しらす
「で、どうして猫に?」
改めてそう聞いてみることにした。
まぁ私的にはもーまんたいどころかおあはんかるしーなんだけどね。
「う~んと、まずこの体が私の魂と親和性が高かったってのと人の言葉をしゃべっても死んじゃわないってことかな?」
あ、死なないんだ。よかった~……
「もし死んじゃうなら無理やりでも他の体に移ってもらう所だった」
「うわぁ、ホント弟子ちゃんってかわいい顔して怖いこと言うよね」
なにいってんだか、ぬこを殺すような人に生きる価値はない(断言)
「それじゃあ弟子ちゃん、改めまして修行終了おめでとう!」
「あ、ありがと」
「君はもう立派な錬金術師だ!」
「は、はい!」
「な~んて、1度でいいから言ってみたかったんだよね~こういうセリフ」
こ、この人は……最後の最後で感動とか全部吹き飛ばしてる……
「さ~てと、それじゃ一緒に帰ろっか♪」
「うん! ……うん?」
ど、どういうこと? 一緒に?
「ささ、いこいこ! 場所はあそこだよね? 『始まりの町』。正式名称忘れちゃったけど」
「へ? デージーさんも来るの?」
「ふふん、当然でしょ?」
そういってフンスッと胸(?)を張るデージーにゃん。
……可愛いな。
「弟子のいるところに師匠あり、てね♪」
「ただ怖いだけだよそれ」
「にゃっはっは、まぁまぁ細かいところは気にしなさんな」
「は、はぁ」
「始まりの町なら私の工房に転移用の魔法陣が……あ」
「? どうしたの?」
「どうやってあの部屋に戻ろう……この移動スキル使ってやってたし」
「はぁ!?」
こ、この人まさか……うそでしょ!?
「どんだけみむめもなのさあなたはーーーー!!」
「みむめも……あぁ『まぬけ』ってことか! にゃっはっは、洒落が聞いてるな~弟子ちゃん」
心底愉快そうに笑うデージーにゃん、緊張感なさすぎるでしょ……
「ここってどこら辺なの?」
「ん~とね、アルカミスタの地下なんだけど、どこらへんだっけ?」
「そこ大事でしょうが……ま、あの国の下なんだったら大丈夫か。さ、この中に入って」
「? いいけど、なにするの?」
とりあえず修行中に作った耐爆性能バツグンのシェルターに避難してっと。
え~と、とりあえずこれをこうして……
「ん~? なにって……爆破♪」
標準よ~し、天井に向けて……うて~~~~!!
ドォォォォォォォォォォォォン!!!!
「びゅーりふぉー」
「うっわぁ・・・・・・」
天井には物凄い大きさの風穴があき、とても風通しが良くなった。
あ、舞い散る埃が射し込む日光に照らされてなかなか幻想的・・・・・・
「綺麗・・・・・・」
「いや、うん、綺麗だけどね!?」
おお、私が平常でデージーにゃんが動揺してるのはなかなかレアだね、いつもは反対なのに。
「さ、これで帰れるでしょ?」
「あ、うん。もうなんでもいいや」
「あ、そういえば弟子ちゃん敬語やめたんだね」
「あー、なんか猫になって一気に愛らしさが増して尊敬って感じが薄れたんだよね」
「むむ、まるで前の私に魅力がなかったみたいじゃん、失礼な」
「確かに前もかわいかったけど・・・・・・」
「けど?」
「猫こそ至高」
「アッハイ」
デージーにゃんにまで呆れられた・・・・・・
なんで? ぬこいいじゃんぬこ。
「ねぇデージーにゃん」
「うん? なにかね弟子ちゃ・・・・・・デージーにゃん!?」
「あ」
つい心の声が・・・・・・
「えーと・・・・・・テヘペロ?」
「テヘペロじゃないよ! もっと可愛い名前を・・・・・・いやデージーにゃんもかわいいけど・・・・・・!」
「けど?」
かわいならいいじゃん。
「師匠としての優雅さとかが微塵もないじゃん!」
「手遅れでしょ」
猫になった時点で。
てかぶっちゃけもとから優雅さとか欠片も・・・・・・ゴホンッ、なんでもないなんでもない。
「弟子ちゃんヒドイ! せめてもっと別の名前を名付けてプリーズ」
「ん~とそれじゃあ・・・・・・ハッ!」
そのとき私に電流が走る。
「じゃあ?」
「しらす」
うん、しらすにしよう。
「しらす!? あの白くてちっちゃい魚の!?」
「うん」
「うんて・・・・・・」
だって閃いたんだもん。
「よ~し師匠、今日から師匠はしらすだよ!」
「拒否権は!?」
「ない!」
「そんな~」
(´・ω・`)←たしかこの時デージーにゃん改めしらすはこんな顔をしてた。かわいい。
おあはんかるしー(我很高兴)は中国語で、和訳するととてもうれしい、とても幸せという意味です。
ね こ は い い ぞ




