閑話 「とある突撃兵の挑戦」
「よーし、今日こそクリアしたる」
ウチは今、トーカちゃんが作ったトラップダンジョンへ挑戦しに来てる。
ここがえらい難しくってな、これがオープンしてからずっと挑戦しとるんやけど、なかなかクリアできへんねん。
悔しいわ~。
まぁこのゲームはデスペナが存在せぇへんからいくらでもチャレンジ出来るからまだマシやな。
しっかしホンマ良くできとるよなぁこのシステム。
デスペナが無いから今のウチみたいに何回でも挑戦したくなるし、入場料無料でしかも賞金が・・・・・・1000万Gやったけ? ぎょーさん貰えるからはじめての人も「1回ぐらい」とやってしまう。
ほんで失敗すると悔しいからまた挑戦する、の無限ループやもん。
これでえらい量の経験値がトーカちゃんへ半永久的に流れ続けるんやもん、流石やわ。
「さ~て、ほないこか!」
今度こそクリアや!
「うひゃぁぁぁぁ!! アカンアカンアカン死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーーーーーーー!!!!!!」
今ウチはダンジョン5階層を全力疾走してる。
ウチの後ろでは巨大な岩がこっちに向かって転がり、周りでは色とりどりの花火が咲き乱れとる。
しかもたま~にギリギリ目で見えるぐらいのワイヤーが張っててただ走ればいいてわけでもあらへん。
「あ」
足がワイヤーにかかって切れた!?
「アカン、これ死んだわ。いつんなったらクリアできんのかなぁ」
今の総チャレンジ数・・・・・・何回やっけ? まあたぶん50~100ぐらいやと思う。
「くっそー、また失敗か~」
でもまぁ今回はやっと第6階層に到達できたからまだマシやな。
確かこのダンジョンが魔境化する前は6階構成やったからもうゴールは目前や!
「さて! もう1回や!」
「・・・・・・いや、あれは無理やろ・・・・・・」
あれから4,5回挑戦したっけな? 結構いいとこまでいってると思うんやけど、あそこがクリアできる気がせぇへんのやけど・・・・・・。
たぶんやけど、ギリッギリ見えるワイヤーと絶対見えないワイヤーが一緒にあって、見える方回避しても見えない方が当たるようになってんのやろな。
・・・・・・とりあえず小麦粉でもまぶしてみよか。
「にゃぁぁぁぁぁ!! あの子性格悪すぎるやろ!」
小麦粉撒いてみたらどっかで着火して粉塵爆発起こしたんやけど!
しかも着火せえへんやつ使ったら粉が付着するやつとせえへんやつがあってそれにかかって1デス。
そのあと突破したと思ったら急に天井が降ってきて死亡。
次は横に出現した小部屋に上手く入れて天井回避出来た思ったら戻るとき入り口にワイヤーがいつの間にか張ってあってまた死亡・・・・・・
てな感じで一瞬も油断できひん即死トラップが大量にあるんよ。
まったく、あれだけの罠がなくならへんとかホンマあの子の財力はどないなっとんねん・・・・・・。
でもまぁ階層ごとにセーブポイントがあるのは助かるわ、あれがないと流石にキツイ。
しっかしあれだけの罠があるんやから流石に6で終わりやよね? 終わんないとそろそろ心折れそうなんやけど・・・・・・。
「うし! 今度こそ!」
やったるで!
「これは・・・・・・ホントやろな・・・・・・」
今ウチはセーブポイントにおって、目の前には『あとちょっとでゴール! 頑張って! 次がボス部屋だよ♪』ていう看板がある。
「やっとここまできたあああああ!!!!!」
思わず叫んでもうたウチは悪くないと思う、だってホンマに大変やったんやもん。
「よし! これでラスト! 気張るで!」
ボス部屋に繋がると思われる扉をあけぇぇぇ!?
扉の前の床が落ちた!? 下にはいつかみた杭と手榴弾が!?
この仕掛け・・・・・・懐かしいなぁ。そんなことを思いながらウチは死んだ。
「・・・・・・」
復活したのはさっきの部屋の天井上。
下には先程の部屋があって、目の前にはこんな張り紙が・・・・・・!
『ふっふっふ、油断したね? ザマァwww』
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
張り紙をひっぺがしズタズタに引き裂いてから床に叩きつけ、何度も踏みつける!
なんやのあの子! 腹立つなぁぁ!
今度あったら泣かせちゃる。
そう決意を新たにし、今度は穴に落ちないよう扉を開けた瞬間後ろからゲームとかに出てくるような巨大ハンマーが迫ってきて、ウチを前方に吹き飛ばした!?
その結果落下地点にあったさっきと同じ落とし穴に吸い込まれ、またもや死んでもうた。
『あぁあ、また死んじゃって、プークスクスwwwもう死なないように頑張ってねwwwwま、この程度で死んじゃうような人じゃむ・り・か・もしれないけどねぇwwwww』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・怒りが振り切れると逆に冷静になれるって、ホントやったんやなぁ。
そのあと、ウチは無事一発でボス部屋をクリアし、賞金を獲得したあとトーカちゃんにメッセを送った。
『トーカちゃん、ダンジョンクリアしたで!!』
できるだけいつも通りにせえへんとな、バレたら逃げられるかもしれへんからな。
『うっそ!? マジで!?』
『ま、当然やな』
『ぐぬぬ・・・・・・』
『ほんでさ、このあとここで会える?』
そういって名前を渡した店は、個室があり完全防音、おまけに借りた人以外にあけられへん鍵をつけることもできる店、けどトーカちゃんはそのことを知らへんから上手く誘い込む。
『ん、おっけー』
『ほな先行って待っとるさかい、はよ来てな~』
『あいあーい』
ふ、勝った・・・・・・。
「ごめん、お待たせ~」
「お、まっとったでー、ささ、座って座って」
「ん」
後ろ手で例の鍵を閉める、これでもう逃がさへんよ。
「なあトーカちゃん」
「ん? どうしたの?」
「あれが罠として正しいしやってることは間違ってないんやで? けど」
「けど?」
「一発、殴らせい」
「へ?」
「はぁぁ、スッキリした」
「ガクガクブルブル」
私トーカ、只今猛烈に反省しております。
やりすぎ、いくない。
に、25時30分に投稿したので許してください。




