同時多発バラバラ事件
「よし、とりあえず今日の分はこれでいいかな?」
今日は昨日と同じ所に加えてちょっとした小道に森の中、大通りなど色んな所に設置してみた。
罠師は一旦設置したらあとは放置で良いから楽でいいね。
「やぁやぁトーカちゃん、また会ったね」
「あ、ヒバナ、さっきぶり」
「てかトーカちゃん流石だよね」
「ん? なにが?」
「昨日いきなり掲示板で話題になってたよ」
マジか。
「トーカちゃんのスクショみんなに見せたらかわいいって言ってたなー」
「それで昨日ネットに上げていいかなんて聞いてきたんだ」
「そそ、いやー盛り上がったねー昨日は」
「どのスレ?」
「総合スレの24番目」
「ん、ちょっと見てみるね」
「はいはーい」
うわ、ほんとに盛り上がってるじゃん。
1時間近く話してるしこれ.......しかもほぼ私の話題。
「うー、すっごい恥ずかしい……」
「照れてるトーカちゃんも可愛いな~」
「心の声は隠しなさいよ」
「てへぺろ?」
こんなん公開処刑じゃんもう……恥ずかしい。
「てかロンちゃんって子関西弁だったんだ」
「そそ、素敵でしょ?」
「たしかに可愛い」
こんな登場しただけで掲示板が盛り上がるような人を1日目で倒したのか……。
「私ってすごいのかも」
「まぁオンラインゲームやりまくってたトーカちゃん自身のPSもあるし財力が圧倒的だからな~」
「私があのカジノで稼いだって知ったらそこで稼ごうとする人が増えるのかな?」
「ん~、まぁ増えはするだろうけど」
「けど?」
「待ってるのは身の破滅だろうね」
「あー……」
有り金賭博で全部溶かすんだろうなぁ、あそこレートアホみたいに高いから。
「まぁ私たちには関係ない話だけどね」
「あのねぇ、私も失敗する時はするんだよ?」
「でもそうそうしないじゃん。もう5年ぐらいの付き合いになるけど私失敗してるの10回ぐらいしか見た事ないよ?」
そんなに少なかったっけ? もうちょっと失敗してると思うんだけどなあ。
「話盛ってない?」
「ないない」
まぁいっか。
<「カゲロウ Lv50 狙撃手」をキルしました>
<レベルが上がりました>
あ、またなんかレベル高い人キルした。やりー。
「ねぇヒバナ」
「なーに?」
「カゲロウさんって人知ってる?」
「あーあの狙撃手の人でしょ? あの人キルしたの!?」
「うん」
「あの人全く音立てずに場所移動するし滅多に外さないから見つけるだけでも大変なのに……あぁ罠だからか」
「やっぱりすごい人なの?」
「すごいもなにも、狙撃手でいう私みたいな人だよあの人は」
「そんなすごい人なんだ……」
「でもあんまり慢心しないようにね?」
「ん、わかってる」
今はまだ「私」っていう存在があんまり知られてないからこんな風にポンポン狩れるけど、きっとしばらくすると罠を警戒するようになる。
そしたら今みたいに高いキルレを出せなくなっちゃうから……。
「今の内にやれるだけやっとけってことでしょ?」
「そうそ、え?」
「それなら早速追加の罠を増やしてこなくちゃ! 行ってきます!」
「ちがっ、そうじゃなくて」
「アデゥー!」
そうして私は去ってゆく。
「自重しろバカーーーーーーー!」
なんか後ろから聞こえる気がするけどきっと気のせい
さぁ、どんどん罠を増やさなきゃ!
あ、でもみんなで対策練って私の罠に挑んでくるのは大歓迎だよ? まぁ勝たせる気は無いけど。
その日、あらゆる場所で急に人が死んでいく事件が発生した。
そのあまりの多さと突発性から「新手のバグか!?」という声が多発したが、
運営から「プレイヤーの罠です」という返答があったため、その罠師探しで掲示板が賑わったという。
恐ろしい、事件だったね……
ちなみに罠は「まず地形と同じ色で塗り、さらに油を塗りたくった超極細のワイヤーをあらゆる場所に張り巡らせる」というものです。そのため歩いてると急に体がバラバラになるという恐ろしい罠なのです!
しかも油を塗ってあるから血が付かないと言うね、




