...!!なっちゃん!ひーくんっ!!いろんなお店見て回ろーね!!」
西の街、ザパートとは違い鬱々としていない光景を見て嬉しくなったのか、ユーがはしゃいでいる。ナツねぇも目をキョロキョロさせている。
「では、ここでお別れですね...短い時間しか一緒にいなかったのですが、少し寂しく感じますね...」
マリアが悲しそうに言った。だが、お互いやらなければならない事が違うので仕方がない。また、いずれ会うだろう。
「また!!」(シルバーパーティ全員)
「お世話になりました!借りは返す主義なんで、必ずまた会いたいです!!」
「またっ!いろいろとありがとうな!最初に知り合った冒険者があんた達で良かった!」
「またね〜!!次会うときは、ぜっーたい強くなっているから〜」
シルバーのメンバーが見えなくなるまで手を振り続けた。
「......ふぅ、じゃあ、さっき言った通り買い物しようか!」
「なつねぇ、最初にギルドじゃないのはなんでだ?ギルドだったらまだ、シルバーパーティと行動出来たんじゃないのか?」
「あっ!確かにシルバーの人達、依頼の帰りだからギルドに戻るんだったね〜一緒に行きたかったな~」
馬車の中でギルドについて聞いたが、俺達だけで行くのは不安だし、きっと、冒険者はシルバーパーティみたいないい人達だけではなく厳つい顔の人達も多いだろう。それに、ついでにそこで分からないことがあったら聞けるのに、どうしてなつねぇは買い物を先にしようと思ったのだろうと道中不思議だった。
「なんでって、このまま行ったら変でしょ?」
「はい?/え、どーして?」
「お前らなぁ...いい?私達の容姿は目立ってしまうことが分かったでしょ?それに、武器もひとつも持ってないことが丸分かりな上、この服だって冒険者とはどう見ても思わないよね?ゲームの初期装備以下だよ...このままギルドに行ったら絶対舐められるし、笑いものだよ!!」
「そういうことか...まぁ、確かにこの格好浮いてるしな」
「んー?そんなに変かな?まぁ、新しい服選ぶの楽しそうだし早く買おう!」
サイズはちゃんと調整されてあっているから着ていることに不快感や違和感はなかったが、人が多いところで自分達の服と比べると場違いすぎる。着ていたのは皆シンプルなものだけど、素材が違うのかどこか浮いている。
これでギルドに行くどころか現時点でめっちゃ見られてるし、変人扱いだろうな、これ。なつねぇは人の目が気になるのか気分が悪そう......顔色青くなるどころか真っ白に燃え尽きてんだけど大丈夫だよな?
「もう無理、店いくよ!」
「やっぱり人の目嫌だったか」
「はーい!!武器より先に服見に行きたいでーすっ!」
ユーの意見により服屋に行くことになったが、至る所にあり、どこがいいお店か分からないのでせっかくだし色々見てまわることになった。異世特有の見たことの無い装備や魔法具が並び、あちこちに目が奪われる。派手だ、重いなど意見を交わしあったり、装備とは関係の無い会話もした。
「そういや、城で鑑定した時となつねぇが鑑定した時とステータスが違うのは分かるんだけど、なんかなつねぇの方が分かるもの多かったよな?」
「あ!性別とか年齢とかあったもんね!!」
「そりゃあね。私のはギフトが関係してるから。だから、私のは特殊なんだよ。正直もっとスキルとか細かく分かるけど、一日目の時は夜遅かったし、昨日は他の人もいたからね...また、今日見るつもりだから早めに宿探そうね。けど、レベル少し上げたいから、簡単な依頼あったら受けようね」
「どんだけ分かんだよ。今更だけど俺達Lv1だもんな」
「なっちゃん凄いねぇ。で、結局どこのお店にするの?」
「一番大きかったお店に行こうか!!そのお店の店主いい人だったし、値段もそんな高くなかったから」
初めて服を買うので、値段が張る優れたものよりも店主の性格とお手軽な値段でお店を選んだ。向かっている大きな店は服の種類が多くあり、見るだけでも楽しかった。なつねぇが言うには値段の割には性能も良く、今の自分達のレベルにあったものもあるからその店を選んだらしい。レベル1なのに強い装備を買うのは躊躇われるし、お金は使ってばっかで収入0だからな。
カランカランと軽快な音が響き、いらっしゃいませと歓迎するかのような笑顔で店主が迎えてくれた。
「おや?先程ぶりですね?自由に見てくださいね。気になったものがあったら気軽に声をかけてください」
『はーい!!』
「...多すぎて迷うな。なつねぇー、パンツスタイルの場所行こうとするなよー。スカート選べよスカート」
「そうだそうだ〜」
「なんでだよ...別にいいけどさぁ」
俺とユーは驚いた。ノリで言っただけだし、てっきり嫌がるだろうなと予測していた分、肯定と取れる答えが返ってきて放心した。
「あ、私にスカート履かせるならヒガンもスカートね」
「っはぁ?なんで俺だけ!?なんてな、俺もいいぜ別に。ユーは?」
「え?マジでいいの?もっと抵抗するかと思ったよ。ユキがスカートとか見た目的に変態でしかないから!誰得だよ...」
「...変態...そんなに言う?別にスカートにしようと思ってないけどさぁ。」
言ったのは俺だけどユーがスカートとか地獄絵図だし、職質もんだな。俺だって自分の容姿は分かってるぞ?街の店の窓で自分の姿がうっすらだけど分かったし。そりゃあスカートでも違和感なんて与えないだろう容姿だったが何か?元が女だし、女装に抵抗は一切ないな......。ピンクのフリフリは勘弁だけど。
結局自分の服を選ぶのが出来なくて、俺はなつねぇ、なつねぇはユー、ユーは俺をコーディネートすることになり、それぞれ目当てのものを探しに店内を散策した。ちなみに予算は武器やこれからを考慮して銀貨3枚である。
なつねぇの服か、なつねぇ、弓だし胸当て使うだろうから服の素材は軽くて動きやすい物がいいか。よしっ、決まった!!そうだ、靴とかも選ばねーとな...ヒール似合いそうだけど、なつねぇ男だったからバランス取れなさそうだしなぁ
「ひぃくん俺決まったよー」
「私も終わったよ!」
「じゃあ、店主さん呼ぶぞ!!すいません。ここって試着とか出来ますか?」
「えぇ、もちろんです。奥の方にあるので案内致しますね」
「「「お願いします!!」」」
ナツナside
私達は試着室のスペースに案内された。店主もこの場所にいるのがとても気になる。まさか、試着を終えるまでいるのかな?ヒガンがどんなの選んだか分からないし見られたくないんだけど...。ヒガンとユキは迷ったねー、決めるの大変だった、と言った会話を楽しそうにしていて店主がここにいることを気にも留めていないようだ。今だけでいいからその能天気さ分けて欲しいよ、まったく...
試着室に入るとさっそくヒガンに渡された服を見てみることにした。......短くない?え、これが普通なの?マジで?!あー、もうこうなったら腹くくろう!下着も入ってるし...ボクサーパンツだからまだ助かった。主に精神的なものが。漁っていると紙切れがあり、見てみると服の着方が書いてあった。ん、追伸?えーと、なになに
[ 下着入ってただろ?上の下着は〈にーちゃん〉 にはハードル高いと思ったから目をつぶってでも簡単に着れるベアトップにした。なつねぇは胸があるからズレるなんて心配もないだろうから絶対に下着付けろ。髪結ぶのは着替えたら俺かユーがやるからリボンとっておいて。以上]
あ、上してない......てか、気づかなかったよ!!よし、目を閉じよう!あ、落ちてしまっ......ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
取ろうとして反射的に目を開けてしまった......察してくれるよね?
ナツナside終
俺達は試着をすませ銀貨2枚と銅貨6枚を払って購入し、元の服はなつねぇに収納してもらった。ユーは冒険者らしく、動きやすそうな服だがとところどころオシャレ、俺は花魁風に軽く着崩した黒を基調とした和服、なつねぇは緑と白と茶色で品よくまとめた服だ。試着後文句の1つでも言われると思っていたが、そんな気力も残ってないように見えた。......聞こえた叫び声が関係あるのか?
服屋の店主にオススメの武器を売っているところを聞くとギルドで登録料金を払えば弱いけど初心者用の武器が支給されることを教えてもらったので、武器屋には寄らずギルドに向かった。
「うん。異世界って感じだね」
「なつねぇ、依頼の掲示板みてしみじみ何言ってんだよ。てか、ギルドってお酒とタバコの匂い凄いと勝手に想像してたけどそんなに酷くないな」
「だね〜。ねぇ、どの依頼にするの?やっぱり、強い敵いっぱい倒すとか?!」
「最初からそれは危ないから慎重に...と、これとこれでもいい?」
選んだ依頼は二つあった。一つは薬草集め、もう一つはプラントの討伐だった。メインは薬草集めで、プラントはついでである。ちなみに地面から引っこ抜くと倒せる弱いモンスターだ。
依頼を受けるため、ギルドの受付嬢に年齢確認や登録料1人銀貨2枚を払い、ギルドのランクが記されているステータスカードを貰った。ステータスカードは自分のステータスが見られるようになっており、人のものは許可がないと見られないようになっている。ギルドのランクはSとAからFまでで、Sが最高ランク、Fが最低ランクだ。
武器はなつねぇが長弓、俺は刀が良かったがこの世界には刀が存在しなかったので鉄扇、ユーがガントレットを選んだ。華美なものではなかったが、初めての武器に心が踊った。なつねぇは俺の適正武器に刀があるからこの世界にもあると思ったんだけど...
ギルドを出た俺達はギルドの近くにあった宿屋に1週間分の滞在料(銀貨3枚)を払い依頼をするために街の外に出るため門に向かった。
「よーし!頑張ろう!!あまり、1人で行動はしないでね?」
「はいはーい!こっちの宿屋安かったねっ!節約節約〜♪」
「ユー、それ絶対に分かってないだろ!!多分あれが普通なんじゃないのか?」
「正解。ザパードのところでぼったくられたみたいだよ。仕方ないし、あんなとこで労力割きたくなかったから黙って払ったけどね」
「まぁ、振り返ってもしょうがないか。もう行かなければいいんだし。それより、なんかテイム出来たらいいんだけど」
「あ、門が見えたよー!!すごいでっかいねぇ。モンスター入ってきたら危ないからかな〜」
門には見張りの兵がいて、日が暮れるまでには戻ってくるよう伝えられた。夜になると魔物が活発になり危険になるので日が暮れたら門を閉める決まりがあるらしい。
俺達は兵隊さんに礼を言って門を通り抜けた。
現在の所持金。金貨7、銀貨8枚(日本通貨78万相当)
読んでいただきありがとうございます!!進みが遅いですがこれからもどうぞよろしくお願いいたします٩(❀´꒳`✿)۶
読んでいただくだけでも十分嬉しいですが、気が向いたらブクマや評価お願いしますペコリ((・ω・)_ _))