初ログイン
「わぁぁぁ!」
目を開けると、そこは未来都市だった。空には車が飛び交い、明るい電光掲示板がそこら中にある。そしてその上には、美しい空がどこまでも広がっていた。
どうやらこのゲームは、ガンゲーでありがちな荒廃した世界などでは無いらしい。空には太陽がさんさんと照り付け、空の色がおかしかったり、スモッグが充満していたりもしない。
眼前に広がる美しい景色に、ゲームだということも忘れて思わず見入ってしまう。
なんてすばらしい世界なんだろう! VRゲームって、本当に異世界にいるみたい!
始める前に感じてた不安とかは、これを見た瞬間完全に吹っ飛んだ。
花火はもうログインしてるらしいから、早速メールしよう。
『ログイン完了! どこで待ち合わせする?』
『今って最初にログインした場所にいるよね? 私も今からそこ行くから動かないでね。この街すっごい迷いやすいから。後名前教えて』
『トーカにした。ちみっこにしたからから逆に見つけやすいかも』
『りょーかい。すぐ行くねー!』
ちなみに花火はヒバナという名前でプレイしていて、俗に言うトッププレイヤーの1人だ。
βテストの時からプレイしているらしく「突撃兵」という職業をしていて、簡単に言うとサブマシンガンとかをメイン武器として使ってAGIを上げることで素早さで相手を錯乱しながら殲滅していくらしい。
……いいなーかっこいいなー。私なんて罠師だよ罠師、まぁ自分で選んだんだし後悔はしてないけど。
それで花火、もといヒバナは超が付くほど有名プレイヤーで、「突撃兵と言ったら誰?」という質問に、5人に3人は「ヒバナ」と答えるらしい。
ちなみにその質問は各職業ごとにあるらしく「罠師と言ったら?」という質問には5人に3人は「罠師……わかんね」と答えるらしい……。罠師がマイナーすぎて悲しい。
なんで!? 私以外のエイムない人はどうしてるの!? あぁマシンガンで面制圧ですかそうですか。
あ、ちなみにヒバナのステータスはこんな感じだ。
ヒバナ Lv52 female 「突撃兵」
ステータス HP 150
STR 150
VIT 30
AGI 500
DEX 140
スキル 「疾走」(15/15) 「弾倉交換」(15/15) 「ナイフ」(10/15)「小銃」(11/15) 「立体機動」(15/15)
2次スキル 「疾風」(10/15)[疾走から派生] 「高速弾倉交換」(5/15)[弾倉交換から派生]
「空間把握」(1/15)[立体機動から派生]
……ヒバナも結構浪漫型だよねこうして見ると。AGIに極振りとまでは行かなくてもガン振りして、スキルもいろんなのがあるのに立体機動以外全部突撃兵の初期スキルじゃんこれ。
てかLv52って……これプレイしてる人達の平均レベル26ぐらいだよ? どんだけやりこんでんだか……。
「やっほートーカちゃん。うはー悪の科学者みたい! かわいー!!!」
そんなことを考えてるとちょうどヒバナがきた。ヒバナは中くらいの身長に金髪のショートと赤い目とかっこかわいい系だった
「おはようヒバナ。可愛いでしょ? アルティちゃんが作ってくれたの」
「おすすめにしたんだ、あの説明で……。そんなことより初弾の世界へようこそ、歓迎するよ!」
「ん、ありがと。てかさてかさ! この世界ってホント綺麗だよね! めっちゃ感動した!」
「でしょでしょ! 私も初めてこの世界来たときは感動してひたすらフィールド歩き回ったな~」
やっぱりヒバナから見てもこの世界は美しいらしい。
「それよりトーカちゃん」
「ん?」
「職業何にしたの?」
「罠師」
「……へ? ごめんもっかい言ってくれる?」
「だから罠師だってば」
呆けた顔しちゃって、そんなに意外だったのかな。
「マジで?」
「マジマジ大マジ。本当と書いてマジと読む」
「マジかー罠師かー、流石に予想外」
「それ、アルティちゃんにも言われたけどなんで罠師そんなに人気ないの?」
たしかにちょっと色物かもしれないけど好きな人絶対もっといると思うんだけどな。
「罠師はとにかくお金がかかるんだよね〜」
「あー、たしかにいろんな道具使いそうだしね」
「それでこのゲーム、お金は課金じゃ買えないから折角罠師にしても、お金が足りなくてそんなに気持ちいい罠つかえないってわけ」
ゲームの中でも結局世の中金ってことか……世知辛いなぁ。
じゃあ罠師としてやっていくにはなにかしらの金策が必要なんだね……。
「で、何でそれにしたの?」
「まず射撃がすっごく下手くそだったのと、あとなんかかっこよかったから罠」
「確かに射的とかもすっごい下手くそだからね~トーカちゃん。プークスクス」
イラッ。でも事実だから言い返せない……。
「ぐぬぬぬ」
「それでこれからどうするの? フィールド行くか街を見て回るか」
「ん~、とりあえず街を見て回るつもり」
「そしたら私が案内してあげるよ! トッププレイヤーのこの私がね!!」
「はいはい、ありがと」
「ヒドイ!? 流された!」
だって褒めると調子のるし否定すると拗ねるしでめんどくさいんだもん。
「まぁいいや、それじゃあレッツゴー!」
「おー!」
そうして私たちは、街へ繰り出していった。