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世界、ナシール

  

 まぶたに入ってきた光と自分の名前を呼ぶ男の声で目を薄く開いた。朝に弱く頭が上手く働かない中、ひぃくんと呼ぶ男の声がユーだと分かり、あぁ、夢じゃなかったんだなと思いながら二度寝をしようと目を閉じかけた時、盛大にお腹がなった音が聞こえた。



  「ちょっと、朝だって!!やめて、寝ないでよっ!お腹減ったんだって〜」



 そう言いながら肩を力強く揺さぶられ目が覚めたが、呂律があまり上手くまわらない。



  「わかったからやめろって......」



 ナツねぇの寝ているところを見ると、この騒々しい中まだ寝ていた。疲れてたから仕方がないと思いながらも自分だけではユーを止められないと思いナツねぇを揺さぶった。



  「ナツねぇ起きろ〜ユーが煩い......荷物持ってんのナツねぇだろ??」



  「んー、あー......朝??おはよ」



  「「おはよ/おっはよー!!」」



 ナツねぇはアイテムボックスを開きそれぞれの荷物を確認し始めた。なぜか少し前にキャンプに行ったとき車に置きっぱなしだった荷物もアイテムボックスに入っていたらしく、割と沢山の物が出てきた。


 誰のものでも無いものは、テント、バーベキューセット、釣り竿、調理器具


 ナツねぇの物はリュック、スマホ、タオル、ティシュ、サバイバルナイフ、虫除けスプレー、財布、飲み物×2


 俺の物はリュック、スマホ、タオル、救急箱、化粧ポーチ、(くし)、メモ帳、ペン、日焼け止め、財布、飲み物×1


 ユーの物はミニバック、スマホ、ワックス、財布、飲み物×1だった......。



 役に立ちそうなものが多くあり、よかったと思ったが、ユーは食べ物がひとつも無いことに打ちのめされていた。



  「なんで誰も食べ物持ってきてないの?!」



  「「お前だけには言われたくねーよ/ないよ!!」」



 食べる物が何も無いとわかり、このままではどうしようもないので外に出てこれからのためにもいろいろ買い足すことにし、外に出る準備をし始めた。



 ナツねぇの髪はとりあえず俺が昨日みたくツインテールに結び直した。なんかアホ毛がなおらなかったのでそれに関しては断念した。俺はいつものようにピンで耳に横の髪を少し態とかかるよう固定し、昨日つけていたアクセを付けた。ユーは持ってきていたワックスで前髪を軽くかきあげていた。



  「髪纏めてくれたのは助かるけどさ、なんでまたツインテールなの......」



  「え?昨日ツインテールの髪型だったし、しろってことかと思ったんだけど??あと、このアホ毛なおんないし、まぁ、これはこれでいいか......」



  「ねー準備終わったよー!!どうこれ!」



  「いいんじゃない??似合ってるし」



  「男でも髪型って大事なんだね......てか、ヒガンはその髪型でいいの?」



  「んー、自分の髪縛るの好きじゃないからこれでいい。あー、でも日焼け止め塗ってくから少し待って??せっかく世の中の女子が憎むレベルの、アンチエイジングが必要ない美白になったから焼けたくないんだよな......」



  「俺は褐色だし塗らなくてもいいやぁ」



  「私もいいかな〜」



  「「なんで?塗れよ?」」



  「こっちがなんでだよ?!」



  「いやいやいや、あのさ、せっかく女になったんだし肌大事にすればいいじゃん!!勿体ないよっ!」



  「日焼けに弱いなら下手したら肌痛くなるかもしれないしな。あと、元の肌が黒くないから変な焼け方したら後悔するぞ??」



  「好きで女になったわけじゃないんだけど?!......まぁ、肌弱い人割といるしね。分かったよ、ヒガン日焼け止め借りていい?」



  「いいぞ??ほい!(`・ω・´)ノ」



  「うわー。なんかベタベタするんだけど......」



  「「夏の女子の戦いを思い知れ」」



 そうして準備を終えた俺達は一応荷物を全て持って、出来るだけ物音を立てないようにこっそりと外に出た。



 外に出ると空は明るく人もいるが、どこか薄暗い雰囲気の店が並んでいた。



  「ここでご飯買って食べてもお腹壊さないよな??」



  「......流石に大丈夫だと思いたいよ...」



 いかにもといった胡散臭そうな店が沢山並び、時折異様な匂いが鼻を掠めた。



  

  「あ、あそこのお店美味しそうだよ!!行こうよ!!」



 ユーがそう言いながら俺とナツねぇの服を引っ張ったのでユーの目線を追うと一つだけ綺麗に見える移動式らしき店があった。



  「そーだな。俺もお腹空いてきたし、あそこなら食べるのいいかも」



  「じゃあ、とりあえず行ってみる??」



 店にはガタイの良くて強面の男が、お客さんに見えるようなにかの肉を串に刺して美味しそうに焼いており、空腹を助長させるような香ばしい匂いが漂っていた。



  「「(これは、大丈夫そうだな/ね)」」



  「おっさん!!串焼き3つちょうだーい」



  「ちょっと、ユk「誰がおっさんだ!!まだ俺は28だ!!」



 ユーがおっさんと呼んでしまい、ナツねぇが止めようとした時男が声を荒らげた。



  「ごめんなさい......」



  「はぁ、まぁいいぜ。坊主からしたらそう見えるかもしれねーしな!!ガッハッハッ。それにしても偉く容姿が整ったな客だな??今まで色んな人間を見てきたが、こりゃあ凄いな。ここの国民か??」



  「ううん、違うよ〜。俺達はね、にh「バッ」ムグムガ」



 うっかり日本と言いかけたユーの口を一瞬でナツねぇが口を塞いだ。ナイスファイトだな......だが、やはりこの容姿はこの世界の人間からしても整って見えるらしい。情報収集に使えそうだと思った。



  「(ヒガンー、私はユキの口塞いでるから出来れば怪しまれないように情報聞き出してもらってもいいかな??私、人の記憶とかあんまり覗きたくないんだよねぇ......あと、たぶん小さ...ゴホン、幼い方が色々教えてくれると思うし?)」



  「(ん?あぁ、テレパシーか......了解。あと、言い直す意味なくなってんだけどっ!!はぁ、上手くいくかは知らないからな??)」



  「どうしたんだ?」



  「いや、この2人のことは気にしないでもらって構いませんよ。それと、俺達はここの国民じゃなくてもっと遠いとこから来たんです。だからあまりここら周辺の国のことは当たり前のことすらあまり知らないので、出来れば教えてくれると助かります......もちろん、教えてくれるなら食べ物代とは別にお金を払わせてもらいます」



  「......あの、お恥ずかしながらそのお金の価値すら分からないので出来れば教えてくれませんか??」



 ナツねぇが自分から話すって珍しいと思いナツねぇの方向を見るとユーが必死に深呼吸をしていた。どうやら窒息しかけたようだ。



  「おいおい。ほんとに偉いとこの子達だったのか??あと、別に金なんて払わなくても聞きてぇことくらいは教えてやるよ!!払うならもう3本肉買ってくれ。一人一つじゃ足りねぇだろ??」



  「え?いいのっ?!」



  「ユキ、ストップだよ。すいません、ありがとうございます」



  「なにからなにまで申し訳ございません。」



  「いや、いいってことよ!!俺はダッグ。よろしくな!!あと、そんな堅苦しく話さくてもいいぜ??余程のとこじゃなきゃ逆に不審がられるしな!!」



  「ユキだよ!!よろしく〜」



  「じゃあ、言葉に甘えて。ヒガンだ。よろしくな」



  「ナツナです。よろしく」



 そうして気前の良い男の人、ダッグはこの世界のことを教えてくれた。


 世界の名前はナシール


 人の国は四つあり東にあるのがシュテレーゼ、西にあるのがザパート、南にあるのがディエス、北にあるのがヴィオラスだ。私達が今いるのは西の国ザパードらしい。


 そして、魔人族が住む国、オロスコピア

 エルフが住む国、ロメーク

 ドワーフが住む国、フォティア

 獣人が住む国、オドゥーデル


 国以外にも、毎日賑わっている商業都市であるデンデルシオや国には1つずつダンジョンはあるらしいがそれらとは別に、大きなダンジョン都市があるらしい。


 お金のは銅片、銀片、銅貨、銀貨、金貨、白金、青金がある。

 日本通貨に例え、銅片から十、百、千、万、十万、百万、千万だと思うことにしようと思う。一円は無かったことにしよう......うん。


 あまり金貨は商人や物のまとめ買いにしか使わないらしい。また、白金は上位の冒険者クラスが武器を買うときに使用する程度だとか...青金はダッグは見たことがないらしい。



  「ざっとまぁこんなもんだなっ!!てか、自分のいる国が分からないってそんなこともあるんだな??」



  「いろいろ教えてくれて助かった。まぁ、訳ありというやつでな......」



  「えっと、もう1つ聞きたいんだけど、この国っていつもこんな感じなの??」



 ダッグは不思議そうにしながらもこちらが言いずらくしていると詮索はしてこない人らしくすごく助かっていると、ナツねぇが少し小さな声で質問するとダッグも少し声を潜め答えた。



  「それがな、どうやらこの国は魔国と戦うとかかなり馬鹿なことをしでかそうとしているらしいんだよな......だから、危機感を覚えた奴はとっくにこの国から他のとこに逃げてるぜ??そういや、ここがどこだか分からないのにそんなことお前ら知るわけないよな!!実際は知らねーけど、本当に戦争が起きると巻き込まれかねないからなお前らもはやく他のとこに移った方がいい。俺も今日の昼頃この国から出る予定だったしな!!」



  「(ワァーイ。ガチでアウトじゃねーか!!クソが!!)まぁ、どうせそんなことだと思ってた。」



  「すぐでます!!私達も今日でますっ!!本当はもう少し滞在する予定だったし、少しきな臭い国だと思ってたけど流石にそこまでとは考えてなかったよ......」



  「この国危ないのー??それはやだなぁ。てゆーか戦争仕掛るつもりなのこっちの国なんだね......(ウソついたんだ、あの王様(笑)?)やるのは勝手だと思うんだけどさ、いっぱいの命を背負ってる人がやっちゃいけないことだと俺は思うなぁ〜。1人でしなよ1人で!」

 


 あれれー??おっかしぃなぁ??王宮では戦争仕掛けられる、怖いだのいって言ってたくせにな??テメーらがしようとしてんじゃねーかよ!!ほんと、頭の中どうなってんだか......



  「おう......。まぁ、出るなら心配ねーけど。そうだ、肉食ってけよ??で、3つでいいのか??」



  「いえ、せっかく情報をたくさん教えてくれたのでダッグさんが言った通り6つにしようかと」



  「やったー!!肉だ!!やっぱ腹ごしらえは大事だよねー!!やっと食べれる〜♪」



  「うん、2本食べれるのは俺も嬉しい。あ、いくらですか??」



  「1本銀片2枚だからな......まぁ、1本分はサービスだ!!銅貨1枚でいいぜ」



  「あの、金貨しか持ってないんだけど、いいですか??」



  「別に大丈夫だ。ほい、これお釣りな。......ナツナ、だっけか??本当にお前ら何もんだよ??」



  「一般人ですよ?」



  「人間だよー」



  「一般人は金貨だけ持ってるとかねーとおもうが.....あとユキ、人間なのは流石に分かるぜ??あ、肉焼けたぞ??ほらよ」



  「わー。美味しそう!!じゃあいっただきまーす!!ムシャムシャ......うんまー......ムシャムシャ」



  「美味しそうに食べるな本当。頂きます......はぐはぐ。お、うまいっ!牛肉、か?......はぐはぐ...」



  「いただきます。モグモグ、、、、あー生き返るねー。モグモグ......」



 3食抜いてたからあっという間に食べ終わった。まだ、満腹では決してないけど。まぁ、空腹はなくなった。



  「美味しそうに食べてくれるな!!作った甲斐が有るってもんよ!!そういや、お前達どういった関係なんだ??」



  「「「姉弟」」」



  「へーっ。3人揃って髪色と目の色が違うなんて珍しいもんだな......まぁ、この先元気で気をつけてな!!」



  「もちろん。ご忠告どうも」



  「また、会った時にはよろしくおねがいします」



  「美味しかったよー!!ダッグーありがとー!!」



 そして、俺達は一旦宿屋に戻ることにした。



第5話、終了でーす!!


最近の楽しみはアクセス解析を見ること!!少しずつですが増えてきているので嬉しいです!!


次回はどんな出会いがあるでしょうか??皆さん忘れかけた方が出てくるかもしれません!!ご注意を!



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