Chapter3. Teller:Moe Nishiki
タイトルにもあるように、今回は西紀萌絵の視点となっております。
私の今日の任務は二年生への聞き込みだね。
西園寺さんと彼女さんの関係について。
何か特殊な背景があると思って持って行った依頼がただの探し物でしたってなったら本当に奢りになっちゃうよ……
今日の聞き込み、どんなメイクにしようかなぁ。
西紀は、コミュニケーション能力の高さに加え、化粧の腕も高く、それが持ち前のコミュニケーション能力と合わさり、情報収集に役立っている。
本気のとき用の化粧ポーチをカバンにしまって、学校に向かう。
クラスにいるときはそこまで目立つ必要もないし、メイクはほとんどしないんだよねぇ。
聞き込みの度にちゃんとしたメイクしないといけないのって結構大変なんだよ?
ほどなくして学校に到着。
午前中の授業をこなして、お昼休みが来た!
お昼ご飯は購買部で適当に買って食べながらメイクの準備をする。
今日の聞き込みどうしようかな〜、なんて考えながらさっさとご飯を食べきる。
しばらく悩んで、結局ナチュラルめのメイクにすることにしたよ。
西園寺さんの友達を中心に聞き込みをするつもりだから、男性ウケを第一に考えた結果です!
メイクも終わって、いざ出陣!
二年生の教室があるフロアにいって、先輩に話を聞いてみよう~
まずはあそこにいる人に聞いてみようかな?
知らない人だけど、まぁ大丈夫だよね。
「すみませ~ん! ちょっといいですか?」
「ん? なになに~?」
「私、一年の西紀萌絵っていいます! ちょっと西園寺先輩について聞きたいことがあるんです……」
若干の上目遣いで話しかけてみる。
あざとすぎず、それでも気を引けるように。
「あー、西園寺? いいけど、どうしたの?」
よかった。
話を聞いてもらえた!
「西園寺先輩って…… その…… 彼女さんとかっていらっしゃるんですか?」
「うん、いるよ。可愛くて、スタイルもよくて、クラスの人気者だよ」
そこまでは知ってるんだよね~。
ここからが本番!
「そうなんですかぁ~。お二人の関係ってどんな感じなんです?」
「すっごく仲良くて、お似合いの二人って感じだよ。でも……いや、なんでもないよ」
「でも、なんですか?」
軽く掘り下げてみる。
「本当に何でもないよ。まぁ、西園寺は彼女いるし、狙うなら他のやつの方がいいと思うよ〜」
そんなふうに濁して、どこかに行ってしまった。
あれ以上は質問するつもりはなかったけど、気になることが増えたなぁ……
二人はただ仲がいいカップルってだけじゃなさそうだね。
って! 私、別に西園寺さんのこと狙ってないんだけど!!
他にもたくさん西園寺さんの友達っぽい人に聞き込みをしてみて、「トラブルがあるとかって聞いたりします?」って聞くと何人かは反応があった。
一回、なんとなく「もしかして、――とかあっちゃったり?」って聞いてみたらビンゴだったよ!
これは…難しい話になってきちゃったかも。
っと……もう昼休みが終わっちゃうよ。
メイク落とさなきゃ。
メイク落としシートってほんと便利だよねぇ。
午後の授業を終えて、放課後。
放課後は部室で西園寺さんに直接いろいろ聞けるんだよね。
お昼の聞き込みでゲットしちゃった"あの"情報は伏せておいて、遠回しに攻めてみようかな。
聞き込みの情報が正しいとは限らないもんね。
「やっほ〜。みんな来てる?」
部室には、ちゃんと部員が揃っている。
「おかえり。萌絵、聞き込みの成果はどうだった?」
「いい感じ! 二人はやっぱり仲良しカップルで有名みたいだよ」
情報を一部伏せて話す。
「それだけか?」
まずい、さすがにこーやには隠し事はできないかな……
「ごめん、今日はそれだけ。西園寺さんの友達っぽい人にしか聞き込みしてないからさ」
お願い! 指摘しないで!
「……そうか」
よかった。
わかってくれた……のかな?
「もうすぐ西園寺さんが来るわ。どんな事を聞くのか決めておいた方がいいんじゃないかしら?」
「どうしよっかな〜。こーやはリクエストある?」
「特にない。そこは俺の専門外だ。俺はあいつが何を隠してるのか、それを読むだけだ」
ドライだなぁ。
まぁ、その方が私もやりやすい感じはあるね。
そうして、探偵部は西園寺を迎える準備を整えた。