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愛を勝ち取りし者

今回、百合注意です。

誰も突破者が出ないまま、イベント終了1時間前になった。

しかし、そこで異変が起きたのだ。

「あれ、しらすどこいった?」

さっきまで腕に抱いていたしらすがいつのまにか忽然と消えていたのだ。

「あぁ、しらすさんならさっき『私もやってみよー』とか言って出てきましたよ」

「!?」

丁度そのとき、入り口近くを監視してる監視カメラにしらす……いやデージーさんが映っていた。

え、何あの人貴重な変身時間こんなことに使ってんの? バカなの?

うわ、入ってきた。しかもうまっ!?

あ、そういえばずっと近くで見てきたもんね。そりゃあわかるか。

そのままデージーさんはスイスイと進んで行き、あっという間に700m地点を突破した。

残り時間あと40分。

え、あの子に突破されるのはなんかヤだ。絶対にヤだ。

「アルティちゃん!! 私も手伝う! 絶対に止めるよ!!」

「ふぇっ!? そ、そこまで私と……わ、わかりました! 行きますよトーカさん!!」

デージーさんなんかに私の全力を突破させてたまるか!!


ーーーーーーーーーー分岐ーーーーーーーーーーーー

『しらす√』


残り300m、デージーさんは真ん中をゆうゆうと歩いている。

前から膝ぐらいの高さでのこぎりを走らせる。

それを跳んで避けたところに後ろから胸ぐらいの高さに同じのをドン。

しかし、それは壁キックで回避された。

「うっわ何あの動き、彼女何者ですか」

あ、強く蹴りすぎて反対側の壁に頭打ってる。

「うっわ何あの動き、彼女何者ですか」

横からさっきと全く同じセリフが聞こえてくる。まぁ全然意味は違うだろうけど。

しかし私たちはその隙を突かない程優しくはない。前後から大岩を転がす。

これすると他の罠も全部壊れちゃうのが難点なんだけどまぁ10秒後にはリロードされるからもーまんたいでしょ。

うわ、あの人頭の痛みでずっとうずくまってるんだけど、まったく動かないんだけど、めっちゃかわいいんだけど。

まぁこれで倒せたでしょ、でも後3,4回チャレンジする時間ありそうなのがなぁ……

そんなことを考えてると、ものすごいことが起きた。

岩と岩が丁度ごっつんこするところにいて、さらに壁際でうずくまってたデージーさんはなんと岩と地面の小さい隙間にギリギリ入って岩をやりすごしたのだ。

「うっそでしょ!?」

「あはっ、あの人面白いですねートーカさん」

その後も頭を押さえながらふらふらと千鳥足で前進するデージーさん。

なぜか罠が一切当たらない。全部スレッスレを素通りしていく。

「ファーーー!?」

「うっわぁすごい幸運、えげつないですね……」

結局そのまま彼女を止めることはできず、ゴールにたどり着かれてしまった。

「……」

あんな酔っ払いみたいな動きに負けるなんて、悔しい! でも(ry


「にゃー」

私は今、ねこになっている。

何を言ってるかわからないと思うけど安心して、私にもわからない。

あの後デージーさんに負けてしまった私は、約束を果たすべく休日にしらすとデートをすることになった。

人型のデージーさんにエスコートされるがままに町をめぐり、着せ替えられたりおしゃれカフェに行ったり最初は普通に楽しかったのだ。

だけど、気が付くと私達はあのときの工房に来ていた。

一体何をされるのかとちょっと怖く思っていたら、プスッと針で刺された。あの『転換の針』に。

うっトラウマが……となりプチパニックになってた私は気が付くとねこの姿に、目の前には満面の笑みを浮かべる私がいた。

「にゃー」

そして今に至るというわけである。

「ヒャーかわいい!! 弟子ちゃん超キュート!!」

「にゃー」

私はもはやニャーと鳴くことしかできない。一体何がどうなってるんだってばよ。

「ふっふっふ、普段とは反対の立場になってみたかったんだ♪」

いや「だ♪」と言われましても……

て今私いつものしらすと同じ状況になってるんだ。まぁ私は本体死んでないけど。それに喋れないし。

でもなー、この人が中に入ってるとか死ぬより怖い状況だと思うんだけど。

「さ、弟子ちゃん、町へ繰り出すぞー♪」

「にゃー」

まぁ1日ぐらいいっか。ねこ好きだし。


「ふんふふんふふーん♪」

しっかしえらくご機嫌だねデージーさん、そんなに楽しいのかな私の体。

「あ、トーカちゃんだ」

「ん、ヒバナ」

うわ、私の真似うっま。急に表情がスンッて変わった。え、うっま。

「トーカちゃーん、あれ難しすぎるって~」

「ふっふっふ、ヒバナもまだまだだね♪」

「むー悔しい~!! デートしたかったーー!!」

「? デートなんていつでもしてあげるよ?」

「!?」

「にゃっ!?」

え、かわいい顔で何てこと口走ってんの!?

そのコテンッて小首傾げんのやめて! かわいい! でも内容は(私にとって)かわいくない!!

「なんでそんなに驚いてるの?」

「い、いや、トーカちゃんがデレるなんてそんなバカな……え、聞き間違いじゃないよね?」

「う、うん、たぶん合ってると思う」

「にゃ!?!?」

くっそコイツこれが目的か!! 私はレズじゃないっていってるじゃん!!

しかもよりによって若干怪しいヒバナに言うなんて……ロンちゃんとかならまだ笑って流してくれたかもしんないのに……

「あ、だったら今度の週末とか空いてる?」

「へ!? あ、うん」

うっそでしょお前まさか人の体で勝手に予定作る気か!? 正気!?

「土曜日と日曜日家だれもいないからさ……来る?」

「ブフォ!」

「にゃ!?!?!?」

やめろちょっと頬を赤らめながら上目遣いで人を家に誘うな!!

てかヒバナもなんで鼻血出してんの!? 止めてよ! やっぱそっちの人だったの!?

「ど、どうかな……泊まりになると思うんだけど……」

「にゃ!?!?!?!?」

おいばかやめろそれかわいすぎる花火が落ちてしまうこのままじゃ行くとこまで行っちゃうそろそろ止まれ変態!!!!!

「いや、かな……?」

てかそろそろ気づけよヒバナどう考えてもいつもの私と違うだろあそういえばヒバナに錬金術で入れ替われる技があるの教えてないから気付きようがないじゃんHAHAHA……やべえ、止めようがねえ。

「い、いやぢゃないよ!!」

「ホント!? えへへ、嬉しい」

はにかんでらっしゃる、私の体でデージーさんがまだ少し赤い頬でホッとしたような嬉しいような顔ではにかんでらっしゃる。やばいクッソかわいい。

あーもー今の絶対ヒバナ落ちたって「トゥンク」って音が聞こえてきたぐらい恋してる人の顔だもんこれ。

どうする、どうやったらこの大惨事を止められる……考えろ、考えろ…………

ハッ!? そういえば確か変換を使ってのどを作り変えて喋ってるんだよねしらすって!!

じゃ同じことをすれば……

まずねこと人間の声帯の違いをググって……ふむふむなるほど……よし、大体わかった。

じゃあここをこうすれば……こうかな?

「にゃーにゃー、あーあー」

よっしキタ!!!!!!!!!!!!

これであの子の凶行を止めれる。

「おいしらす……」

「どうしたの?」

乙女の顔をしたままこちらを振り向く。でも少し驚きが見える。

話せるようになったことにちょっとはビックリしてるみたいだからよかった。

「…………ね?」

「っ!?」

かわいらしい表情をしていたデージーさんだったが私が一声かけるとまるでこの世の終わりかのように怯えた顔をしてガタガタと震えだした。

「それとヒバナ」

「こ、この猫もしゃべるの!? てかどうしたのトーカちゃん!? そんなに震えて!」

「今回は被害者だしあれをされたらしかたないと思うけど……」

「けど?」

「私にそっちの趣味はないの、ごめんなさい」

「え、なに……私フラれたの? 猫に?」

うん、今回は本当にヒバナ悪くないからね。私もヒバナにあんなことされたら落ちるまではなくともちょっとグラッとくるかもしれない。


その後、無事体を取り戻した私は取り合えずしらすを全力でボコボコのボコにした。

残った問題点はヒバナが私に熱っぽい視線を送ってくるようになった気がすることだけど……きっと気のせいだよね!!

あ、それとチョコはたまねぎ丸々1個をチョコでコーティングしたのをあげた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー分岐ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「アルティ√」


私たちの全力防衛線はさしものデージーさんでも突破できなかったらしく、無事クリア者ナシという結果になった。

「ん~! 疲れましたー!!」

「お疲れ、アルティちゃん」

アルティちゃんに私特性の疲労がポンっと飛ぶお薬を渡してねぎらう。

……危なくないよ!!

「しっかしすごっかったですねー彼女、何者なんでしょうか」

「あれ、そういえばアルティちゃんにはいってなかったっけ」

デージーさん=しらすだってことを。

「? なにをですか?」

「あー、折角だし教えておこっか」

てことで事のあらましをざっくりと説明した。


「ほ~、そんなことがあったんですね」

説明した。以上。

ホントはこの後にアルティちゃんなりの感想があったんだけどすっごい長かったからカット。

「しっかしビックリしましたよ」

「へ、なにが?」

「まさかトーカさんがこんなにも私を愛してくれていたなんて!」

「…………は?」

やけに愛しての部分を強調して、アルティちゃんがいった。

「え、は? どゆこと?」

「だって誰もクリアできなかったら私とデートするんですよ? それであんなに情熱的に……なんでしたっけ? 『私も手伝う! 絶対にクリアさせないよ!』でしたっけ?」

「え、あ……」

たしかに……いった……。

「ち、違うよ!! 忘れてただけだって! 私はノーマルだから!! あの子とは違うから!!!」

「え~、ホントですか~?」

ヤバイ、たしかにあの約束をふまえてそのセリフは告白も同然じゃん……恥ずかし。

てかこの子ほんっとに楽しそうだね。いい笑顔でクネクネして。

「ささ、行きますよトーカさん!!」

「ちょ、ちょっと! ホントに違うから――!!」

私の絶叫が、コントロールルームにむなしく響いた。


「まぁ行くって言っても今日じゃないんですけどね」

「え、そうなの?」

てっきりそのまま行くのかと。ちなみに今は公園のベンチでサンドイッチを食べてる。美味しい。

「まず、トーカさんにはあるプレゼントをします!!」

「お~! どんなの?」

「これです!!」

そういってババンっと1つのウィンドウを見せてくる。

そこにはマッサージチェアみたいな見た目の椅子が載っていた。

説明を見ると「専用のVRマッサージソフトをダウンロードすると、ゲーム内でマッサージされた所が実際にほぐれます」と書いてあった。

「へ~、こんなのあるんだ」

「最近何やら疲れてるようですので、2日後に私の技術(テク)を見せてあげますよ!!」

手をワキワキさせながらいうとなんか怖い。変なことされないよね?


2日後、例のマッサージチェアに乗ってログインした私は約束の店に来ていた。

覗かれる心配もなく鍵もかかる店とのこと。

「お、来ましたね!」

そこに行くと、アルティちゃんがジュースをチューチューと飲んでいた。

「ささ、ここに座ってください」

「え、どこ?」

「ここですここ」

もう一度目を凝らしてもアルティちゃんが指すところには何もない。

え、どゆこと?

「トーカさんだけ弾くようにプログラムした透明チェアーです。これに座ってるところをマッサージします!」

「へー」

試しにそのあたりをぐりぐりすると、確かに何かに触っている感触がある。

ん? ていうか……

「これってハッキン……」

「ささ!! やっちゃいますよ!」

うわ、はぐらかした。やっぱやったのかこの子。

「ちゃんと許可取ったので大丈夫です!!」

あ、認めた。てか許可とか取れるんだ。

「そういえばもう1つ質問」

「はいはいなんでしょうか。どうやったら私みたいにかわいくなれるかですか?」

「あのマッサージチェアって結構すごい奴だよね? どっからもってきたの?」

「うわ無視ですか……まぁいいです。あれは私のお給料で買いました。」

え、AIのお給料ってなに?

「私、バグとかの監視も同時進行でやってるんですよ。だからそのぶんの電子マネーが振り込まれるんです」

「え、そんなシステムなんだ」

なんかこの子給料強請ってそう。給料出さないと働かないぞ的なこといって。

「普段はゲーム内アイテムとかLINEスタンプとかを買ってるんですけど最近ちょっと余り気味だったので使ってみました。まぁお金はまだ全然あるので気にしなくていいですよ」

え、そんな雑に数万使えるとかどんだけ高給取りなの? 地味にすごい。

「じゃ、始めますよー」

「お、お願いします」

ヤバイ、なんか緊張する。

そのとき、アルティちゃんのポケット辺りからピッという電子音が聞こえた気がした。


「ほらほら、ここが気持ちいんですよね?」

「ん、そこ……気持ち、いっ……はっ、ん」

ヤバ、この子……うますぎる……

どこが気持ちいいかを完璧に把握してるのか的確にそこを突いてくる。

しかも他の場所にもしっかりと刺激を送って全体的なバランスを取りつつ私が疲れすぎるのを防いでる。

「ふふっ、ちょっと強くしますよ?」

「あ、ダメっ、だって……刺激、強すぎ……!」

気持ちよすぎて頭まっしろになる……スゴイ、スゴイisスゴイ

「はぁ、はぁ……トーカさん、かわいすぎますって……」

「くっ、んん……はぅ」

ダメ、もうなにも考えれない……体中がすごい敏感になってる……

「トーカさん、ラストスパート行きますよ!!」

「は、はぁ、はぁ……いいよ、来て……!」

「えいっ!」

「あっ、クる、ヤバイ、ん、は、あぁぁぁぁぁ!!」

体中が、溶けながら同時に爆発しているかのような感覚になる。

体に力が入らず、透明椅子にグタッと力なくすわりこむ。

「っ、はぁ、はぁ……」

「最高にかわいかったですよ、トーカさん……」

その声が聞こえると同時に私の瞼は下がり切り、睡眠状態に入ったことでゲームの世界からログアウトした。

また、アルティちゃんのポケット辺りからピッという電子音がまた聞こえた気がした。


次の日、目が覚めると最近いつもあった倦怠感や体のダルさ、肩などの凝りがきれいさっぱり無くなっていた。

あまりの体の軽さについつい小躍りをしたくなる、それぐらい最高のコンディションだった。

それが凄いうれしくて、速攻で初弾にログインしてアルティちゃんを呼ぶ。

「あ、アルティちゃん」

「トーカさん? そういえば昨日はどうでした!」

もう一回してと頼もうと思ってるんだけど、まるで世間に疲れてるみたいになりそうで妙に気恥しくうっすらと赤くなりながら感想と要望を言った。

「あ、その、すごいよかったから、さ……また、シてくれない?」

「――――!! も、もちろんですよ!!」

「ちょ、ちょっと、抱き着かないでよ!」

「うへへー、トーカさんかわいすぎですよー♪」

「もう……」

あー、なんか異常に恥ずかしい……

「あ、それと……はい、これチョコ」

「おぉ! ありがとうございます!! ねこの形でかわいいですね~♪ 大事にしますよ!」

そこは喜んでもらえたようでよかった。



このとき、トーカからは見えない位置に昨日の店の看板がかかっており、ここにはこう書かれていた。

『中の様子は絶対に覗かれず、さらに鍵も個室を借りた人以外には絶対開けられないので安心です!!

(ただし防音性能は一切合切ございません。中の音声は超つつぬけなのでご注意ください)』

これ以降、初弾プレイヤーの間で誤った噂が爆発的な勢いで流れ、アルティとトーカが()()()()関係なんどという認識が広まった。

また、とある突撃兵プレイヤーからアルティに対する風当たりが大分キツくなったという……

それを聞き、アルティは二ヤリと笑いながらこう呟いた。

「……計算通り」

ついカッとなってやりました。反省はしていません。

あ、それとこれはあくまでifの話ですので、本編でこうなることはどちらのルートもありません。

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