閑話 「ネズミ3兄弟の大冒険」
予定は未定でした、申し訳ないです……
なんか本編の構想あんまり浮かんでこなくって、こんなの書いてました。
もう1話閑話やったら本編もどります。
僕はネズミである、名前はまだない。
僕たちは3兄弟で、廃れた国の空き家を使い、悠々自適に暮らしていた。
末っ子である僕はなにかとこき使われることが多く、雑用は基本僕の仕事だ。
「おい弟弟よ、今日はなにをする?」
一番上の兄兄から声を掛けられた。
僕たちに名前はないため、自分から見て兄か弟かで呼ぶのだ。
僕から見たら長男は兄兄次男は兄、といったように呼ぶ。
「う~ん、今日はちょっと探検に行かない?」
「お、いいずあんそれ! いつもは行かない所まで行ってみようぜ、御馳走があるかもしれないし」
兄が会話に入ってきた。
「ふむ、なら今日はまだ見ぬ地の開拓とするか!」
「「おー!!」」
この時僕たちは知らなかった。この時の選択のせいで、あんなことになってしまうとは……。
「へ~、ここにはこんな場所もあったのか~」
僕たちは、いつもは引き返すお城を超えて、その先を探索していた。
「むむ? ねぇ兄たち、なんかいい匂いしない?」
なんとな~くだけど、とてもいい匂いがする気がする……!
「ふむ、たしかにするな」
「くんかくんかスーハースーハ……! これはもしや、俺らネズミ業界で噂される伝説の食べ物チーズじゃね!?」
「「えっ!?」」
知っているのか兄!
「伝説の食べ物だし実際にかいだことはないが、俺の直感がこれはチーズだとささやいているぜ!」
……なんとなく不安だけどとりあえずこの匂いの下へ行ってみよう。
「こ、これは……!!」
僕たちはとある廃屋にたどり着いた。
そこには黄色くて三角形、穴が開いておりでこぼこした物体がたくさんあった。
「これが……チーズ、なのか……?」
兄兄の驚いた声が聞こえる。あと横で兄が「やべー」だとか「すげー」だとか言ってる。
当然僕も驚いてる。
だって伝説の食べ物が有り余るようにあるんだから。
もう我慢できない!
「いっただっきまーす!」
兄がチーズに駆け寄っていく。
「あ、ずるい!」
僕も急いで僕もチーズの場所へ走る。
「「「あむ」」」
3匹同時にチーズをかじる。
こ、これは…………
癖のあるチーズの香りが鼻を突いた。独特の臭さだ。豊潤さや不穏さが漂う。自然な物は腐る、という当たり前のことに気づかせてくれる。汗や唾液にも近く、大袈裟に言えば、生命力を感じさせた。
つまり簡潔に言うと……
「「「うまぁぁぁぁい!!!」」」
それからしばらく、無心でひたすらチーズをチーズを食べ続けた。
「「「……ハッ!」」」
どうやら僕たち3兄弟、そろいもそろって眠ってしまっていたらしい。
「知らない天井だ……」
気が付くと僕たちは、知らない部屋にいた。
『********』
なにやら隣の部屋から声が聞こえる。
これはニンゲンの声だ。それもメス。
どうやら僕たちは捕まってしまったらしい。
「*********」
先ほどの人間が入ってきた。
その手には……チーズがおさまっている!?
「プリーーーーーズ!」
兄がぴょんぴょん跳ねてアピールしている。
すると彼女は、持っているチーズを兄に渡した後、僕たちにまでくれた。
「「「おいし~……」」」
僕たちがチーズに舌鼓みをうっていると彼女がクスッと笑った。
……その笑みは、まるで天使のようだった。
こうして僕たちと彼女、デーシーの生活は始まった。
あれから大体2,3週間後、彼女は兄兄、(ネズ太郎という名前を貰った)を連れて行った。
最近、新しいニンゲンが増えたから、きっとその人に紹介するんだろう。
「まずネズミを用意します。」
「よろしく♪」
「あ、かわいい」
ほらね。
ここからだと姿は見えないが、声は聞こえる。
それと最近、やっとニンゲンの言葉を覚えてきた。
意味が分からない単語は多いけど、少しずつ覚えてきている。
「そして**ます」
「チュー!!」
ど、どうしたんだろう……。
冷静な兄兄がただ叫ぶなんて、よっぽど嬉しかったのかな?
今度は兄が連れてかれた。
「さぁおいでチュー次郎」
「おう! 今行くぜ~!」
「*****、*****************、*************」
今のはほとんど意味が分からなかった。
今度はなにをしてもらうんだろう。
「ん? なんだこれ! ちょっと気持ちいいかも……」
兄のそんな声が聞こえた。
いいな~兄たちばっかり、僕も何かほしいな~
「さぁチョ三郎、あのチーズを食べていいよ」
「ヤッター♪」
ついに僕の番が来た!
でも僕より先に行ったはずの兄たちはどこに行ったんだろ?
ま、いっか♪ チーズはあるしね!
……そこで、僕の意識は途切れた。
「おぉ、お前も来たか、弟弟よ」
「ここはなかなかいいとこだぜ」
気が付くと僕は花畑にいて、目の前には兄たちがいた。
「もぅ、どこいってたのさ」
「はは、わりぃわりぃ」
「彼女がここに送ってくれたんだよきっと」
「そうだったんだ」
ここはまるで天国みたいだ。ここに送ってくれた彼女には感謝しないとね!
………………僕たちは、真実を知らない。




