フルボッコだドン♪
リクエストがあったので、現実世界での話です。
今日は6月30日、ついに夏休みまで後1ヵ月であると同時に、我が校ではなぜか7月の真ん中という遅い時期にヤツがやってくる。
そう、全学生の敵であり味方、定期テストである。
「ねーとーかちゃーん」
「はぁ、いわんでもいい。どうせいつもどうりでしょ?」
この時期になると花火はいつも私に頼みごとを持ってくる。
「そうそう、勉強会しよ勉強会! 週7ぐらいで!」
「多いわ! てかいつものことだけど花火そんなことしなくても十分勉強できるでしょ」
こいつ、生意気なことに全教科平均95点前後とかいうバカみたいな点数を叩き出しているのだ。
だからいつもの雰囲気でバカキャラだと思った勉強できない勢が同志を探して花火に声をかけ、「裏切者~~~~‼」と叫びながら去っていくまでが様式美だ。ちなみにそれをされた花火は毎回微妙にセリフを変えながら勝ち誇っている。実はそれを聞くのがひそかな楽しみだったりする。
あるときは「○クとは違うのだよザ○とは……」といい、またあるときは「花火さん大勝利ー! ええ、身体は大丈夫です。まだまだいけますよ! こふッ!?」といったりする。
この時は口の端からトマトジュースをツーッと垂らすという無駄に芸の細かいことをして結構心配した。嘘だと分かった時はシャーペンで三段突きしたけど。
「ちっちっち、それこそいつも通りだよ。私は勉強がしたいんじゃなくて冬華ちゃんと勉強がしたいのSA☆」
「あっそう」
「相変わらず反応薄いなー冬華ちゃん、ほんとは楽しみなんでしょ?」
「……」
「無言やめて!? なんか傷つくから!!」
こういうときは無視に限る。返事すると調子乗るからね。
「週3ね」
「え~、少なくな~い?」
「少なくない、てか花火も知ってるでしょ? 私の家夕飯当番制だから半分は家にいなきゃなの」
こっちの事情で部活から帰って来た兄に「どっかで食べてきて」はできないからね。
でもあっちが当番の時は絶対サボらせない、どんなに疲れていようがね。
「ぶー」
「You are pig」
「ヒドイ!? 私は豚じゃないもん!」
「Oh, really!?」
「そんな驚かないでよ!? うわ~~~ん、冬華ちゃんがいぢめるぅぅぅ」
そう言って花火は教室から出て行った。
周りの人たちは急に泣き出したクラスメイトに一瞬驚いたようだがそれが花火だと分かると「なんだいつものか」という顔をした後、私の方を見て生暖かい目線を送ってきた。
「……はぁ」
ご機嫌取り行くかぁ……めんどくさい。
ま、そのちょっと手のかかる妹みたいな所がまたちょっと可愛いんだけどね。
クラスメイト達もきっとそんな風にどこかかわいげがあるからめんどくさいと思いつつも仲良くやっているんだろう。
絶対花火にはこんなこと言わないけど。だって調子乗るし。
「よし冬華ちゃん! 今日は超ガッツリ系行こう!」
「別にいいけど……主旨忘れてない?」
ガッツリ系だと勉強できない気がするんですけど。
「え、おいしい店巡りすることじゃないの?」
「……はぁ、まぁいっか」
私も成績は上の方だし、別に一日やんないぐらいで成績落とすことはないんだよね。
だってテスト前にいつもこうなるから普段からしっかり勉強しないとやってらんないし。
そのおかげで花火ほどじゃないけど成績上位者の仲間入りすることができた。
ちなみに花火は5位以内ぐらいで私は20位以内程度、結構すごいと思わない!?
あ、花火のせいでかすみますかそうですか。
「で、どこ行くの?」
「う~ん、それじゃ実はまだいったことないしこの前できたばっかりの豚杓子に行こう!!」
「え、花火大丈夫なの?」
豚杓子はこの前ゲームで行った天○一品とは違うベクトルの超こってりらーめんで、店名通り豚骨スープが売りだ。中々の高カロリー。
「う、ま、まぁいいのいいの! それに冬華ちゃんだって食べるし!!」
まぁ私はそんな太んない体質だしね。おいしいものをお腹一杯食べれるって幸せ!
「花火がいいならいっか、よし行こう」
私もあそこは行ってみたっかったしね。でも流石にJK1人じゃ行きづらいじゃん?
「いやぁおいしかったね冬華ちゃん」
「ん、あそこはいい店だね。今度ひーにいと一緒に来よう」
「このブラコンめ」
「褒めても何も出ないよ?」
「いや褒めてないから」
「これは失敬」
実際兄は2人とも大好きだしね、私の大事な兄妹だもん。
それよりしらすと会ってから段々しらすが移ってきた気がする……
ああはなりたくない、気をつけなくちゃね。
テストは終わって今日は運命のテスト返し。
花火との約束のため帰ってきてもテストは一切見ず、休み時間を待つ。
キーンコーンカーンコーン、コーンカーンキーンコーンとチャイムが鳴り、待望の休み時間がやってきた。
「さぁ冬華ちゃん、いざ尋常に勝負!」
「ん」
まぁ正直勝てるとは思ってないんだけどね。
「英語! 96点!!」
「92点」
「っしゃあまずは一勝!」
こらこら、女の子がそんな声出すんじゃないの、もっとおしとやかにね。無理だろうけど。
「次、理科! 91点!」
「……!? ひゃ、100点!!!!!」
「なにぃ!?」
うっそ、マジ!? やったーーー!!!
クラスメイト達からも「冬華100点だってさ!」「マジかよあの親友ペア半端ないな」「100点とか人間辞めてる」だとか聞こえてくる。おい最後の、聞こえてるぞ。
「くっ、5点負けてるけどまだまだこれから! 数学99点! あと1点欲しかったぁ!」
「む、94点」
取り返されたけど今回全体的に結構点が超高い、ワンチャン花火に勝てるかも!
「よし同点、次社会! 93点!! やっぱ社会苦手だな~」
「……!?!?!? あっ……」
や ら か し た
「? どったの? 超落ち込んでるけど」
「な、な、な……なま……」
「生? ちょっと見せ……うわぁ、やらかしたねぇ冬華ちゃん」
「なにがあったん」
周りのクラスメイトがこっちにやってきた。
「ねぇこれ見せていい?」
「あぁ、うん……いいよ」
もーど-にでもなーれって感じ。
「どれどれ……ブッ!」
あ、吹いた。
「ちょ、おま、死ぬ。笑い死ぬ……」
だからあの時先生気の毒そうな顔してたんだね、納得。
思わずクラスメイトが答案用紙を手放してそれが私の元帰って来る。
そこには……名前が書かれていなかった。
「やらかしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
叫びだす私にクラスメイトはいつもと立場が反対だと言いながら写メっていた。
……ぶっ殺すぞ貴様ら。
ちなみに名前さえ書いてあれば94点だった。
ちくせい。
「ま、まだ国語あるもん」
「そうだね、私が名前書き忘れるかもしんないもんね、プークスクス」
「むきゃーー!」
そんな私たちを見てよりスマホのカメラを向ける人が増えた。
……本当に全員のスマホ叩き割ってやろうか。
「国語~! 98点? あぁああ……」
社会さえなければぁぁぁ!!
「ふっはっは! 所詮貴様はその程度なのだ!」
「むぅ……」
非常に不満であります。
「一応か、く……に、ん?」
花火の顔からサーっと血の気が引いていく。
あれ、これもしや?
「どうした花火、まさかお前まで書き忘れ?」
さっきの男子がそう言ってひょいっと覗き見ると……
「ブッ! おま、ホント仲良しすぎんだろお前ら、まって、今度こそホント死ぬ……」
あ、これは確定ですね。
その姿に他の人たちも察したらしく、「2人とも0点だってさ!」「マジかよあの親友ペア半端ないな」「2人そろって0点とか仲良すぎだろ、もうくっつけばいいのに」とか呟く。おい最後の、またお前か。
この前のカゲロウさんをいまだ引きずってる私にその手の話題を振るんじゃない。
「あれ、もしかして花火さん国語0点ですか? 普段私たちにあんな威張っておいて?」
「うっ、うるさいやい大体他の強化も合わせればじゅうぶ」
「問答無用! 野郎ども、かかれ~~!!」
「「「うおおおおおお!!!」」」
その後花火はボッコボコにされた。(比喩表現)
「ちなみにどさくさに紛れてセクハラしたやつら、あとで校舎裏な」
「ヒエッ! 如月の背後にスタープ○チナが見える……」
その後私のかわいい花火に手を出したやつはボッコボコにされた。(not 比喩表現)
テストをするときは皆さんも気を付けてくださいね♪




