カジノ
「あ、そういえばトーカちゃん」
「何?」
「お金って今初期金額の1000Gしかないよね?」
お店までもうちょっと(らしい)という所でヒバナがそう聞いてきた。
「うん」
「だったらお店に行く前にカジノに行こう」
「なんで? お店いかないの?」
「だって1000Gしか無かったら何も買えないもん。だからいつものやつでチャチャッと貯めてきてよ。ただでさえ罠師はお金かかるんだから」
「あーそういうことね、了解」
実は私、スロットで目押しが出来るのである。動体視力ってよりはタイミングかな? それをはかるのが得意なのだ。
だからいつもいくゲーセンのメダルゲームでメダルが無くなると花火は私にメダル一枚を渡して「へへっ、姐御、いつもの頼みやす」とかいってくるのでその度にメダルで増やしてあげてるのよ。
そこは判定がアホみたいにシビアな代わりにリール制御をしてないことが売りで、スポーツ選手とかも動体視力と反射神経を試すためにくることがあるらしい。
でも絶対勝てる勝負なんてしてもつまんないからいつもはあえて何も考えずにやってる。
でもお金を増やさねばならないのなら話は別。こうなったら777を10回ぐらい連続で出してやんよ。
しかもこのゲームもあのゲーセンと同じで判定がバカみたいにシビアで0.00何秒とかの話になるかわりにリール制御がされてないらしいから何回でも目押しできるしね。
「カジノにとうちゃーく」
着いたカジノはいかにも「闇の賭博場」と言った風貌のとてもヤバそうなカジノだった。
「……ねぇ、ここ本当に大丈夫なの? 捕まったりしない?」
思わずそう聞いてしまうくらいには。だってすっごいカ○ジに出てきそうな感じなんだもん!
「大丈夫大丈夫。ただレートがアホみたいに高いだけだから」
「ど、どれぐらい?」
「えーと、普通のはスロットなら基本1G~50Gぐらいで一回回すのが基本なんだけど」
「だけど?」
「なんとここのは最低1000! しかも上限無し!!!」
「な、なんだってーー!」
やばい、それはヤバい。何がヤバいって超ヤバイ。
「それって最初失敗したら私の所持金尽きるじゃないの!?」
「え? 失敗するの?」
ヒバナが人を小馬鹿にしきったような顔でそんなことをぬかしている。
「わかったよ、やればいいんでしょやれば」
「さっすがトーカちゃん、それじゃあ入店しよう」
といって1拍おいてから
「たのもー!!!」
といって両開きの扉を同時にバタンッと開けた。
「ちょ、バカ!」
「今からこの店のお金搾り取ってやんよ」
ぐっとサムズアップするヒバナ。
「はぁぁぁ!」
その声は店員の声か、はたまた客の声かもしくは私の声か、それすらもわからない程私は混乱していた。
「さぁ、やっておしまい!」
グイグイと私を店内に押し込んでいく。何してんのこのバカッ!
「ほぉ? 言ってくれるじゃねえのお嬢さんたち? もしできなかったら、分かってんだろうなぁ」
ヤバい店員さんめっちゃ怖い死ぬ死ぬ死んじゃうヤバいって!?
そんなプチパニック状態な私を無視してヒバナが私をスロットの席に無理やり座らせる。
「ちょ、ヒバナどういう」
「張り切ってどうぞ」
「死んじゃうって私たち」
「張り切ってどうぞ」
「失敗したらどうなっちゃうのよ!?」
「は り き って ど う ぞ」
鬼か貴様は。
「ふぅ.......よし、ここまで来たからにはやってやんよ!」
「さっすがトーカちゃん! わかってる~」
「ただヒバナ? これが終わったら、ね?」
「ヒエッ! ちょっとやりすぎちゃった? 私」
「もちろん」
ヒバナ、君はやりすぎた。マジで怖かったんだからね。
「ほう? スロットで搾り取ると。さぞすごい役を見せてくれるんだろうな?」
「当然でしょ? 私は一時期ゲームセンターのスロットエリヤを出禁になったんだからね? 大量のクレーンゲーム無料券と引き換えに」
これは本当の話で、ちょっと前に一回遠慮せず全力でメダルを取れるだけ取ってみようと思って例の台使ってゲームセンター中のメダルを半分ほど獲得したことがある。
「さぁ、いっちょやったりますか」
「なん、だと……!?」
そういって地面に倒れ伏す店員さん。スロットには10連続で777とそろった画面があった。
「さすがはトーカちゃん中々のお手前で」
「ん、ありがと」
今日はすっごく調子が良くて、なんとここまで1回も失敗せずに777をそろえ続けることが出来た。
777の倍率は20倍では毎回全財産をかけていたので、現在の所持金なんと10,240,000,000,000,000Gだ。
「今いくら持ってる?」
「えーと」
0がいちにいさんし……13個と1024だから、えーーと……。
「1京240兆Gだね」
「ファッ!?」
うん、正直私が一番ビビってる。
「ゲーム内で大分お金持ちな私が大体1000万Gだから……」
こんなきれいな数で何倍か考える時間が必要ってかなりやばいな。
「1024000000倍だね?」
「ぱーどぅん?」
「10億2400万倍だね」
「りありぃ?」
「That`s right!」
「Oh, it`s amazing! ……ゆーあーくれいじぃ」
「ざっつらいと……」
こうして私は、お金持ちになったのでした……。
お金持ちになりたいな~って思って書きました。
結構やりすぎた感はあります。