仲良くゲーム その2
遅れてごめんなさい!
俺は今、可愛い可愛い妹である冬華にオススメされてVR機器を借り、今まさにプレイしようとしている。
……しているのだが、なかなかプレイに踏み出せずにいる……。
初プレイであるフルダイブ型のVRゲーム、やっぱり意識が完全に途切れてゲームに入り込むなんて、脳に悪影響が~とかありそうで怖いじゃん。
しかし「今からプレイする」と冬華に言ってしまった今、プレイしないという選択肢はすでにない。なぜなら恥ずかしいから! ええい、ままよ! とばかりに意気込んでプレイ! ベットに倒れ込み、目を閉じてヘルメット型の本体、そのスイッチを入れた。
「お~、こんな時間に珍しいですねヒバ、ナ……さん?」
一瞬視界が暗転したかと思うと、真っ暗な空間に出た。
「おおお男! だ、だだ誰ですかあなたぁ!」
なんか女の子がこっちを指さしてあたふたしてるんだけど、なにこれ。
「……はっ! もしや彼氏さん!? まったくもー、こんなイケメンを捕まえてヒバナさんもスミに置けませんね~」
「違うわ」
「またまた~、そう恥ずかしがらずに」
「だから違うって」
あ、もしこしてこいつが冬華が言ってたアルティなのか?
「およ? ヒバナさんからメッセが」
え、ここってかこいつとメッセできんの? AIなのに?
「はーん、ふーん、ほ~ん……なるほど、納得しました。トーカさんのお兄ちゃんなんですね」
「やっとわかってくれたか……」
あいつはまぁ小学校からの付き合いだし半分家族みたいなもんだからな、そういう目では見れん。
「それではどっきどきのキャラクタークリエイトですよ!」
よし、どんなキャラをつくるかな……
しらすを撫でながらひーにいのログインを待っていると、大体30分ぐらいでチャットが来た。
『キャラクリ終わったぜー』
『結構早かったね、今からそっち行くね』
『りー』
ちなみに「り」っていうのは了解の略ね。
『てか見た目の特徴とかは?』
『あぁ現実のままにしたからみりゃわかる』
『ん、おっけー』
まぁひーにいイケメンだもんねー。
お、みっけ。
「おーい」
「んみゅ? 弟子ちゃん、誰かと待ち合わせ?」
「お、確かトーカだったよな、プレイヤーネーム」
「うん」
「え、無視? ヒドくない?」
ヒドくないよ、今までの自分を振り返ってごらん?
「しかしついこの前カゲロウさんとあんなことがあったのにもう別の男とは……弟子ちゃん、恐ろしい娘!」
「ちゃうわあほ」
「は? どゆこと?」
ひーにいへの説明は……別にいっか。
「はぁ、あのねしらす」
「なになに?」
「ひーに……そういえば名前は?」
「あ、ヒュウガ」
「ん、ならいいね。ひーにいは私のお兄ちゃん、そういうのじゃないの」
まぁ好きか嫌いかでいえば好きだけどloveじゃなくてlikeだから大丈夫。
「な~んだ、残念」
うっさいわ
「ところでひーにい、お金集めとか戦闘とか装備品買うとかいろいろあるけどどうする?」
「ん~、やっぱ戦闘だな」
でしょうね、男の子だし。いきなりカジノ行くとか言いだすヒバナがおかしい。
「あ、そういえば職業なににした?」
「そりゃあ男ならこれだよな!」
と言って拳をガチンと打ち鳴らす。
てことはもしや……
「格闘職?」
「おうともさ!」
格闘職ってのは文字通りキックとかパンチで敵を倒す近接職だ。
「だったら私も今日はこれかな」
同じ近接武器で合わせた方が楽しいと思うからね。
てことでいつもの塵化→変換のコンボで鉄の剣を創る。
爆裂剣とかにもしてない正真正銘「鉄の剣」だ。
「なにそれ!? 何のスキル?」
「魔導錬金術、イベントで1位になると貰えるよ」
「あ、無理だわ」
うん、そりゃそうだ。
あんとき1位になれたのも大分相性が良かったからだしね。
それにイベントで1位になれるぐらいまでゲームするなんてひーにいが言ったら全力で止める。
だってひーにい受験生だもん、勉強しろ。
まあもうすぐ12時って時間にゲームしてる私も私なんだけどね。




