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vs狂気と栄光の錬金術師デージー その2

「さ~て、制限時間は3分間! どうする? 弟子ちゃん」

背中の傷に激痛が走っているせいで満足に動くことができない。

だから接近戦に持ち込むことは不可能だと思う。

使えるスキルは私が持ってるものだけでデージーさんのは使えないみたい。

まずは転換の針を雑にばらまいてみる。

「にゃっはっは、その程度あたるはずがなかろうなのだ~! なんてね」

私が出現させたのとピッタリ同じ数を出し、相殺するデージーさん。

これは失敗か……。

だったら! と神罰を大量に投げ、同時に転換の針を飛ばす。

「ほ~ん、爆発に紛れて狙う作戦と……でも残念♪」

神罰が爆発し、辺り一帯は爆炎に包まれる……はずだった。

しかし大量に投げた爆弾は、ただの1つも起爆せず、ただ床を転がるだけだった。

「な、んで……」

「ふっふ~ん、私レベルの錬金術師となると素材アイテム以外にも変換を行えるのだよ、それで起爆前に変換したってわけ」

そんなことができるなんて……それじゃあホントに勝ち目なくない?

「ま、止まってるかゆっくり動いてるのしか対象にできないんだけどね」

それなら、まだなんとかなりそう。

他に手は……考えろ、考えなきゃ死ぬ。

とりあえず今使えるスキルの確認を……まてよ?

もしかしたらあれが解放されてるかもしれない、魔導錬金術Lv15で覚える『melt to me(アナタハワタシ)』が。

えっと解放条件は……「他の錬金術師から存在と効果を聞く」……よし! だったら使える!!

「さ~て、どうする弟子ちゃん? あと1分しかないよ?」

やることは決まった。あとはスキルを使うだけだ。

「『melt to me(アナタハワタシ)』……!」

「な! それは!?」

デージーさんが見るからに動揺している。

よし! これなら……!

「な~! せっかくここまで来たのに~!! 仕方ない、戻そっか」

一瞬視界が暗転し、同時に私の背中から激痛が消えた。

「体を戻せば抵抗できるけど……あ~もう、いったいな~これ……」

うん、どうやら上手くいったらしい。

このまま畳みかける!!

「お、ヤル気ね?」

「はぁぁぁぁぁ!!」

双に構えた刀を振るう。

デージーさんはまだ背中の傷が痛むはず。だから素早い動きで相手を攪乱する!

……まぁ私のひっくいAGIじゃ素早くって言ってもそこまでじゃないけどね。

武器の数は私が2本、デージーさんは1本、しかも長柄なのに、彼女は私の剣戟をいなし続ける。

だったら! と拳や蹴りなど体術も交えてひたすら攻撃を叩き込むが、まだ届かない。

ていうか時々飛んでくる転換の針がすっごい怖い! しかも当たったら今度こそ終わりなうえにすごい的確な位置に飛んでくるから攻撃がそこまで長続きせず、ひたすら攻めて押し切ることができない。

だったら一旦体術をやめ、2本の刀だけで攻め込み続ける。

しばらく剣戟を重ねたあと、一旦距離を取りちょっとした会話を試みる。

「ところでデージーさん」

「ん? な~に、弟子ちゃん」

こちらが話しかけると、この人は戦闘中だというのに修行中と同じくどこか嬉し気に問い返してくる。

……あぁもう! この人ホンットに戦いずらい!!

「寿命を延ばして研究を続けて、最終的にはなにを目指してるんですか?」

「ん~、それはね」

会話中にも刀をかすかに揺らし、相手の意識を刀のみに移す。

幸いにも私のサブクラスは「マジシャン」。視線の誘導はお手の物だ。

「いずれは神の領域にまでたとりついて、そして……」

そう言うデージーさんの表情は先ほどとは打って変わって真剣で、ある種の覚悟を伴ったような声音だった。

申し訳ないけどここが一番のチャンス。刀のみを残してデージーさんの背後に千変万化で転移する。

そうして私が放ったのは、斬撃でも何でもないただの蹴り。

「な!」

それでも刀のみを注視していたデージーさんはそれに対処できず、吹き飛ばされていった。

先ほど使ったのは最後の模擬戦の時私が2刀流の師匠であるシン君にやられたもの、そのアレンジだ。

爆裂剣(今名付けた)を作り出し、蹴るときにデージーさんの背中に張り付けた千変万化での転移用のシールと場所を入れ替える。

「やっば……!」

そして2本の刀を振りかぶり、

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

デージーさんを斬りつけた。

ドォォン!

爆裂剣の小規模な爆発も相まって、デージーさんは完全に両断された。

「はぁ、はあ……かっ、た?」

「うん、お見事弟子ちゃん! 君の勝ちだよ♪」

「……え?」

どうやら、まだ終わりではないらしい。

明日も投稿します。

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