Chapter1.
春の終わりの頃、放課後の校舎の薄暗い教室で、四人の男女が長机を囲んで話をしていると、ノックの音が響いた。
「すみません...... ここは探偵部で合ってますか?」
やって来た男子生徒の名は二年生の西園寺夕貴。
身長は175cm程度で普通の体格で、好青年といった印象。
手には封筒を握りしめている。
「ようこそ、探偵部へ。ご依頼でしょうか」
対してそう答えたのは"探偵部"と呼ばれた集団のリーダー、3年生の柏木祥。
身長は175cm程度で細身の体格。
目付きが悪く丁寧な言葉遣いが似合っていない。
「探してほしいものがあるんです」
西園寺は深刻な表情で話し始めるーー
この高校には、どんな依頼でも解決してしまう"探偵部"と呼ばれる部があるという。
統率、読心、話術、諜報。
それぞれの分野に長けた生徒四名によって構成されている。
しかし、それは誰もが依頼できるわけではない。
特別な悩みを抱えた生徒の元に一通の手紙が届く。
それは探偵部からの紹介状であり、調査開始のメッセージだ。
「探してほしいものがあるんです」
依頼者、西園寺夕貴は深刻な表情で話し始める。
「少し前、誕生日に彼女からプレゼントにぬいぐるみのキーホルダーをもらったんです。それを失くしてしまって......」
「あれ、それだけか? おかしいな…もっと何かあると思っていたんだが」
そう指摘するのは二年生の望月紅夜。
身長は170cm程度の中肉中背。
読心術を得意としていて、相手の細かな心情の動きを捉えることができる。
「いえ、依頼したいのは本当にぬいぐるみ探しだけです。このぬいぐるみです」
西園寺はスマートフォンを取り出し、ぬいぐるみの写真を見せる。
カバンにつけるくらいの少し大きめなサイズのクマのぬいぐるみのキーホルダーだ。
「ふむふむ......了解したぜ」
「それじゃあ詳しいお話はまた今度として、依頼は確かに受け付けました〜」
早々に話を締めくくったのは一年生の西紀萌絵。
身長は160cm程度で体格は普通。
コミュニケーション能力が非常に高く、依頼に関係する人との距離を容易に縮めることで情報を集めることに長ける。
「それじゃあ、この後彼女と約束があるので失礼します。探偵部さん、よろしくお願いします。」
そういって西園寺は教室を後にする。
「......どうする?」
西園寺が入ってきてからというもの、一切の気配を殺して文庫本を読んでいた二年生の佐倉葵生が口を開く。
身長は155cm程度で小柄な体格。
その気配を消す能力の高さを活用して、探偵部では諜報を担当している。
「うーん...... 紅夜、どう思う?」
「なーんか引っかかる感じがするんだよなぁ。彼女と約束か...... 葵生、頼めるか?」
西園寺を尾行し、望月が感じた違和感の正体に繋がる証拠を探るためだ。
「さて、俺達も始めようか。まずは今回の依頼についてまとめる事からだな」
「おっけー。私が持ってきた案件だから私が進めるね」
三人はノートを取り出し会議を始める。
「今回の依頼人は二年生の西園寺夕貴くん。クラスでの人気も男女共に高くて、かわいい彼女さんもいるよ」
「それで、その彼女さんから誕生日にもらったぬいぐるみを探してほしいって依頼だったよね」
「そう。でも、こーやは今回の依頼がそれだけじゃないって考えてるんだよね?」
「あぁ。大切な彼女さんからもらったプレゼントを失くしたって感じの表情じゃなかった気がするんだよな......。いや、確かに深刻そうな表情はしていたんだけどさ? なんか違うっつーか。うーん......」
「じゃあ、次に彼から話を聞くときはそれも考慮して話してみようかな。リーダーはなんか気になるところあった?」
「いやぁ、僕はその辺はさっぱりだからなぁ。まだ役に立てそうにないかなぁ」
「まぁ、仕方ないさ。リーダーは終盤が一番大変だもんな。今の内にゆっくりしとけよ」
「そうさせてもらうことにするよ」
「今日できるのはこれくらいかな? この先は葵生ちゃんの報告を受けてみないとなんとも言えないって感じだもんね」
「まぁ大まかなところは把握できたし、また明日、話し合ってから動き始めようか」
そうして、今日の探偵部の活動は終了した。
10/23 キャラクターの身長を修正しました
10/25 改行や、表現の変更を行いました