わたしのかんがえた さいきょーの せんじゅつ
Q.「最強の戦術」とはなんでしょう?
この初弾の世界での経験値の獲得方法は3つあって、モンスターを倒す事、PKをする事、大会などで入賞する事の3種類だ。
ちなみに同レベル帯を倒した時の経験値はPKよりもモンスターを倒す方がたくさんもらえる。
でもPKの方が圧倒的に倒しやすくレベルが上の相手も比較的に簡単に倒すことができるし、格上を倒した時の経験値ブーストがモンスターと同じなこと、さらには銃の世界な事もあって運営がPvPを推奨しているため、PKの方が効率がいいとされているらしい。
ちなみに大会については、ちょっと特殊なのでここでは省かせてもらう。
さて、なんで私が今この話をしたのかというと、これからフィールドに出てレベル上げをするんだけど、そのとき罠をモンスターが通りやすい位置に敷くかプレイヤーが通りやすい所に敷くかで場所が変わるから。
で結論としては、PKしていくぜヒャッハー! ということになった。
「お、トーカちゃん見っけ」
丁度いい所にヒバナがきた。早速対プレイヤー用の罠をどこに敷いたらいいか聞いてみよう。
「さぁ、早速フィールドに行こう!」
「ヒバナ先生、質問です」
「ん? なにかねトーカ君」
「プレイヤーってフィールドのどこを一番通りますか?」
「それならまずは入口だね、それから効率のいい狩場に続く道、あとはPKを狙いやすい場所かな?」
はっ! 入口か.......その発想は無かった。
「ん、おっけー。ありがとヒバナ」
「いいってことよ。でもなんでそんな事を?」
「そりゃあもちろん罠師なんだから……ねぇ?」
そういいながら手榴弾をチラッっと見せる
「なるほど、お主もワルよのぅ」
「いえいえ、突撃兵様こそ」
「「ぐっへっへっへっへ」」
悪の科学者風の見た目な私のキャラがわる~い笑みをうかべている様子はさぞ似合っていただろう。
「よし、設置完了っと」
「おつかれ~トーカちゃん」
私たちはとりあえずちょうど人がいないタイミングを狙って大門の目の前で横一直線に落とし穴を並べ、その中に地雷と杭を設置。地雷には通常の物と焼夷手榴弾を使うことで最悪死ななくても燃焼ダメージと毒を塗った杭での持続ダメージで死ぬだろう仕掛けを作った。相手は死ぬ。
ちなみに焼夷手榴弾は、この前紹介した特殊群のグレネードの1種で、焼夷弾の手榴弾版だ。
さらにその落とし穴が全部空いても、それを飛び越えた先にワイヤーを仕掛けた。
それが切れると爆風や地形ダメージが存在せずプレイヤーだけにダメージを与える壊死榴弾がたくさん作動する。相手は死ぬ。
そしてそのセットが2回ほど続き、暫く空間を開けてまたワイヤーを設置した。
まず見えやすいワイヤーを張って、それを避けた所に見えにくい細いワイヤーが張ってあるようにし、ここにはプラズマ式を使用した。圧倒的破壊力で相手は死ぬ。
また、これと同様の罠を先ほどヒバナに教えてもらったところに1通り設置した。
とりあえずこれでだいぶキル数が稼げるかな?
ふっふっふ、さぁ、数多のトッププレイヤーたちよ、私の経験値になるがいい。
「ふはははははっ!」
きっと私は今、マントをたなびかせてとても邪悪に高笑いをしている事だろう。
「うひゃー高笑いしてるトーカちゃん可愛い!」
む、可愛いとはなんだ可愛いとは、かっこいいでしょ?
「カッコいいでしょ? みたいに思ってる所もまた可愛い! すっごい背伸びしてる感じで」
ぐぬぬぬ……。ヒバナはテレパシーか何かなの?
でもそっか.......かわいいか.......うへへ、かわいい、かわいいかぁ.......。
私が若干ハッピーになっていると、少し遠くで爆発音が鳴った。
「お、早速一キル。」
「有名プレイヤーだった?」
そういえばこのゲームはキルした時にログが流れて、誰をキルしたか分かるようになってるんだったね。
「えーとなになに?」
<「ロン Lv48 突撃兵」をキルしました>
<経験値を1300手に入れました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
「ロンさんだって、突撃兵の。レベルが4つも上がった」
「嘘っ! ロンさんキルしたの!?」
「う、うん」
ロンってどっかで聞いたことあるような……。
「ロンさんって私の次に突撃兵で有名な人だよ!?」
「マジで!?」
あ、思い出した! この前見た「突撃兵と言えば誰」って質問の5人に3人がヒバナっていう話で残りの2人はロンって子だった!
「すっごい人キルしたね」
「罠ってこんなに強かったんだ……。あの子AGIに極振りしてるから倒すのすっごい大変なのに……」
ドォォォン! ドォォン! と所々でちょこちょこ爆発音が聞こえる。しばらくその爆発音を聞きながらヒバナと駄弁ってて、ふとステータスを見ると、すごい勢いで経験値が入ってきていた。
「うわー、レベルがすっごい上がってく」
「今いくつ?」
「えっと、16……あ、また上がった17だ」
「うっひゃー、私そこまで上がるのに一週間ぐらいかかったよ?」
すごいじゃん私! やり込んでるヒバナでも1週間かかるのを数時間で終わらせちゃうなんて!
「ねぇヒバナ」
「ん? なに?」
「こうなるとなんで罠師って人気ないんだろうね?」
「んーそりゃやっぱりさっきも言ったお金問題ももちろんだし、銃撃ちたいから、もしくはせっかく銃撃てないなら近接職やってやんよって人が多いからじゃないのかな?」
「でもこんなに強かったら他の罠師の人もいるんだからそっから広まるんじゃない?」
「あのねートーカちゃん、言っとくけど普通の人は壊死榴弾なんて一個1万Gするようなのそうそう買えないから。この強さはトーカちゃんの圧倒的財力から成り立ってんの」
「あー、納得した」
「納得してくれたか」
「うん」
「それじゃ残った罠が作動したら今日はもう遅いし終わりにしよっか」
「ん、りょうかい」
こうして私の「初弾」初日は終わりを迎えたのだった。
A.圧倒的財力