「キューダット防衛戦」その1
<「暗き荒廃した世界」のエネミー達が侵攻を開始しました>
<あと数分で、第1陣がキューダットに到達します>
<それでは、ワールドクエスト「キューダット防衛戦」開始です!>
ウォォォォォォォォォォ!
あちこちで雄叫びが上がる。
あぁもううるさい!
でも叫びたくなる気持ちは分かる。私もちょっと叫びたいし
お、もう先頭集団が見えてきた。
どうやら第1陣は弱いエネミー(だと思われる)が大量に出てくるっぽい。
見えるエネミーもゴブリンは下級機械兵ばかりだ。
ん? なんか色がちょっと黒ずんでるような気がする……
普通のやつよりも強いのか、はたまたただの演出なのか……演出だと良いなー
先頭がデカネードゾーンに入ったね、まだまだ引きつけて~……ここだ!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!
激しく鳴る連続した爆発音。
……今のだけで半分は減っちゃったんじゃない?
他のプレイヤーさんも呆けた顔しちゃってまぁ。
いくら馬鹿みたいな爆発があったって敵の前で呆けちゃダメでしょ。
……想定外の火力に1番ビビってるのは私って言うのは内緒。
「ほらほら皆、敵の前だからね! シャキッとして!」
「は、はい!」
……折角だし本当に悪の幹部っぽくRPしてみよっかな!
「ふふ、先頭の敵は私が壊滅させてあげたわよ、今は相手も狼狽えてる。さぁ、やっておしまい!」
この台詞、1回は言ってみたかったんだよね。
「アイアイサー!」
さっすがわかってる!
やっぱりMMOの人達ってどこでもノリがいいよね、こういう人たちがいると場が盛り上がる。
うむむ、やっぱりちょっとエネミーが強化されてるっぽいね、みんな少し苦戦してる。
「こいつら普通のやつより強いぞ! 気を付けろ!」
「応!」
きっとこんなやり取りがいろんな場所で交わされてるだろう。
なんで予想なのかというと、銃声で何も聞こえないからだ、すっごいうるさい。
あ、こういう対エネミー戦だと近接職の人大活躍なんだね
今も大量のエネミーを蹴散らしている。
人気を増やすために近接職の方がDPSが高い設定なんだけど亜音速の弾丸よりも火力が出る剣戟ってよく考えたら すごいよね。
さぁ、私もいっちょやりますか!
実は今回、新たな特殊群の手榴弾を購入した。
この手榴弾はいつもの専門店には売ってなくて、路地裏のすっごい奥まったところにある店で偶然見つけた。
その名も「神罰之爆撃」……わぁ、すっごい厨二的!
でもその効果は折り紙つきで、簡単に言うと壊死榴弾の上位互換という感じで、テキストは「主に敵意ある存在のみを焔で焼き尽くす」とのこと。
つまり敵勢エネミーだけを爆破するっていうことだ。
でも、お高いんでしょう? そんな声がきっと上がってることだろう。それに私はこう答える。
うん、ばっかみたいに高い、ってね。
お値段なんと1個50万G! しかもそれを999個2セット買ったから999,000,000Gだ、わかりやすく言うと9億9900万Gだ。
わぁ高い! まぁ買えちゃうんだけどね。
これを所狭しと並べてきたから、早速100個ほど爆破していこう。
この攻撃で5000万Gかかるね! はは、ばっかみたい。
これをするために作った100個同時爆破ボタンをポチッとな。
ドドドドドドドドドドドドォォォォォン!
うるさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!
……1個1個は小さいんだけど、それが100連続だからね、そりゃあこうなるよね。
でもまぁこれで第1陣はほぼ片付いた。
さぁて、これで終わると楽なんだけどね、そりゃあ終わんないだろうなぁ。
まぁその方が経験値も入るし全然問題ないけどね。
さぁ、第2陣が見えて来たぞ!




