修行の終わり
ちょっと短いです
「トーカさんはボクに1撃いれられたら勝ちね」
「おっけー、絶対負けないから」
ついにやってきた師匠のと模擬戦、頑張るぞ!
「それでは、よーいスタート!」
「はぁぁぁぁ!!」
雄叫びを上げ、スタートと同時に奇襲をかける。
「うわっ! いきなりっ!」
よし、上手くシン君を防戦にまわらせることが出来た。
剣を振り、立ち位置を変えてはまた斬りつけ、ジャンプして斬撃を振り落とし、フェイント混じりの拳を叩き込む。
私のネトゲでつちかった攻撃の仕方、組み立て方で最適な動きを繰り出す。
相手が攻勢に出れないように休むことなく2本の剣を振るい続ける。
だけど、それらの攻撃は全て受け流された。
「そんな風に楽々受け流されると傷つくな~」
「まだまだこんな始めたばかりの弟子に負けられないからねっ!」
だったらもっと速度を上げるのみ。一速、また一速とビートを上げて、速く速く切り刻む。
それでも有効打は一打として入らないまま、剣戟だけが重ねられていく。
通らない。届かない。もう一速、まだ一速、行動を最適化してより高いDPSを追い求めて、それでもまだ届かない。
それほどまでに実力の差が隔絶している。私は弱くてシン君は強い。そんなことは最初から分かっていたけれど、やっぱりやるからには勝ちたい。
ここで一旦距離をとる。
「ぐぬぬ、私にもっとAGIがあれば・・・・・・」
「いやいや、罠師の初期値って100でしょ? それでこんな速い剣戟だされると、ボク結構自信なくすんだけど」
ほんの一瞬だけ集中が緩んだ間に、いままではひたすら私の攻撃をいなしていたシン君が突撃してきて蹴りを放つ。
ヒドイ! まだ会話中だったのに!?
シン君放ったのは武器による剣閃ですらなくただの蹴りだった。
正直剣しか見てなかった私はその蹴りに反応できず、吸い込まれるように腹にめり込み強烈なノックバックに勢い良く吹き飛ばされた。
ごろごろと床を転がり、壁にしたたかに叩きつけられてようやく止まる。
「な~!! 負けたーー!!!!」
「ふふ、ボクの勝ちだね」
「むぅ、卑怯でしょあれ」
「そんなことないよ、むしろ模擬戦中に会話しようとするなんてトーカさんが油断しすぎなだけだって」
「にゃー、もう1回!!」
「うん、何回でも受けてたつよ」
最初の方はやだな~とか思ってたのに、結局乗り気になってる自分がなんか悔しい。
「むぅ、結局1回も勝てなかった・・・・・・」
「でも凄いねトーカさん、まだ近接戦闘初めて1週間しかたってないのにこんなに凄いんだから」
まぁフルダイブ型じゃないVRMMOとかならやったことあるし、そこではバリバリ近接職でトッププレイヤーだったしね。
「トーカさん近接職にすればよかったのに、そうすればボクなんかより全然強くなれたんじゃない?」
「うーん、いや、やっぱり私は罠師が好きだから」
「そっか、残念」
でもまぁもう1個サブクラス増やせるんなら近接職入れてもいいかもね
「それじゃ今日までありがとうございました」
「ううん、ボクもすっごい楽しかった、また一緒にやろうね」
「うん、あ! フレンドなってなかったじゃん」
「そういえば、じゃあ送るね」
お、プレイヤー「シン」からフレンド要請がきました。ってのが送られてきた。
イエスっと。
「よし、これでオッケー」
「それじゃあまたね、トーカさん」
「さよなら~」
よし、それではリベンジ、行きますか!!




