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Epilogue.....04 〜 Each 〜

前の更新から一週間以上も経ってしまいました。本当に申し訳ありませんっ!

中間テストがようやく終わり、やっと執筆に手を出すことができました。テストまでの間と、テスト中の間がとても長く感じました……疲れた…。

今回も艦魂は出てきません!すみません!これ、艦魂小説なのになぁ…。

でもあとがきには艦魂登場しますので許してください。

あとがきには、メイン以外のキャラが初登場です。

前話の大和様に続いて、黒鉄元帥の艦魂年代史からあの方々が来てくださいました。

どうぞよろしくお願いしま〜す。


 闇市で出会った謎の少女、夏加と行動を共にすることになってしまった三笠。しかもその矢先、夏加の悪戯(?)によって二人して逃げる羽目になり、早速先が思い遣られる三笠だった。しかし三笠は戦災孤児であろう夏加を一人にさせるわけにもいかず、その小さな手を引いて道の先を進むのだった。

 二人で進むことになった道の途中、早速二人に試練が降りかかる。

 「………」

 「………」

 川岸の土手で、三笠は腰を下ろして流れる川をぼーっと見詰めていた。その隣には夏加が表情を一変も変えずにただいつもと変わらないままで三笠の視線と同じ視線を向けていた。

 川の流れる水の音だけの静寂な中、三笠のお腹から発せられる和音。

 ぐぅぅぅ〜〜………

 「……ッ」

 空腹の虫の音が鳴った三笠を、夏加がゆっくりとした動きで首を傾げ、三笠のほうを見る。

 「………」

 三笠の頬がほのかに朱色に染まるのを夏加は見た。

 隣の少女にスラれたことがあるサイフは、今は三笠の手元にない。

 落としたのかスラれたのかもわからない。要は失くしたのだ。

 空腹に飢える三笠。サイフを失くしてからここ数日、ロクなものを口に入れていない。口に入れるときがあっても、お腹は満足してくれるはずもなかった。

 隣にいる少女も同じはずなのだが、表情も全く変わらず、腹の音も聴いたことがない。最初は強い子だとは思ったが、大人(?)である自分がここまで空腹に苦しんでいるのに、幼い少女が全然平気に見えるなんて、強い子だと思う域を脱しているようにも思える。自分が情けないのかもしれないが。

 それとも表に出さないようにしているのかもしれない。やはり絶対に空腹に苦しんでいるはずなのだ。

 そうだと思うと、自分より早くこの子に食べ物を与えてやりたいと思う。

 なにかないか、とあたりを見回すも、なにもない。

 「…なぁ」

 三笠の呼びかけに、夏加はピクリと肩を震わせて三笠のほうに首を傾げる。

 「……あれ、焼いたら鶏肉みたいに美味いらしいぞ」

 三笠の視線を追って、川のほうに視線を追う。

 追った視線の先には、大きく白い頬を膨らませた、ゲコゲコと鳴る両生類が真正面からこちらに向き合っていた。

 「………」

 「………」

 異様な静寂が支配した。三笠はなにか重いものが乗っかっているように感じた。

 ゲコゲコと鳴るそれは背を向けると、ピョンとひとッ飛びして水面みなもに波紋を浮かばせて消えた。

 「…調達に行くか」

 三笠は立ち上がり、土手を上がる。その後を夏加が追った。

 水が流れる川の中を、数々の波紋を浮かばせながら、それは泳いでいた。


 

 と、言ってもお金がないので、闇市でものを買うこともできない。

 着ているものや持っている何かをお金代わりにするしかなかった。

 とりあえず上着の古いコートを代わりに、うどんを二杯分もらう。コートは結構なお金代わりになった。

 それで空腹を満たすことと温もりを得るが、それは今日のその一時期だけだ。

 また空腹になれば、代えもすぐになくなる。

 そしてまた今日も日が暮れて一日が終わろうとする。

 夕日の光が廃墟をオレンジ色に染め、地平線の果てに沈もうとする。

 その夕日を見詰めながら、三笠は思いにふけていた。

 「(……呉を出て、こんな遠い東京に来て……俺はいったい何をしているのだろう。俺は本当に強くなれるのか…? どうすれば、強く生きれるんだ……)」

 三笠は同じく夕日を見詰め、夕日のオレンジ色に染まる、長い影を落とす少女を一瞥する。クマのぬいぐるみを肌身放さず持ち続けている。

 ―――本当にこの子が、この先の道を導いてくれるのだろうか?

 あのとき出会った不思議な少女と、あの声も、夢に出ていない。あの声のおかげで、自分はここまで来れたのだ。でも、この先は声はない。この先は、己の力のみで行けということだろうか。全然わからない。

 自分はやはり、あの堕落と怠惰だった時期のように、ただ生きているだけなのではないだろうか。変わっていないんじゃないかと思うようになる。

 はぁ……と溜息を吐く三笠を、夏加はジッと見詰めていたのを、三笠は気付かなかった。

 少女の瞳に三笠がどう映っていたのかはわからない。

 ただ、三笠の奥にある、あるいは見透かすようになにかを、映し出そうとしているようだった。

 二人はそのまま、それぞれの思いにただ長い影を落としながら立っていた。

 そんな静寂の中、導きの銃声が鳴り響いた。


 ―――パァンッ!


 「なんだッ!?」

 音が聞こえたほうに振り返る三笠。夏加もジッとその先を見詰める。

 ガレキの山と化している廃墟。一階以上から崩れている廃ビルが立ち並ぶ地から、確かに銃声が聞こえた。

 「お前はここにいろ」

 夏加にそう言い聞かせ、すぐさま銃声が聞こえた廃墟に走る。どうやら近い。すぐそこの廃ビルの裏を覗くと、元凶を見つけた。

 「―――!」

 数人の男たちが各々のエモノを手にして、一人の男を囲んでいる。囲まれている男は随分と若いように見える。一目見ると、ここらにいる日本人とは違うのがわかる。日本軍でもない、着ている軍服は日本を現在事実上占領しているGHQのもので、しかし白人でもない、生粋の黄色人種だ。GHQの軍服を着た男の周りを囲む男たちの中、一人の男が天に向けて紫煙を漂わせる拳銃を上げていた。おそらく脅しのつもりで撃ったのが、さっきの銃声だろう。

 戦争の傷跡が濃く残る日本は貧困と飢えに苦しんでいる人々ばかりだ。貧困や飢えに苦しむ者が他人から金目の物を奪ったりと、犯罪を犯すのも少なくない。おそらくそれの一種だろうか。

 取り囲む男たちが手にするエモノはどれも立派なものだ。どれも人を殺すには十分すぎるほどの武器だ。軍隊並みだ。おそらく解体された日本軍の遺品か、進駐軍が捨てていった使い捨ての武器から調達したに違いない。

 それらの武器を見て、三笠は一瞬怯みそうになるも、それをぐっと抑えた。

 自分は強く生きることを誓った。

 自分が生きるということは、他人を助けたり救うことも、自分が生きることに必要なものであり、人としてするべきことなのだ。

 ここで逃げては自分は弱いままだ。確かに相手は武器を持っていて、迂闊に出ては殺される可能性もある。しかし逃げるわけにはいかなかった。

 三笠が一歩足を踏み入れたとき、その瞬間、一人の男が咆哮のような声を荒げながら、持っていた、小銃の矛先に装着するような短剣を彼に突きつけようと地を蹴った。

 地を蹴った男が短剣の刃先を彼の脇腹目掛けて突撃する。

 そのとき、短剣は彼の脇腹に突き刺さることもなく、甲高い音を鳴らして、その鋭利な刃先が砕け散り、地面に落ちた。次の瞬間には男は彼の俊足の蹴りになぎ倒されていた。

 次々と飛び掛るように襲い掛かる男たちを、彼の、まるで踊っているような動きで男たちの攻撃を避けつつ、蹴りを入れていく。

 彼に蹴りを入れられた者は撃沈され、立っていたのは彼一人だった。

 あっという間の出来事に三笠は呆然と立ち尽くしていた。まさに今助太刀に行く寸前の立ち姿だった。

 やがて彼は三笠のほうに視線を向けて、最初は男たちの仲間かと疑いの視線を向けるもすぐに三笠の姿を見て、口元を緩ませた。

 三笠が助けに出ようとしていたことに気付いたようだった。

 「…あ」

 日系の黒い瞳と髪、黄色人種と同じ肌、日本を占領するGHQの軍服を着ているが、外見は上から下まで端の端まで、完璧に日本人だ。

 日系人だろうか。というか、どこかで見たような…と思考を巡らせているうちに、彼は三笠にぺこりと一礼してから背を向けた。

 「俺が出る幕もなかったな……」

 呟いて、彼の背中を黙って見送るしかなかった。――と、思われた。

 地に伏せた男たちの中、ぴくりと指先が動いた一人の男が、ユラリとその身体を起き上がらせた。

 「――――!」

 立ち去ろうと背を向ける彼に、男は背後から飛び掛るように地を蹴り、今まさに彼の背中に手を掛けようとしていた。

 間に合わない―――!

 「後ろッ!!」

 気がつくと、叫んでいた。

 三笠の声に敏感に反応した彼は、背後から迫り来る殺気を初めて察知した。足を踏み込み、きゅっと捻らせて、男の打撃から危機一髪で身をかわして避けた。

 避けられ、勢い余って飛び出た男の後ろ首あたりに、チョップを振り下ろす。

 鈍い音とともに、男はそのまま意識を失ってうつ伏せに倒れた。

 倒れた男を見下ろし、額の汗を拭った後、またしても呆けるように見ていた三笠に、彼が歩み寄ってきた。

 「ありがとう。 きみのおかげで助かったよ」

 達者な日本語で言葉を紡ぎ、微笑を浮かばせる。

 「いえ。 俺はなにもしていませんよ」

 「いやいや、危うく背後から一撃を喰らうところだった。俺としたことが、不覚だなぁ。相手を完全に仕留められているかを怠るなんて…。なまったかなぁ」

 そう言って彼は自嘲するように頭を掻きながら笑った。

 見た目、日系人か、日本語の巧さからして完璧なる日本人か。とにかく外見は自分と同じ黄色人種であり、漆黒の瞳は純粋さが伺える。白い歯を見せて笑う彼の笑顔は、整った顔立ちの凛々しさに、また若々しさをかもし出していた。

 「こいつらはさ」

 目の前にいる彼は自分と大して身長は変わらないが、ずっと大人らしさがあった。実際彼は三笠より大人だ。三十代前半だが、三笠の視点からだともっと若く見えていた。

 「元は日本のために戦ってた人たちなんだよ」

 倒れて動かなくなった男たちを見渡すように言い出した彼。

 「…まぁ、そうですね。戦時中は日本人みんながお国のために戦いましたから」

 「そうではない。彼らは、……俺と同じ、元日本海軍軍人だったんだ」

 「…そうですか」

 「おそらく、かつて敵国だった奴らの軍服を日本人の俺が着ているのを見て、裏切り者だと思って襲い掛かってきたんだろう。まだいるんだよ、戦争が終わってもそういう奴がさ…」

 「……あなたも大日本帝国海軍軍人だったんですか?」

 「ああ。今はGHQで働かさせてもらってるけどな。これでも元は日本海軍士官だったさ」

 「し、士官……!」

 咄嗟に三笠は階級と立場に対する条件反射を見せた。

 三笠は元は二等兵曹。下士官だ。士官なんて、海軍兵学校を卒業し、エリートに進んだ者たちの階級だ。『尉』『佐』の地位はエリート道なのだ。

 「どうした」

 「…いえ。実は自分も元日本海軍の軍人でして…。つい反応してしまって……」

 むなしいものだなぁ、と嘆きつつ平静を装うように言う。

 「へぇ。きみもか。奇遇だな。階級は?」

 「……二等兵曹でした。主計科兵で、艦の烹炊所で班長として炊事をやっていました」

 階級など、今となっては無意味なものだ。意味を問う以前に、その階級と地位を発揮する軍隊という世界はすでに日本から消失している。昔の話だ。

 「きみも船乗りだったのか。俺もだよ」

 海軍軍人なら当然艦には乗るだろうし、しかも元は士官だという男だ。きっと艦の中では艦橋にいるような人物だったに違いないと三笠は思った。

 「………」

 気がつくと、彼はう〜むと唸るように、三笠を下から上まで舐めまわすように観察していた。

 「な、なんですか…?」

 「…悪くない。ま、大丈夫だろう……」

 「は…?」

 「この機会だ。すまないが、ちょっと手伝ってくれないか」

 「は、はぁ…?」

 三笠は曖昧に頷くと、彼はよし、と頷いた。

 「では早速ついてきてくれ」

 「あ、あの…!」

 廃墟の奥、廃ビルが並ぶ奥地へと彼の背中が遠ざかる。三笠は慌てて、待たせていた夏加を呼んで、一緒に連れていって後を追った。

 着いたのは、残骸の山だった。空襲で焼かれた残骸が山をつくり、その光景は無残なものだった。『壊滅』という印象を強く与えてくれる場所だった。

 そこは、元は工場があった場所だった。

 工場は米爆撃機の攻撃目標と定められ、精密爆撃によって的確に爆弾を投下され、壊滅していた。工場は見る影もなく、その根が残っているだけだ。崩れたガレキが山となり、まさに廃墟だった。

 すでに敷地内の一部分には、空襲被害に遭って工場敷地内の各所に敷在放置された機械、疎開工場に運ばれた機械・装置などがあった。それらには賠償管理番号という、占領政策の一環である賠償指定となった旧軍需関係(特に航空機関係)設備の印のようなものだった。

 占領政策の一環として賠償指定もあげられている。財閥解体とは別のもうひとつの政策だ。工場にあった設備などの旧軍需関係は賠償対象にされ、一定の保全をすることとなったのだ。またこれらの設備の使用にはいちいち司令部の許可を要するようになっている。

 「これらをある島に運んで保存しておかないといけない。それで、その作業を手伝ってほしいんだ」

 「………え?」

 すでに残骸の山の中を作業している人たちが見られているが、三笠の間抜けな反応に、彼は補足説明を加えた。

 「元々はあそこにいる、整理要員たちが仕事なんだが…。この地域は人手不足で俺まで借り出されたんだ。俺は軍関係の部署なんだけど、俺自身、慣れてない仕事でさ…」

 「それで、俺に手伝いを…?」

 「ああ。…だが、無理にとは言わない。きみはただの通りすがりだ。断ってどこかに去ろうが構わない。協力してくれるならば、もちろんそれ相応のお礼はする」

 「………」

 くいっ、と裾を引かれる。

 クマのぬいぐるみを抱えた夏加が見上げていた。

 さっきまで路頭に迷っていたのだ。これは天からの思し召しかもしれない。ここで働かない以外なにがある。このまま立ち去れば空腹の夜しか待っていない。

 これもまた、導かれた道だと言い聞かせる。

 三笠は頷いていた。

 それを見て、彼も微笑んだ。

 「ありがとう、助かるよ。少々きついかもしれないが、頼む。もちろんお礼はする。期待しろよ?」

 そう言って彼は手を差し伸べてきた。その微笑んで差し出される手に、三笠は躊躇いもなく笑顔で手を握り返した。

 「自己紹介しよう。まだ名乗ってなかったよな」

 彼は一息置いてから、口を開いた。

 「俺は、阿賀野海翔あがのかいと。元日本海軍軍人、航海少佐だった。よろしく、元二等兵曹・烹炊班班長殿」

 阿賀野は、にこりと微笑んで、三笠と握手した。


 

 作業は進み、三笠の背中には汗がべとべとと服の布地が貼りついている。

 残骸の中から撤収された機械や設備を、人の手や重機、様々な手段で運び、トラックに積み込んでいく。それらの回収した設備等を集め、管理する場所に運ぶそうだ。

 それぞれには賠償管理番号が貼り付けられ、ひとつひとつが丁寧に運ばれていく。連合軍が賠償の一部として押収する一環だった(しかし最終的にはそれらの回収した設備等は賠償に持ち去られることはなく自然消滅することになる)。

 最中、重機を乗り回すアメリカ人を見て、三笠は先日のジープ騒動を思い出して顔を青くした。阿賀野も三笠が連れていた夏加を見てすでに気付いていたが、笑って済ませていた。

 「気にするな。俺も気にしてないから。あいつも気付いてないようだし」

 「はぁ…」

 気付かないことを祈る三笠だった。

 その元凶である少女は、一人離れたところで、角材の上にちょこんと座ってこちらを見ていた。

 いつの間にか、二人の間では話に花が咲いていた。当時のことを語り合い、時間が経つのも正直二人は忘れていた。

 「なんの艦に乗ってたんだ?」

 「…それは」

 ドクン、と鼓動が高鳴った。

 胸がぎゅっと締め付けられるようだった。

 「戦艦や空母なら、当時は軍事機密だったが、今となってはお互いに明かしても構わないだろう」

 「自分は…」

 「自分、という言い方もやめよう。普通で構わないぞ」

 「…俺は、戦艦に乗ってました」

 三笠の苦し紛れのように出てきた答えに、阿賀野は表情を緩ませて明るく輝かせた。

 「俺もだよ。俺も戦艦だった」

 「………」

 「まぁ、戦時のうちに航海を指揮することもなかったんだけどな……」

 「…阿賀野さんは、艦長かなにかだったんですか?」

 「いや。俺は航海長だったんだ。戦争が終わる半年ぐらい前の冬に、着任してな。でも結局、出撃の機会もなく、あいつと大海原に一緒に行きたかったよ」

 阿賀野の言葉の内に、三笠は気になる部分を聞き取った。

 「……阿賀野さんは、なんていう戦艦に乗っておられたのですか?」

 阿賀野は、ん、と作業の手を止めて三笠のほうを見た。

 三笠の瞳を見ると、阿賀野は首に巻いたタオルで首の汗を拭った。そして上を仰ぎ、思いを馳せる瞳で、呟くように言った。

 「『長門』っていう戦艦だ。 知ってるだろ? 日本国民なら誰一人知らない奴はいない。 まさに、海軍が誇ってた戦艦だな……」

 阿賀野はもちろん『大和』のことは知っていたが、当時は大和型戦艦は極秘扱いされて一般国民には知られず、国民の間で日本を代表する戦艦といえば、長門型戦艦だった。

 しかし阿賀野は、彼女を日本海軍の象徴という、そういう域で思っているわけではない。ただ―――

 「あいつと、広い海に出たかったな……」

 阿賀野の瞳は、まるで誰かを見ているような瞳だった。

 『あいつ』とは、その戦艦のことだろう。もしかしたら艦を愛する故に【物】相手に人称代名詞を用いているのかもしれない。しかし、それが【物】ではなく、純粋に【人】として用いられているとしたら……

 「……阿賀野さんは、その子のことが好きでしたか?」

 三笠の言葉に、阿賀野は気付いたようにはっとなったが、すぐに平常に戻り、素直に頷いた。

 「…ああ。もちろん。今でもな」

 「…そうですか」

 「…自分はどうなんだ?」

 「え…?」

 三笠が阿賀野のほうに視線を向けると、阿賀野はニッと笑っていた。

 「俺は答えたんだから、お前も答えろ。俺が答えた質問と同じ質問だ」

 「………」

 三笠は一人の少女のことを思い浮かべる。

 純粋が煌く漆黒の瞳。靡く長い黒髪。珠のような白い肌に、優しい温もり。

 歳相応の幼さをかもし出す、輝かせる笑顔。

 あの手を握ったとき、抱き締めたとき、そばで触れ合ったとき、どの温もりも覚えている。

 最後に浮かぶ、血に染まるも最後まで見せてくれた光のような笑顔。

 その輝き。

 その全てが、愛しかった。

 今でも、彼女の存在がとても愛しい。

 三笠は頷いていた。

 「…そうか」

 阿賀野もフッと微笑んだ。

 「……ふふっ」

 「はは…」

 そして、二人は笑った。

 それぞれの想いを抱く、大切な人がいることを明かしあった二人の男は、似た者同士と認めて確かに笑っていたのだった。

 そんな二人の背を、遠くから見詰める二つの瞳があった。

 まるでそのなにも無い瞳に二人を吸い込んでしまいそうな、まるでブラックホールのような瞳で。

 クマのぬいぐるみを抱きかかえた少女は、ずっと二人を見詰めていたのだった。

伊勢「伊勢と〜」

日向「日向のぉ」

伊勢・日向「艦魂姉妹ゲストお呼び出しラジオ〜」


――本番組は、北は樺太、南は台湾まで、全国ネットでお送りいたします―――

――大本営・海軍省・大日本帝国海軍支援協会・艦魂同盟の提供で、お送りいたします―――


日向「もう面倒だからタイトルについては突っ込まないわ」

伊勢「それがいいと思うわよ。キリがないから」

日向「しかも長門までいるし」

長門「やっほー」

日向「ちなみに随分とテンションが高いという声があったのでここで説明しておくわ。実はこれが本来のキャラなのよ。阿賀野とかいう人間と一緒にいるときは控えめになるんだけどね。ま、中にはいるわよね。そういうの」

長門「わざわざ説明しなくていいの〜っ!」

作者「もういい? いや〜それにしても前回(もう一週間以上も前だけど)は大和様が来ていただいて、とても感極まる時間でしたね。大和様、黒鉄元帥、どうもありがとうございました。神龍も大変お世話になりました〜」

日向「ねぇ、その元帥って呼び方なに?いつからそう呼ぶようになったのよ」

作者「私たち艦魂作品を書く同志たちが集う艦魂同盟が、極上艦魂会という組織になって、その際に軍隊のような階級も導入されたんだよ。もちろん組織のトップである元帥は黒鉄大和先生。草薙先生は連絡や企画を担当する重要なポストである先任参謀。火星先生や零戦先生たちもそれぞれの階級を持ってるんだよ」

日向「ふ〜ん…。で、あんたは?」

作者「え、私ですか…?(汗)」

日向「あんたはどうなのよ。ま、どうせ最悪二等兵で、良くても下士官でしょ?」

作者「失礼なッ!私は参謀長ですよーだっ!」

日向「ハァッ?!あんたが参謀長?……その組織の未来が暗雲ね」

作者「おいこら。いやね、私もびっくりしましたよ。私なんかが参謀長で…。と、言っても連絡や企画などの重要仕事を実行するのは草薙先任参謀だし、新たに艦魂作品を書く報告を受けるのは黒鉄元帥だし、実際私はなにをするのかなと思ったり。でも光栄ですよ。そんな役職を与えられるなんて。それに恥じないようもちろん精一杯頑張る思いです」

伊勢「頑張ってください」

長門「私も応援してるよぉ〜」

作者「ありがとう」

日向「そういえば最近、艦魂作品増えてるわよね」

榛名「ああ。その艦魂同盟たる極上艦魂会が発足されて以降、急激に艦魂作品を書く者たちが増えているな。もちろん同じ艦魂作品として喜ばしい限りだが」

大和「火星殿から一気に増えた感じだな。火星殿のこんごうに続くように、更に四人の作者殿による四つの作品が誕生。ここまでになるとは正直予想外だった」

天城「そうかな?私は十分予想できたことだと思うよ〜。艦魂会が出来て以来、これは大きな歯車になったと思うよ〜」

葛城「…艦魂時代活性化の原点」

龍鳳「それが先生がたの艦魂同盟現極上艦魂会なんですね」

雪風「これからも私たちのような艦魂たちが増えていくのでしょうか」

矢矧「…たぶんそうなる」

長門「いいことだね」

作者「確かに様々な艦魂たちが誕生したよね。火星先生の現代の護衛艦の艦魂に、二等海士長先生の史実とは少々異なった伊勢、火龍先生や007先生のような架空戦記の艦魂とか」

榛名「私はあの飛魂というのも興味深いな」

作者「赤眼黒龍先生の作品だね。あれは私も大好きだな〜」

日向「あ、私も知ってる!戦闘機の魂でしょ?すっごい戦闘シーンの緊迫感に世界観!どれを取っても面白くてたまらないわ〜!」

伊勢「日向はああいうのが好きなのよねぇ」

大和「うむ。確かにあの作品のセイバー君は可愛いなぁ。お持ち帰りしてハァハァしたいぐらいだ……」

日向「不穏な発言がまたしても聞こえたような気がするけど聞かなかったことにする…」

榛名「私はあのクーガー中佐というパイロットも良いと思う。あんな愛機を愛し、強くたくましい男が、もっと日本男児にいればいいなと思うな」

伊勢「へぇ…。榛名ってああいう男が好みだったのね」

長門「え?そうなの榛名!」

榛名「はっ?!ば、馬鹿者…ッ!そういう意味で言っているわけではないわっ!」

伊勢「じゃあやっぱり二ノ宮さんのようなかたかしら?」

榛名「なな…ッ!?な、何故少尉が出てくるのだぁぁっ!!――って、長門!抱きつくなぁぁぁっ!!」

長門「あぁんもう。やっぱり可愛いんだから、榛名は」

日向「………」

作者「どうしたの日向、『ツン』の部分が出まくりですよ……ってぐほっ!!」

日向「殺すわよ」


伊勢「さて、今回もゲストさんをお呼びしております。しかも今回は初の複数の方々にお越しいただき、そしてこれもまた初のメイン以外のキャラの方々です」

日向「ふぅん、珍しいわね」

葛城「…今までは紀伊の凛、艦魂年代史の大和など、それぞれの作品のメインヒロインだったけど、今回はいわゆるサブキャラ」

天城「まぁサブ同士仲良くやりましょうってことですな〜」

日向「一言余計よ……」

伊勢「さて、では登場していただきましょう。前回の大和さんに引き続き艦魂年代史からのご登場です。ではどうぞお入りくださ〜い」


陸奥「失礼しま〜す」

霧島「こんにちは」

伊勢(黒・措置発動)「遂に初の出張!もう不人気キャラなんて言わせないでぇ〜!なっ、榛名」

榛名(黒・措置発動)「みっともねぇぞ、伊勢。すこしは落ち着け」

伊勢(黒)「なに言うてんねん。榛名やて準鷹や大鳳のように他の先生はんがたのあとがきに出たがってたくせに」

榛名(黒)「…う、うるせぇっ!」


日向「……誰?」

伊勢(伊・措置発動)「前回来てくれた大和さんのご友人の方々よ」

榛名(伊・措置発動)「あの者たちが…。初めて見たな……」

伊勢(伊)「そりゃお互い初対面よ」

榛名(伊)「それもそうだが…。――って、なにやら私のセリフの横にどこかで見たことがある(伊)という何やら不快なものが出てきたのだが……」

伊勢(伊)「前回の大和さん同様、同じ戦艦の艦魂同士で他人を見極めるための措置が発動したのね」

榛名(伊)「く…っ。なんという無様な……」

大和「私の気持ちがわかっただろう?榛名」

榛名(黒)「ちょっと待て。それ、俺たちにも出てるんだが……」

伊勢(伊)「ええ。そちらにも申し訳ありませんがそれぞれの作者様の頭文字を乗せていただきました。ご了承くださいね」

榛名(黒)「あんたは?」

伊勢(伊)「紹介が遅れました。私、伊勢型戦艦一番艦『伊勢』の艦魂の伊勢と申します」

伊勢(黒)「あんたがもう一人のうち? わぁっ、一度お会いしたかったわぁ〜〜」

伊勢(伊)「私もですよ。初めまして、もう一人の私は噂以上にお綺麗なかたですね…」

伊勢(黒)「え?いややな〜。照れるやないかぁ。もう一人のうちもごっつ美人で驚いたで〜」

伊勢(伊)「ふふふ、そんなことないですよ」

伊勢(黒)「またまた〜」

日向「二人の伊勢姉さんは随分と仲良くやってるわね」

作者「本当、どっちも美人でキャラは全然違うけど、いい友達になりそうだね」

日向「そっちは?」

霧島「金剛型戦艦四番艦『霧島』の艦魂よ」

榛名(伊)「………」

陸奥「私は長門型戦艦二番艦の陸奥といいます。よろしくお願いします」

長門「………」

陸奥「…? あの、なんでしょうか……」

長門「―――ッ!」

陸奥「きゃあっ!? な、なんですか…?」

(陸奥に抱きつく長門)

伊勢(伊)「……驚かせてごめんなさいね。この子は戦艦『長門』の艦魂、長門よ」

陸奥「え…。じゃあ……」

伊勢(伊)「長門は妹想いだったから……」

長門「いいの、伊勢。言わなくていいから…」

伊勢(伊)「長門……」

長門「陸奥。ごめんね、いきなり抱きついちゃって」

陸奥「いえ、いいんです…」

長門「陸奥、お願いがあるんだけど、いい…?」

陸奥「はい、なんでしょう」

長門「私のこと、お姉ちゃんって呼んでくれないかな?」

陸奥「……はい。いいですよ、お姉ちゃん」

長門「…ありがとう」

作者「長門……」

伊勢(伊)「ありがとうございます…」

伊勢(黒)「そんなお礼なんていらへんよ。陸奥も嬉しいと思っとるで、きっと」

日向「そうね。 …で、榛名のほうは?」

(チラリと榛名たちのほうを見る日向たち)

榛名(伊)「………」

榛名(黒)「………」

全員「(うわぁ…。なんかいきなり険悪なムードだぁ)」

日向「まぁ…あの榛名だし……。いきなり初対面で仲良くできるわけないのかしら」

霧島「ウチの榛名姉さんもすこし粗末なかたですから…。でも口は悪いかもしれないけどとてもいいお姉ちゃんなんですよ!(力説)」

陸奥「私はあの二人も大丈夫だと思うけどなぁ」

霧島「陸奥さん?」

長門「そうだね。私も榛名のことはわかるよ」

陸奥「見ていればわかると思うよ」


ゴゴゴゴゴゴ……(なんか震えている雰囲気)

榛名(伊)「(あれが噂に聞いていたもう一人の私か…。あまり気に入らんが確かに似ているな。首に巻いてるスカーフも同じではある……。さっきから窺うに確かに口が悪い。だがしかし…)」

榛名(黒)「(あの女がもう一人の俺ねぇ……。伊勢たちが言っていたように、確かに俺よりは紳士ではあるかもしれねえな。だが……)」


日向「ちょ…っ。な、なにこの雰囲気…。あの二人からゴゴゴゴって音が聞こえそうなんだけど」

龍鳳「ずっと睨み合ってますね…」

雪風「こ、恐いです…」

天城「ねぇねぇ、あれでも大丈夫だっていえるの〜?」

陸奥「うん。大丈夫だと思うよ?」

日向「あの二人を見てそう言えるのが凄いわね…」

長門「そんなことないよ。だって……」

ガキィィィンッッ!!!

日向「は…!?」

天城「え、ええええええっっ?!」

雪風「な、なんかお互いに刀と刀で衝突しあってますよ〜っ!」

龍鳳「と、止めなくていいんですかっ?!」

伊勢(伊)「心配ないわよ」

伊勢(黒)「せやなぁ」

日向「姉さんたち…!」

伊勢(伊)「大丈夫よ、日向。陸奥さんの言うとおり。あの二人はただ…」

霧島「姉さん…」


(お互いの刀と刀をせめぎ合う二人)

ギリギリギリ……

榛名(伊)「………」

榛名(黒)「………」

榛名(伊)「……ふっ」

榛名(黒)「……へっ」


雪風「あ! 二人とも、互いの刀を引っ込めました」

日向「ど、どうして…?」

天城「しかも握手してるしっ!どういうこと〜?!」

伊勢(黒)「簡単なことや。あの二人は、武人らしくお互いを分かり合っただけなんや」

伊勢(伊)「見た目や噂で人を判断することをあの二人は絶対にしない。刀と刀で交わって、本当の自分たちを知り合うのよ」

作者「それが真の武人ってことだよ。あの二人は」

日向「わ、いきなり出てこないでよ馬鹿作者」

作者「ひどいな…。最後にその言葉で閉めようと思ってたのに余計だよ」

日向「なんですって?」

作者「…なんでもございません」


榛名(黒)「やるじゃねぇか。さすが俺だな」

榛名(伊)「そっちもな…。私とは別人のようだが、それでも我々は戦艦『榛名』という同じ艦の艦魂だ。無益な戦いを除いて、一度お手合わせしたいものだな」

榛名(黒)「へ…っ なんならここで今すぐでも構わねぇぜ?」

榛名(伊)「私もそう思ったが…。今はやめておこう。いつかまたその機会にまで」

榛名(黒)「そうだな」


作者「良かった、あの二人も仲良く出来そうだ」

日向「一時は妹のことで大変だったけどね」

霧島「…すみません」

陸奥「霧島が謝ることなんてないよ」

伊勢(黒)「せやなぁ。もし霧島が取られてたら、ウチらの榛名も同じことになってたかもしれへんしなぁ」

榛名(黒)「なにを勝手なこと言ってやがる」

伊勢(黒)「あれ、榛名。もうあっちの榛名とはいいんか?」

榛名(黒)「ああ。もう十分あいつのことはわかったからな」

大和「まぁ先日のことはお互いに水を流そうではないか。今回は気楽に楽しんでくれ」

伊勢(黒)「せやな。準鷹や大鳳ばかり他の先生がたのほうに行ってもうて、うちら寂しく他の艦魂はんたちを迎えてただけやったのに、うちら自身がゲストとしてお招きいただけはるなんて、感激やわ〜」

伊勢(伊)「私も以前からそちらの伊勢さんとお会いしたいといつも思っていたので嬉しいです」

伊勢(黒)「さすがうちや〜!ようできとる娘さんやな〜」

伊勢(伊)「伊勢さんって面白いかたですね」

榛名(黒)「さすが十五位」

伊勢(黒)「掘り起こさんといてぇぇ〜っ!ていうかそれ今関係ないやろぉぉぉっ!!」

日向「ああ、そういえばそちらさんってランキングっていうものをやったんだっけ?」

陸奥「私たちはこのとおりランキングでも呼び出しでも不人気で……。お呼びされたのはここが初めてだよ」

霧島「向こうでも言ってたけど、陸奥さんは七位だったんだからまだいいじゃないですか」

伊勢(黒)「そういえば霧島はランキング外だったものな〜」

霧島「うう…っ」

榛名(伊)「貴様はどうなのだ?」

榛名(黒)「俺か?俺は六位だ。まぁそんなの過去のことだ。今度ランキングをもう一度やってみろ。大鳳や葛城のやつに蹴られちまう。この俺が……」

葛城「…私?」

榛名(黒)「誰だお前?」

葛城「…葛城」

榛名(黒)「はぁー。お前が葛城か?なんか俺たちが知ってる葛城とどことなく似てるが気のせいか?」

伊勢(黒)「まぁうちらの作者はんがこちらの葛城を参考にしたって聞いたことがあるで」

日向「私たちの神龍がそちらの大和を参考にしたのと同じだと思えばいいのよ」

榛名(黒)「そういうもんか…?」

大和「ランキングか…。そういえば私たちの中では誰が人気なのだろうな?」

日向「そういえばそうね。あまり気にしたことなかったから気付かなかったわ」

作者「ランキングねぇ…。やろうとは思わないけどね」

日向「は?なんでよ」

作者「いや…。私のは黒鉄元帥ほどキャラもそんなに多くないし、第一やったとしてもランキングをやれるほど票をもらえないんじゃないかって思ってるしね。そりゃ自分が書いたキャラの中で誰が人気なのかなと思ってるけど、黒鉄元帥みたいにあんな大それた感じでやるのは無理です」

日向「この腰抜けめ」

作者「ひどい言われようですね…。まぁ正直知りたいという気持ちもあるので、良ければ感想と一緒に誰が好きなのか、ランキングみたいな感じで書いてほしいです。お待ちしていますね」

日向「また中途半端な……」

伊勢(伊)「誰が人気なのか、気になるわね」

長門「…外伝短編の私も入るよね?もちろん…」

大和「私は別にそんなのどうでもいいがな。とりあえずベスト3を汁という汁を吸い尽くすほどに愛でてやるつもりだが」

日向「不穏すぎる発音がまた聞こえた気がするけどこれは聞こえなかったことにしていいのかしら。誰か教えて…」

天城「う〜ん…やっぱり神龍とかかな?雪風も可愛いから難しいな〜」

雪風「わ、私ですか…っ?!そ、そんな…っ」

矢矧「自信を持ってもいい…」

雪風「や、矢矧さんまで…」

天城「とか言って上位じゃなかったら悲しいよね〜」

雪風「………」

矢矧「結果がどうなっても私の中では……雪風は上位…(ぽっ)」

雪風「矢矧さん……」

天城「二人の背景に百合の花が見えるよぉ〜っっ」

榛名(黒)「でも気をつけたほうがいいぜ?俺たちのほうなんて、メインヒロインでさえ三位にも入らないことがあるんだからな」

伊勢(黒)「そやな。そのときは確か一位が武蔵で……。大和、気の毒やったな〜」

陸奥「そんなこと言ったら、本人がここにいたらまた泣いちゃうよ…?」

日向「その点はどうかしらね。何せウチのほうは艦魂少ないし」

伊勢(伊)「確かにそうね」

榛名(伊)「…私は個人的に言わせてもらうと、そういう順位を付けるというのはあまり好ましく思わないがな」

日向「あ〜…いるわよねぇ……ランキングとかそういうの嫌う人…。まぁ悪くはないけどさ」

榛名「もちろん一位は神龍だが」

日向「って、おいっ!(ビシッ!)」

伊勢(黒)「ほんま…確かにランキングやらのおかげで人気キャラと不人気キャラと分けられて……。その人気キャラはうちらを置いて他の先生はんがたのほうに行ってまうし。まるで勝ち組と負け組みたいで嫌やわぁ」

伊勢(伊)「不人気キャラなんてとんでもありませんよ。皆さん、とてもそれぞれが個性的でその人にしかない素晴らしさを持っていると思いますよ」

伊勢(黒)「あぁんもう。やめてぇな〜」

伊勢(伊)「そうそう、神龍がそちらで随分と良くしてもらったみたいで…。お茶でもいかがですか?ごゆっくりくつろいでくださいね」

伊勢(黒)「そやな〜。ありがたくいただきますわ」

伊勢(伊)「伊勢さんは和服美人だとかお伺いしました。ちょうど質の良い着物を持っているんですが、良かったら伊勢さんどうですか?」

伊勢(黒)「ええね〜…。それ、どういう着物なんや?」

伊勢(伊)「ええ。京都で仕上げられたものでして…うんたらかんたら……」

ズズ…(出されたお茶を飲む伊勢(黒))

伊勢(黒)「あ、お茶とお茶菓子もいけるわ〜」

伊勢(伊)「お気に召してなによりです」

龍鳳「なにやら談笑を始めましたね…」

日向「本当にあの二人は仲が良いわね〜」

作者「いいことじゃん。良かった良かった」

伊勢(伊)「日向、皆さんにもお茶とお菓子をお配りして」

日向「は〜い」


(全員にお茶とお菓子を配り終え……)


伊勢(黒)「やっぱり日本人はお茶やね〜……」

伊勢(伊)「お茶はその名のとおり、最初は茶色だったそうですよ?」

榛名(黒)「はぁ? お茶が茶色?」

伊勢(伊)「はい。元々、お茶が緑色というイメージは、実はまだ最近の時代なんですよ。それまで一般庶民が飲んだお茶は、いわゆる番茶であって、摘んだ葉を直接釜か鍋で炒ってからムシロの上で揉み、天日で干すというものがほとんどだったんです。そこから出来上がったお茶は黒色に近く、煮だしたり、熱湯を注いでだしたときの色は、赤色や黄色をしていて決して緑色ではありませんでした。茶色に近いお茶が一般だったんです。現代に近いお茶を作る方法が出来たのは江戸時代の中頃です。緑色が茶畑や茶碗につがれたお茶のイメージとなったのは、じつは茶色の概念が出来上がってからのことで……(延々)」

榛名(黒)「な、なんだこの伊勢は……」

日向「伊勢姉さんのお茶講座。気にしないで呑んでもいいわよ」

伊勢(黒)「すごいわ〜。うちはいいと思うで。歴史を知るともっと美味しくなるもん」

陸奥「ずずず……」

霧島「ほぅ…」

大和「………」

榛名(伊)「大和長官、わかっていると思うが手を出さないように」

大和「…もし手を出しそうになったら止めてくれ」

榛名(伊)「そうならないことを切に祈りますが、そうなればそうします」

日向「ちょっとそこ、不穏な会話はやめなさい」

榛名(黒)「………」

霧島「姉さん?さっきからなにをそんなキョロキョロしてるの?誰か探してる?」

榛名(黒)「な…ッ!そ、そんなことはないぜ…?」

霧島「じっ…」

伊勢(黒)「榛名、神龍を捜してるんちゃう?」

榛名(伊)「―――!」

榛名(黒)「な…っ!」

霧島「………」

伊勢(黒)「随分と神龍と仲良くやってもんなぁ。なにせ姉妹の契りを交わした仲……」

榛名(黒)「なに言ってるんだ伊勢ッ!そんなことしてねぇぇぇっっ!!」

榛名(伊)「………」

(ユラリと立ち上がる榛名(伊))

榛名(黒)「な、なんだよ…っ」

榛名(伊)「さっきは遠慮したが、どうだ?今からお手合わせ願えないか…? ――真剣で」

榛名(黒)「じょ、上等だゴルァッ!やってやらぁっ!」

伊勢(伊)「ちょっと榛名!やめなさい」

伊勢(黒)「そうやで榛名。せっかくいい雰囲気でお茶飲んでるんや。無駄な争いはやめようや」

(しばしにらみ合ったあと、同時に雰囲気が落ち着く)

榛名(伊)「…そうだな。すまなかった。興が冷めた」

榛名(黒)「…わーってるよ」

日向「どっちの姉さんと榛名の役目は同じなのね」

陸奥「本当の榛名の暴走を止める役目は妹の霧島ですけどね」

霧島「姉さん、また神龍なんかを……ぶつぶつ…」

陸奥「今はあんなだから、伊勢が止めに入ったけど…」

日向「お互いああいう人がいて大変ね」

陸奥「そうですね」

大和「もう我慢できんんんっっっ!!」

陸奥「きゃあ!?」

日向「あぁっ!陸奥ッ?!くっ、大人しかったから油断していたわ!」

霧島「ひゃあっ!」

日向「あぁっ!霧島まで!」

(両脇に陸奥と霧島を抱えて走り去る大和)

榛名(伊)「長官ッ!また罪を重ねる気かっ!?」

榛名(黒)「おいこらっ!妹を返しやがれぇぇっ!!」

長門「陸奥ぅぅぅっっ!!」

作者「ていうか大和、お前もう出るなぁぁぁっっ!!」

日向「追うわよ!」

ドタバタドタバタ……


???「ただいま〜! はぁ…疲れたけど楽しかったです。 …お腹も空いたし、凛さんたちからもらったクッキーでも頂きますか……って、あれ?」

(空けられている箱の中身を眺める)

???「おかしいです。空けられて数が減ってます!辛うじて私の分はあるようですが……。もしかして榛名姉さんたちが? ひ、人のものを勝手に食べるなんて……。 ね、姉さんたち!どこですかぁ〜?!」

ドタバタドタバタ……

日向「そっちに行ったわよ!」

榛名(黒)「くそ!なんて足の速いやつ!」

伊勢(伊)「ごめんなさい、うちの司令長官が…」

伊勢(黒)「気にせんといて。今は霧島と陸奥を奪還するのが先や」

霧島・陸奥「助けてぇぇぇ〜〜〜」

大和「ははははははは」

雪風「完全に悪役ですよ、大和長官…」

天城「というかゲストが来るたびにこんなになって…。大和長官はいないほうがゲストのためじゃないかって思えちゃう今日この頃だよぉ〜」

葛城「…同意」

陸奥「わ、私たちをどうするおつもりですかぁぁ〜?!」

大和「なに、ただ私の部屋に案内してやるだけだ。そこで一晩語り合おうではないか。めっさ気持ちよくしてやるから部屋で一晩ともに語り合って……はぁはぁ」

陸奥「嫌ぁぁぁぁぁ」

???「こらぁぁぁぁぁっ!!」

大和「ぬっ?!」

霧島「え?この声……」

陸奥「きゃ!?」

(突然疾走する大和の前に現れる人影)

???「私のクッキーを勝手に食べたのは誰ですかぁぁ!! 食べ物の恨みは恐ろしいですよぉぉ―――って、え…?」

大和「ぬあああっ?! 人は急には停まれな―――」


ズドォォォォォンッッ!!!


霧島・陸奥「きゃあああああ」

榛名(黒)「霧島ッ!」

長門「陸奥ッ!」

(それぞれ霧島と陸奥をキャッチする二人)

榛名(黒)「無事か…?霧島」

霧島「お、お姉ちゃ〜ん!」

榛名(黒)「わっ!こら、抱きつくなっ!」

長門「怪我はない?陸奥…」

陸奥「大丈夫だよ、お姉ちゃん……。…ありがとう」

長門「…妹を助けるのは姉として当然だもん」

日向「なんとか助かったわね…。って、誰か出てこなかった?」

作者「もしかして……」

雪風「―――さ、参謀長ッ?!」

神龍「きゅう……」

作者「駄目だ、目がグルグルと渦巻きになっている…」

日向「漫画みたいね…」

伊勢(伊)「まぁとりあえず……」

榛名(伊)「我らが司令長官を縛っておくか」

大和「うぐ……」


で……


伊勢(黒)「それじゃあそろそろ日も暮れてきたし、帰るとするわ」

作者「実際、これを書いている現実世界はどっぷり夜闇だけどね」

日向「そういうのはいちいち言わなくていいわよ」

榛名(伊)「色々あったが、すまなかったな」

大和「(縄に縛られ口にガムテープを貼り付けられて動けない)」

霧島「今回はメインキャラではなく、本当にサブキャラ同士でわいわいできたね」

伊勢(黒)「たまにはこういうのもいいもんやな」

伊勢(伊)「またいつでも遊びにきてくださいね」

伊勢(黒)「もちろんや!」

榛名(黒)「あばよ」

榛名(伊)「うむ。達者でな」

(チラリと霧島を一瞥する榛名(伊))

霧島「…?」

榛名(伊)「…元気で、な」

霧島「…うん。そちらもお元気で」

榛名(伊)「ああ…」

伊勢(伊)「………」

長門「ありがとう陸奥!今日は本当に良い一日だったよ」

陸奥「こちらこそ。お姉ちゃん、またね!」

長門「うん、また!」

神龍(包帯バージョン)「先日はお世話になりました。またこちらでもお話しましょうね。大和さんによろしくお伝えください」

伊勢(黒)「ほな」

榛名(黒)「じゃあな」

霧島「ばいばい」

陸奥「さようなら」



作者「またしても本編よりあとがきが長い始末。これだとどちらが本編なのかわからないですね(笑)。えーと……ようやくサブではありますが、榛名や伊勢、霧島と陸奥たちをお呼びいたしました。大鳳や準鷹も呼びたかったですが、一度も呼ばれてない彼女たちをご招待させていただきました。今回はキャラが多くて、関西弁や榛名さん(黒)の口調を書くのは初めてで大変でしたけど、どうでしょうか? 中間テストが終わり、前回の更新から一週間以上も間を空けてしまいましたがようやく更新です。というか、エピローグ編に入って四話目なのにまだ終わりの兆しが見えない…。どこがエピローグだって話ですね(汗)。この作品もこれでも一応終わろうとしているので、急いで出来るだけゲストさんを呼ぶのに尽力しています!

本編はまだ終わらないグダグダ感ですが見守ってくれたら幸いです。頑張って書きますんで…!今頭の中の構図では、最後は無茶な終わり方になる可能性が大ですが、それでもなんとか勘弁してほしいです。こんなに引っ張っておいてこれかよみたいな結末になるかもしれませんが、努力して書きますのでそこをなんとか…! あ、それと中間テストで不在の間に多くの艦魂作品が誕生していて驚きました。艦魂世界が着々と広がりつつありますね。なんだか次々と出てくる先生と作品に負けてしまいそうな勢いで…!(汗) あとがきの最中にランキング的な発言がありましたが、良ければ感想と一緒に誰が好きなのか、ランク的に教えてくれたら嬉しいです。キャラは少ないですけど、誰が人気なのかやっぱり知りたいので。あまり多くの方々から頂けるのは期待してませんが…。一部のかたでもいいので待ってます! では、ここで失礼させていただきます。…って、もうあと十分で日が変わりつつある…。 テストも終わったばかりで心身共々疲れた感じです。

 読者様の方々にも同じ学生というかたがいらっしゃると思いますが、今がテストの時期。皆さん頑張ってくださいね。私はもう英語とその他教科の火力で脳内火災発生ですよちくしょう。 私のようにならないようお気をつけください。

 では、感想またはご意見お待ちしております。できればどのキャラが好きなのかも…。

 ではまた!次回も素敵なゲストさんが登場予定!スケジュール表には、火星先生のところからこんごうさんたちをお呼びしたいと思います。平成の艦魂と昭和の艦魂の対面!では次回!」


神龍「ていうかせっかく出てきたのに私の出番これだけっ?!」

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