優しい子と未練と本音
長めです...見るの疲れたら目を休ませて下さい。
宿に戻った俺達は宿主に許可をもらい、用意をすることにした。
「私、下ごしらえだけ手伝うね?来た時の服洗いたいから。洗剤ないし水で手洗いになるんだけど......」
「ん、頼むわ。今日角煮でいい?......オーク肉だからちょっと心配だけどな。それにしてもナツねぇの無限収納は便利だよな!野菜は痛まないし、買いすぎても心配ないんだから」
「自分でいうのもあれだけど、すごい分かる」
「なっちゃんーひぃくんー!!暇だからご飯できるまで筋トレとかしてきていーい?」
「調理スペースから離れてやれよ?」
そう言うとユーは離れたところに行き、筋トレをし始めたので、俺達はカッセットコンロの用意や野菜を切り始めた。
下ごしらえが終わるとナツねぇが洗濯に行ったので調理し始めた。二口のカセットコンロなので野菜の中華スープも作ることにした。まず、鍋にサラダ油を入れ熱しオーク肉も入れ表面に焼き色を付けると同時に辺りに肉の焼ける香ばしい匂いが漂う。焼き色が着いたら肉が被るくらいの量の水と、薄切りの生姜、葱の頭の所を入れ、中火で加熱する。その間に中火スープを作っておく。小鍋に水を入れ沸騰したら切っておいたキャベツ、人参、玉葱を入れて煮込むだけ。
角煮の方が煮えて来たなーと思ったら、豚肉と葱も勿体ないので取り出し1口サイズに切って戻す。切っておいた大根、酒、醤油、蜂蜜、みりんを入れたら落し蓋をして放置する。
「と、このくらいかなぁー?あと煮込むだけし」
「洗濯終わったけどそっち終わった?終わってるならユキ呼ぶよ」
「煮込むだけ。40分くらいかかるぞ?」
「じゃあ、ステータス見る?ギルドカードでも見れるけどやっぱり私が見る方が正確だし、情報量も違うからね」
「そうだな。魔物のも見れたりするのか?」
「二人で話してどうしたの?ご飯できた?ご飯の匂いって拷問だよねーお腹が減る」
「ユキ、丁度良かった。ご飯はまだかかるみたいだからステータスみるよ!ステータスは情報であって魔物の言葉ではないから大丈夫。ある程度の感情も分かるし、ユキも超直感があるから考えてることは何となく分かるだろうし......だから、ヒガンの従魔になった子を無意味に傷つけたりはないよ。心配しないで?」
「?ひぃくんの従魔を傷つける?無い無いwww俺だって家族が増えて嬉しいんだよー!!(あのスライムからは悪意を感じなかったし、あったら、なっちゃんも黙って従魔にさせなかっただろーし!)」
「そっか......」
俺は地面に座り着物の袂からスライムを取り出し膝に乗せた。
「起きれるか?ステータスの確認したいんだけど。あと、自己紹介しような」
『ふわぁ......』
「おはよう。ごめん、まだ眠かったか?」
「スライムさんグッモーニングー!/おはようございます?って私達の言葉は分かんないよね」
『......大丈夫です。おは、よう?ってなんですか?青い人と黄色い人は僕に何て話しかけてくれたんですか?』
「起きた時の挨拶だ。グッドモーニングと、おはようございます。両方意味は同じだ」
『へぇ、色んな言い方があるんですね?皆さんおはようございます......あってますか?』
「あってるぞ。ユー、ナツねぇ、おはようございますだってさ」
この子と話して時間はたってないが、大人しいが、好奇心は多いみたいだ。聞かれたは無下にせず分かることならちゃんと答えを返したい。それに、2人とも仲良くなってくれると嬉しい。
「起きれたみたいだね。ちょっとギルドカード貸してくれる?なんかそのカード微妙に違うんだよね大まかというか......こっちの鑑定って本当に雑だね」
「別にいいけど、このカードって自分のしか見られないんじゃ......って愚問だったな」
「覗き見したんだねー」
「この目があるからね。ユキの言い方に棘を感じるんだけど?」
「ん、さっさと見ようぜ?さらにギフトについて細かく見るつもりなんだろ?」
「正直、見たくないんだけどね。なんか嫌な予感がするんだ......」
「(ニッコリ)フラグって知ってるか?」
「なっちゃんならきっとできるさー」
「他人事じゃないでしょ?道ずれにするから!ギフトちゃんと使ってみるか......」
━━我は知るべき者
汝の力を
器に滴り落ちる滴を
何も隠すことなく暴いてしまう
汝の知れること、知らぬこと
我の前では覚書の如く写し映る
ひしと見よ、逸らすことも許されず
我の眼を、真実を━━
ナツねぇは淡く光る目で静かに凛とした声を出し唱え終わると、紙に書き始めた。詠唱の姿に視線が縫い付けられたが終わるとハッとし、書いている間に料理の灰汁を取っておき、軽くかき混ぜた。ユーがじっとみて唾を飲み込む音が聞こえた。
書くのは時間がかかりそうなので、話しながら食べれるよう味見しながら味を軽く整え、プラスチックで出来た食器を取り出し盛り付けた。
「うしっ!書き終わったよ。手が腱鞘炎になるかと思った......詠唱緊張するしさ」
「お疲れ様、様になってたぞ?スライムは呆然としてるけど......こっちも食べれそうだから、食べながら確認でもいいか?」
「うんうん、かっこよかった〜!!やっぱり目が光ってたよ!」
「そう?ありがとね。ユキ、そんなにお腹減ってるの?でも、ご飯は部屋で食べない?万が一話す内容聞かれたら最悪だし、料理は皿ごと収納しても問題ないから」
ナツねぇが料理を仕舞って宿主に使い終わったと伝え、部屋に入り鍵を閉めた。
「じゃあ、いただきます!あ、これは、ご飯を食べる時にする挨拶な?食べ終わったらごちそうさまだ」
『分かりました!いただきます!』
「「いただきます!」」
「よし、まずまずか」
「いやいや、いいよ!やっとまともなの食べれたって感じ。家の味だわー」
「お肉も葱も大根もとろとろー、味染みてるぅぅ中華スープも美味しい!!あーお米食べたいよぉぉぉ」
『......』
「大袈裟、いつも食べてただろ?米はそもそもあるのか?......その、やっぱり口に合わなかったか?」
『凄く美味しいです!!人のご飯ってこんなに美味しいんですね!』
皆美味しそうに食べてくれたので良かったが、従魔の子の言葉が少し引っかかった。
「あ、これ鑑定結果ね。私達の性別と年齢、身長、種族は省いたよーはい、ドーン!!」
ステータス
名前︰ナツナ Lv2
職業︰弓使い 適正武器︰弓 属性︰闇、風 装備︰緑のリボン、金色のバングル、白いグローブ、ベアトップ、ボクサーパンツ、白のワンピースブラウス、茶色のコルセットベスト、緑のスカート、緑の編上げブーツ
武器︰木の長弓、矢30
HP︰1300 MP︰1080
力︰215 防御︰120
素早さ︰500 精神︰560
運︰425
ギフト︰月読
特殊スキル︰無限収納、影縫い
スキル︰弓術Lv4、闇魔法Lv1、風魔法Lv1、照準Lv3、狙撃Lv3、速射Lv1、束縛術Lv1、裁縫Lv6、服飾Lv4、鑑定Lv10
称号︰異世界人、見通す者、コミュ障、苦労人、器用、月神の友愛・加護
状態異常︰ステータス上昇
名前︰ヒガン Lv2
職業︰魔物使い 適正武器︰刀、扇 属性︰火、光 装備︰チェーンの髪飾り、腹掛、ボクサーパンツ、黒の和服、黒のショートパンツ、金色の帯、黒の下駄、レッグチェーン
武器︰鉄扇
HP︰1450 MP︰1025
力︰215 防御︰250
素早さ︰350 精神︰435
運︰575
ギフト︰陰陽
特殊スキル︰結界、言語理解
スキル︰従魔契約Lv1、刀術Lv3、調教Lv2、火魔法Lv1、光魔法Lv1、回復魔法Lv1、霊視Lv10、浄化Lv3、料理Lv3、製菓Lv4、舞踊Lv3、演劇Lv4
称号︰異世界人、受け入れる者、合法ショタ、腹黒、性別詐欺、魔物の主、太陽神の寵愛・加護
状態異常︰ステータス上昇
従魔︰スライム
名前︰ユキ Lv3
職業︰格闘家 適正武器︰ガントレット、ナックル 属性︰水、雷 装備︰赤のリボン、黒のハイネックサーフシャツ、深緑の肩がけ、藍色のガウチョパンツ、白の腰巻、ボクサーパンツ、黒皮のハーネスブーツ、包帯
武器︰ガントレット
HP︰2020 MP︰390
力︰860 防御︰450
素早さ︰435 精神︰180
運︰265
ギフト︰拳神
特殊スキル︰超直感、ベクトル
スキル︰格闘術Lv4、蹴技Lv4、投擲Lv3、護身術Lv3、強打Lv3、水魔法Lv1、雷魔法Lv1、受け流しLv3、水泳Lv3、釣りLv4、家具工Lv3
称号︰異世界人、突き進む者、脳筋、愛すべき馬鹿、武神の慈愛・加護、下克上
状態異常︰ステータス上昇
名前︰なし Lv1
種族︰ミニスライム 属性︰水
HP︰450 MP︰200
力︰30 防御︰100
素早さ︰10 精神︰30
運︰50
特殊スキル︰ドレイン
スキル︰打撃耐性Lv3
称号︰従魔
状態異常︰ステータス上昇
「「「......」」」
「何度見てもすごいよねー......ねぇ、何か喋りなよ」
『主様?どうしたのですか?』
「大丈夫だ。んと、ユーが箸を止めて食べるのを止めてる、だとっ?!」
「なっちゃん、見間違えたんじゃない?疲労で」
「やっぱ黙ってていいよ......一旦ご飯食べ終わろ?」
━━モグモグモグモグ━━
「「『ごちそうさま/でした!』」」
「お粗末さま」
全員見なかった振りをしてご飯を全部食べた。多めに作ったのだが、ユーとスライムが全て食べ尽くした。俺も1回多めにおかわりした。ナツねぇは男の頃から少食でおかわりはしなかったが、よそった分は食べたので良かった。
腹が脹れたところで紙を中心に輪になり、スライムが膝に這い上がった。スライムは俺の膝の上も気に入ったようだ。可愛いので、撫でながら話し合うことにする。
「この情報に補足していくね。私は弓全種でヒガンは刀、扇全種使える。扇は魔法使いの杖の代わりだと思って。私のから解説するよ?ギフトの月読は前に言ったように過去とか考えていることとか見たり読む事に長けている。ただし私が理解出来ない言葉は分からない、感情は分かるけどね。離れていてもテレパシーできるし、どこにいるか分かるよ。特殊スキルも前に説明した通り。ヒガンのギフトの陰陽は、陰陽の特性って言われている融合、同化、集合、編成、分裂、分離、分散、拡散が使える。はっきり言って意味的にヤバいとしか言えないけど、聞いてね?」
「......まだ続くのか」
「まだ、始まったばっかりだから!!はぁ、マシなものから説明するか......まずは編成。個々のものを集めてまとまった組織にする。これは魔物使いとしてはかなりいいよ?集合は散らばってるものでも1箇所に集める事ができる。仲間に集合をかけたり、敵を集めたりね。拡散と分散はふたつ纏めてしまっていい、魔法や料理に使えるかも。分裂は生命体以外のものを分けさせる事ができる。分解も同じ生命体以外だよ。討伐した時に解体頼まなくても良くなるね!!」
「なっちゃんの言ってることが難しくて全く分からないよ......」
「ユキはそれでいいよ。自分のさえ分かってくれればね?ヒガンは言ってること分かる?」
「分かりたくないけど分かるぞ......」
もう聞きたくないんだが。特にここで言うのを辞めたってことは残りの融合と同化は......薄々感ずいてるが想像道理なら本当に聞きたくない。分解はこれから役立ちそうだなぁ。
「現実逃避しないではい続きー!!簡単に言うと融合は従魔と融合することもできるよ!子供の夢の変身だ、ヤッタネ!!ちなみに分裂があるから可能だと思ってね?無かったら一生戻れないから。称号以外の能力が従魔で意識や体はヒガンだよ。同化はギフトや特殊スキルは例外として、自分や他を同じものにできたり、または同じものにできる。性質とか思想とか色々と、ね......洗脳も余裕ってこと、敵じゃなくて良かったぁ」
「変身は一生の憧れで十分だったよ!!こんちくしょう......同化も、うん。便利そうだな。もう、何でも良くなってきた、どんどん行こー」
「あ、従魔限定で言語理解が同化出来るんだけど、魔物使いの使用する言語だけ聞き取ったり話せるようにできるらしいから使ってくれる?そしたら私もユキもヒガンの従魔と会話出来るし。詠唱は頭に浮かぶよ!陰陽の詠唱の最初の後、同化+言語理解だからね。ゆっくりでもいいから間違えずに読んで?」
「間違えずにね、分かった......」
言葉を紡ぐように発する。届くように、柔く微笑んで
━━対をなすものが一つになった
表は光なれど闇も飼う
どちらが傾くは汝次第
我は唯の秤でしかないのだから━━
(すぅ......はぁ......)
━━同じ言葉を話したい?
叶えよう
我は汝を思ふ者
我は汝を信ずる者
汝を欲しがりしは我
我を欲しがりしは汝
それはただ一つの揺るぎなき真実
さぁ、聞きて、話さむ、言の葉乗せて━━
「成功したみたいだよ?どう、私の言葉分かるかな?」
『主様柔らかくて優しい声で、綺麗でした!!はいっ!分かります。魔物使いの人達の言葉は理解できたんですが、違う人のは初めてです』
「そうなんだ、魔物使いは魔物の言葉を理解できないけど、魔物は理解出来たんだ......大変そうだね。あ、私はナツナ。ヒガンの姉だよ、よろしくね?」
「おぉー会話できてるねー!!俺はユキ!ひぃくんの弟!!ひぃくんは詠唱のとき目の中の輪っかが深くなって光って、太陽みたいだったー!」
「そうだ、名前どうするの?スライムさんじゃちょっとね......」
「んー、付けて欲しい名前とかあるか?」
『その、よく分からないので、主様につけて欲しいです』
失敗せずに詠唱が言えて良かった。皆楽しそうに話している。
名前の件は実は少し考えていたのですぐに決まった。「柏」である。
「カシワ、でどうかな?」
『カシワ?』
「ひぃくん、それってもしかして柏餅のこと?」
「この子、核が鏡みたく反射して色がうっすら表面に出るけどベースは白だしね。葉っぱの部分はないけど餅に似ているといえば似ているかな」
「いや、確かに柏餅に似てるし、美味しいけど、植物の方!!」
「ふーん、ヒガンがそれにしたってことは花言葉が関係していたりする?」
「まぁな」
『花言葉ってなんですか?』
植物を言葉で表したもの。柏には【⠀愛は永遠に】【⠀愛想の良さ】ってのがある。まだ、細かくあるがどれもいい言葉だ。それに、新芽が出るまで葉を落とさないことからかなり縁起のいい植物であることを説明した
「「よくそんな花言葉知ってるし、ちゃんと考えてるね」」
「結構花言葉って面白いし、ある意味俺はこの子の親みたいなもんだろ?......お前もカシワでいいか?」
『親ですか......ありがとうございます、嬉しいです。名前大事にしますね!!』
「どういたしまして?」
「じゃあ、続けるね。特殊スキルの結界と言語理解は何となく分かるだろうしユキのに移るよ。特殊スキルからでいい?ベクトルはユキのステータスで例えると、今はLv上がって防御の数値が450、Lv1の時は400だった。ここまではいい?」
「防御のステータスが50上がったってことが言いたいんだろ?」
「ふむふむ。大丈夫だよ」
「よし。ユキのベクトルの特殊スキルを使えばこれをLv1の状態に戻せることが可能になる。ただし、HPとMP、運は減らすとが出来ない」
『それって、ユキさんが弱くなってしまうんじゃ......』
「いや、戻したならば何かに加算しなくちゃならないみたい。要するに数字を50引いて、力のステータスに加算すると、ユキの力は910になる。力以外を全て戻して力にすると今のユキの最大の力は1660になるね......コッワいわぁ」
「ユーいつの間に人間やめたんだ?」
『ヒエッ』
「そんなに怖がんないでよ、敵じゃないんだからさ!!」
「まぁまぁ、まだこれからだよ......もちろん敵にも使えるよ?力自慢の魔物の力の数値をLv1の状態に戻して防御につぎ込むとかね。超直感があるし頭を使わなくても自然に効率よくできる。ギフトの拳神は魔法を砕くことは前に言った通り、さらに、格闘家だけど拳に魔法を纏わせ戦うことが可能だってさ。殺意に溢れてるね......」
ナツねぇも含め全員が、静かになってユーをドン引きして見つめている。カシワに至っては膝の上でガクガク震えているのが伝わってくる。見ているだけで可哀想だ。
「カシワ、ユーはお前に攻撃しないから大丈夫だぞ?」
「そうだね。味方だと思えば心強すぎるからね」
「カシワぁ、そんなに怯えないで?攻撃なんてしないってば!!」
『分かってるんですが、うぅ。というか皆さん凄すぎて僕がここにいていいのか......』
「ふふっカシワも十分だよ。ヒガンは運がいいね。カシワのステータスやスキルはスライム的に普通なんだけど、特殊スキル持ち。しかもドレイン。相手のHPやMP、運を吸い取ることができるよ。ユーとは逆だけど、これは吸い取ったものは無くなってしまう。HPやMPはしばらくすれば回復してしまうだろうけど、吸い取られた運は一生戻らない。注意して使うんだよ?因みに主人のヒガンにはカシワの悪意のある攻撃が一切できない。そもそもしないだろうけど」
さらにナツねぇが続け、増えた称号、ナツねぇは器用、特殊スキルを何回も細かく分けて使っていたから。俺は魔物の主と性別詐欺、従魔契約を成功することが条件。性別詐欺は誰にも男だと気づかれてなかったからとか余計なお世話だ!!服屋の人やカシワさえも気づかれなかったとか......カシワの誤解はちゃんと解いたからな?ユーは下克上。Lv1だったとき倒したゴブリンがLv5だったから。自分よりもLvが5倍以上の敵を1人で倒すのが条件になる。効果は自分より敵のLvが強いと一時的に戦闘能力が上がる。
神様の○○についてはナツねぇもよく分からなかったみたいだが、この称号と状態異常のステータス上昇が関係しているのは分かったらしい。カシワは、俺の従魔になったから同じ状態になってしまった。
「あとは、スキルなんだけど、一気に増えたのは冒険者になったから。Lvがもう既に上がってるのは日本にいた時のせいだと思う。私は止まった的を射抜く競技だしLv4ってのも納得だけど逆に止まってたら外すこと無いかな?Lv10が最大なようだよ」
「俺もだな。別に剣道で習った訳じゃなくてあくまでおじさんに教えて貰ってたし。何流かすら興味は無かったな、刀は好きだが。てか、俺のスキルほとんどネタじゃねーか」
「こっちも別に相手を殺しちゃうための競技じゃなかったからなぁ......てか、自分のは確かに分かるんだけどさ、二人の一体なんなの?なっちゃんは裁縫とか凄い高いし、ひぃくんは多すぎだし、霊視とかLv10ってMAXじゃん」
「私のは......まぁね、」
「いや、俺多趣味だったし?寧ろこの数で済んで良かった。演劇は部活だろうし、舞踊は神楽舞や剣舞かな?それか好きなキャラのMMD見たりして踊ってた事が原因だな。霊視は好きで身につけたわけじゃないし、浄化は本格的にやってた訳じゃないしな。あぁ、ナツねぇの裁縫はな、主に女物のコスプレ衣装作ってたからだ。にーちゃんが着たり売ったりすることは無かったみたいだけど」
「あたりまえでしょ?!てか、なんで言うのぉぉぉぉ!!」
「別にいいだろ?私は着る側で世話になったけど」
「あー、そうだったね。男物が殆どだったけどね。作るのは楽しかったよ」
「え?ひぃくんコスプレしてたの?」
「男装だけどな。演劇で色んなもの着させられて慣れてるし」
「えー見たかったー」
『色んな服きた主様見たかったです。気になったんですけど、にーちゃんって誰ですか?あと、主様、私とか男装とか』
話してなかったかと気づき、カシワも知る権利があると意見が一致し包み隠さず全て話した。異世界から召喚されたこと、俺達の世界の神様が助けてくれた事、元の性別が逆になっていることとかいろいろ。驚いていたが、途端に感情が揺れた。
『主様達、大変だったんですね(僕を家族だって言ってくれた、主様やナツナさん、ユキさんを傷つけた人達がいるんだ......)』
「「「そんな顔するな/しないで?」」」
『?!』
「ビックリしたか?主だから分かる。俺たちのために怒ってくれてることは凄い嬉しい。私、本当は元の世界に未練があるよ。夢も取り上げられたし、大切な人に黙って居なくなることになってしまったから。でも、カシワに会えたことは感謝してる」
「ごめん。心配で考えてること見ちゃった......私も、カシワがヒガンの従魔になってくれて良かった。確かに、あの人達には怒っているよ?俺達のそれなりに平和だった日常をぶっ壊しやがってくれたんだからね」
「俺は何となくだけどね?カシワは優しい子だねぇ。家族が減るんじゃなくて、増えるなんて思わなかったから俺は幸せだよ!!本当に未練タラタラだねぇ、皆。雪華も出たい試合まだあったんだけどね......」
『ごめんなさい。許すことが出来ないです。だけど、僕はそれよりも皆さんと家族になれて嬉し......で、す......』
「「「おやすみ、カシワ」」」
泣き疲れて寝てしまったカシワをぎゅっと抱きしめた。もっとオブラートに包みまくって言えばよかったと反省したが、これできっと良かったんだろう。俺達の本音は出来れば隠したくないし
「まぁ、王様(笑)が関わってきたらそんときは締めるけど」
「「ナツねぇ.../なっちゃん...今言う?」」
「ちょっ!!2人だってそうでしょ?!」
「手段は問わないだろうな。カシワにあのド腐れ見せたくないし」
「目が腐りそうだよねぇ」
「きっと私達疲れてるんだよ......おやすみ」
「明日もあるしな。おやすみ」
「お腹いっぱいだし、いい夢見れそう!!おやすみ〜」
今回の宿は毛布がしっかりしているので心地よく寝れるだろう。飾りを取ったり下駄を脱ぎ、帯も解いてカシワごとベットに倒れ込み背中を丸め少しずつ意識が薄れていく中眠った。
読んでくれてありがとうございます!!