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1 夢落ちにさせてください

ハロウィン明けたその次の日の朝に天からやって来たハッピー★ラブコメ。

「ちぃ遅いんじゃん?」はお許しくださいね♪

 目が覚めて隣りにそこそこ良い顔の男が寝ていて。

「やっちゃった。」

あずさはむっくりと起き上がり

“しまったなぁ”

って顔で頭を掻いた。よりによって

“初めて”

なのに成り行きってのはどうかと思う。まぁだいたい25越えて処女ってのはなしだし、彼の方も

『まさかっ!?』

って感じで別に罪が有るとは思えないけれど気まずい事には変わりなく

「やっちゃった。」

彼女はもう一度呟いた。日差し明るいマンションの一室。明らかに男部屋。高そうなスピーカーに部厚いヘッドホン。寝ているベッドは明らかにシングルよりもでかい。

 お酒を飲んでいた訳でもないし、記憶が無い訳でもなし。彼が一見さんって訳でもない。むしろ、このひと月微妙にアプローチされていた男でまぁ知らない仲じゃないし、可能性的に

“こうなっちゃう”

事もなくはない。それにしても

「やっちゃった。」

何しろ彼女、男が大嫌いだったから。関わりになんかなりたくないのにこんな事になるなんて。高い所から見下ろされる感覚も、偉そうに指図したがる傲慢な所も、口先だけで調子の良い所も、髭が生える事も、その存在全てが大嫌いだった。だから昨日の夜、正確には今日の明け方の彼女は、

“すっかり騙されちまった!”

事になる。何しろ徹夜をして思考力と言うものがまるで無かったんだから。そこで

「よし!」

寝ている男から目をそらし、ポンと手を叩いた。

「無かった事にしよう!」

それが良い。そう一人微笑んだはずが、

「それって無いんじゃないの?あずささん。」

裸の男がいきなり起き上がり、がばっ!

「うぉっ!?」

明らかに

“男の腕”

っていうのに抱きしめられ、彼女は思いっきり固まった。首筋にザラって当たるのはこの男の無精髭で、

「ふんふん♪」

って低くなっているのは

「何歌ってんのよ。」

むっとした彼女の声に逆らう

「ご機嫌だから。」

って調子こく男の喉。でもって絡み付く

「逃がしませんよ。」

って言う囁き。その指先が彼女の押さえている胸元のシーツをつつつっと引っ張る。

「何さらす!」

その端っこをがしっとつかみ、切れ長の強い瞳で彼を見返す。今まで誇っていた

“鉄壁な”

防御はどんな男にも効果があった、はずなのに・・・。

「恥ずかしがらなくても。」

市原はへらっと笑いながらよりによって体を擦り付けて来た。というか、彼女にとってはそうとしか思えない、うぁぁぁぁな行動にでた。挙げ句に

「着やせするんだね。」

クスクスと笑いながら目線を落とした。もちろんそこに有るのは・・・・。

「Dは有るよね。」

彼女の胸元がギュッて寄る位強く抱きしめられ、あずさの頭に

“セクハラ”

と言う言葉が浮かぶ。

「絶対、嫌!!」

昨日の夜の私は絶対におかしかった!自分が男を、しかもこういう浮ついたタイプの馬鹿を選ぶはずが無いって、もう自信満々で彼の事を力一杯振り払った。

「悪いけど、昨日の事よく覚えてるし、アレ、成り行きだから。あくまでな・り・ゆ・き。だからしつこくしないでくれる。はい、もうお終い!」

でもってえいやって、まっぱのままでベッドの横に仁王立ちで降り立った。こういう時、恥じらっちゃいけないって知ってたから。

“可愛らしく”

したらまず間違いなく

“誘ってる?”

って思われるって。だからあえて

“太々しさ”

演出したつもりだった。のだが・・・・・。

「何これ?」

胸の上に散らばったいかにも

“内出血”

「覚えてるんでしょう?」

まるでワープでもして来た様な素早さで彼に背後を取られていた。

「愛し合った印だから。」

その内容というより、

“それを言うのか?”

と言う意味で、あずさは半ば気を失いかけた。そう、これは夢、夢、夢。

「夢オチだ!って叫んでも良いですか?」

にっこり笑う彼女に

「すぐに現実戻してあげますよ。」

市原はヒョイッと彼女を抱き上げバスルームへと消えて行った。

「暴れると落ちますからね。」

と言う言葉を吐きながら。


         つづく

ブログで展開しているお話です。



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